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Vol.185「勇士 パンダル仮面(용사 반달가면)」は意外にマトモだった [韓国映画]

 『勇士 パンダル仮面(용사 반달가면)』は、1991年、第1作目公開を皮切りに、全6作製作された、韓国のコスチューム・ヒーロー物だ。

 「パンダル(반달)」とは「半月」「弓張月」のことを指すが、「満月」でも「三日月」でもなく、半端な「半月」だったのは、単に語呂がよかっただけ、という気がしないでもない(^^)

 昨年、DVDが六枚セットで約W20000-という格安価格で販売されたので購入して観てみたのだが、意外や意外、けっこうマトモな内容。
 しかし、このシリーズを日本の特撮アクションに例えて分類することは難しいだろう。
 なにせ、特撮シーンなんて、ほとんどないからだ。
 ディテールは安っぽく、格好悪く、日本では相手にもされないだろう。

 だが、恵まれない環境で作品を作り上げようとする、スタッフの熱意や苦心といった、手作り感覚が溢れていて、映画作りの原点に戻ったかのような作品でもあって、嘲笑して終わり、というのもちょっと悲しい。

 シリーズ全6話は一通り続いているが、厳密にいえば最初の第3話までが『パンダル仮面』の本質、とでもいうべき内容であり、4作目以降はお子様ウケ狙いミエミエの感がある。

 また、このシリーズが6本も作られた、ということはそれなりに当時受けた、ということなのだろう、回を重ねるごとに微妙にパワーアップしていく。

 全体の雰囲気は日本でいえば『レインボーマン』や『ダイアモンド・アイ』に似ているが、参考にしたのは当時の東映ヒーロー物だったと思う。

 わりと堅実に繰り広げられる第3話までのお話はこんな感じだ。

 どこかの山奥で修行している仙人(正体はよくわからない)の弟子である二人の男が後継者争いをするが、片方が顔面にひどい火傷を負い、姿を消す。
 それから時が経ち、巷では黄金仮面が率いる犯罪組織が暗躍、とあるまぬけな警察チームが事件に関わっていくが、彼らは危機のたびにパンダル仮面に救われ、協力関係を結んで黄金仮面に立ち向かうようになる。
 果たして、パンダル仮面とは、黄金仮面とは何者なのか?彼らの目的は?
 そこに日本人<ムサシ先生>や、侏儒の科学者など、多彩なキャラを交えながら物語は進んでいく。

 やがて黄金仮面は倒され(胴体がまっぷたつになって爆死!)、サイケな宇宙人との戦いに突入していく4作目以降では、<女パンダル仮面>が登場、<男パンダル仮面>と合体する事で<宇宙刑事パンダル・ロボット>に変身する、といった具合に、コンセプトが堅実な刑事モノからおかしな方向に脱線し始める。

 敵も、スーツ姿のゴリラ仮面<黒帽子>に、単なるオッサンの<機械人間X>、ピエロのような<彗星魔王アバドン>とその子分たち、といった具合に混乱していく。

 やがて<子供パンダル仮面>も唐突に登場、最後の舞台はヘラクレス彗星で繰り広げられるが、どう考えても「中天界」での話にしか見えなかったりする(田んぼが広がっている!)。

 そして予想もつかないメロウで不可解な最後は、日本では考えられない唖然とさせられるだろう。

 第2作目から、ヒーロー物お約束の武装バイクが登場するが、残念ながらあまり活躍しない。
 この武装バイク、爆薬をくくりつけ敵に特攻し、早々とシリーズからは消えてしまうのだが、冗談抜きでいかにも運転が危険、といった風体で、乗っているスタントマンにとって直進すら大変だったことは、想像に難くない代物だ。

 『パンダル仮面』には、有名な俳優が誰も出ていないが、刑事カンヒョク演じたキム・フングク(김흥국)はタレントとして、韓国でけっこうお馴染みの顔である。
 また、3作目までナ班長演じたチェ・ヨンジュン(최영준)がとてもいい味を出しているのだが、最近は活動していないようで、その素性もわからず、ちょっと残念(※)。

 なお、この『パンダル仮面』はまだ製作から二十年経たない比較的新しい作品だが、子供向けの映画なので、韓国では、それほどメジャーではない。
 しかし、このシリーズを全部観終わってみると、今だったら、面白いリメイクが韓国で作れるのでは?とも思った。

 第1作から第3作目までのお話をベースに、脚本がチャン・ジン(장진)、敵ボス<黄金仮面>をユ・ジテ(유지태)、刑事カンヒョクをイ・ボムス(이범수)、監督は『地球を守れ!(지구를 지켜라)』のチャン・ジュヌアン(장준환)なんて組み合わせで、面白い映画が作れそうだと妄想してしまう(ヒロインは誰がいいかな?)。
 少なくとも『ロボット・テコンV』の実写化なんかより、遥かに現実的なのではないだろうか?

(※)その後、최영준の素性が判明する。
 彼はもともとギャグマン→童謡歌手を経て、高年齢者向けTV番組のレポーターとして活躍、今はマイナーながら伝統劇舞台で活躍しているとのことである。
 日本でいえば、うっかり八兵衛こと、高橋元太郎のような人なのだろう。


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タグ:韓国映画
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