Vol.363 はたまた、大学の中に映画館があった [韓国映画]
ちょっと前のことではあるけれど、俗に言う「인디」映画専門らしき新しい劇場が、ソウルでまた開館した。
韓国の独立系作品はここ数年、バブルともいうべき活況を呈していたが(といっても儲かっちゃいなんだろうけど)、圧倒的にショボイ作品が多いので、有志たちがいくら頑張っても、上映環境が、なかなか根付かないのが実態だった。
もっとも、韓国映画自体、いくらメジャーに見えても、独立系が基本だと思うので、「인디」とわざわざ称するのは妙な気もするのだが、韓国で「인디」といえば、日本における個人の自主制作みたいなもんであるから、一般興行に難があるのは当然の理だろう。
大手チェーンでの上映枠は段々と肩身が狭くなって行き、妙な物件で専門館を無理やり開設、一定時期が来ると、また別の不便な場所に移転するくり返しだったりする。
だけど、障害あればこその「인디」、運を自ら掴める逞しい人材も培われるのだろう。
その劇場「KU씨네마테크」もまた、大学構内にあった。
ラインナップが多彩で、けっこうツボを押さえていたりする。
どこにあるかと更に調べてみると、なんと建国大学だった。
そこでいきなり好奇心が減退。
「KU=Konkuk University=건국대학교=建国大学校」ってワケ?
建国大学といえば、ソウルでは、歴史の古い私立大のひとつなんだけど、なんだかパッとしない。
最寄りの「建大入口駅」も、これまたドえらくパッとしない。
江北から行くにしても、江南から行くにしてもやっぱりハンパ、買い物その他でもこれまたハンパと、この街ならではの付加価値がサッパリ浮かばない(でかい模型店でもあればいいのだが)。
街の物価は安そうだが、個人的に場所を聞いただけで、行く気がなくなる街角の一つなのであった。
同じく大学に付帯した劇場としては、梨花女子大学校内の「아트하우스 모모」がある。
「梨大駅」もまた、半端でツマらない街にあるのだけど、劇場の入った建物が面白い構造体であり、江北に宿を取っていれば、そこそこ融通が利く場所なので「まあ、OK」。
だけど「建大入口駅」だと、スケジュールを効率的に組みにくいことこの上ないのである。
近所にロッテシネマがあるけれど、ありきたり過ぎて、あんまり価値を感じない。
というわけで、「KU씨네마테크」はプログラムの良さを超えて、行く前から躊躇してしまう劇場だったのである。
しかしその日、某作品が「KU씨네마테크」で一回だけ上映されるという情報を得て、仕方なく出向くことになった。
タルい気持ちを抑えつつ、なんとか連結したスケジュールを作って、「建大入口駅」に向かう。
建国大学自体は決して地下鉄駅の傍にあるわけではなく、結構歩かないといけないが、街をウロウロしてみると、駅周辺とは違う雰囲気に包まれていることに気がついた。
ちょっと日本の大学街に近い感じがする。
大学構内に入ってみると、中にはかなり広い公園があったりして、なんだかよく分からない作りだが、「KU씨네마테크」はすぐ分かる場所にあった。
そこはどうやら、同大学内にある「예술문화대학=芸術文化学部」の付帯施設らしい。
この「예술문화대학」は、まるで1970年代における日本のサイケなアートシーンを連想させる、古臭いタイプのキッチュな外観の建物だ。
ああ、子供時代のデジャブがまた、クラクラと…
1970年代渋谷系のノリだ。
劇場入り口やロビーはショボイ。
もっとも、そのショボさはソウルにおける「인디」専門館に共通する伝統的なショボさなので、考えようによっては正統派なのかもしれない。
ここもスタンプカードサービスをやっていて、初めて来たので作ってもらう。
場所が場所、上映される映画も映画、日時も日時という訳で、誰もいない。
「一体、いつまで存続できるのかなぁ~」という感じ。
上映時間が来ても何の案内もなく、前のプログラムは時間を超えて、上映中だ。
気を揉み始めた頃、劇場のドアが開き、案内が始まったが、客は私と、もう一人だけ。
でも、中に入ると意外に良い劇場空間が広がっていた。
半地下構造なんだけど、ちゃんと観る側の都合を考慮した設計になっていて、「아트하우스 모모」よりも、遥かに観やすい劇場なのだ。
CGV系列の半端なアート系劇場なんかよりも、全然立派である。
そして特筆すべきはその座席だ。
いやー、これはいいね。
全然疲れない。
その日観た映画は、ショボくてどうしようもない作品だったけど、「立地条件さえよければなあ」と、この「KU씨네마테크」がもったいなく思うのだった…(その後、地下駐車場工事の影響で落石があるため、一時休館という、トホホな告知がありました)
韓国の独立系作品はここ数年、バブルともいうべき活況を呈していたが(といっても儲かっちゃいなんだろうけど)、圧倒的にショボイ作品が多いので、有志たちがいくら頑張っても、上映環境が、なかなか根付かないのが実態だった。
もっとも、韓国映画自体、いくらメジャーに見えても、独立系が基本だと思うので、「인디」とわざわざ称するのは妙な気もするのだが、韓国で「인디」といえば、日本における個人の自主制作みたいなもんであるから、一般興行に難があるのは当然の理だろう。
大手チェーンでの上映枠は段々と肩身が狭くなって行き、妙な物件で専門館を無理やり開設、一定時期が来ると、また別の不便な場所に移転するくり返しだったりする。
だけど、障害あればこその「인디」、運を自ら掴める逞しい人材も培われるのだろう。
その劇場「KU씨네마테크」もまた、大学構内にあった。
ラインナップが多彩で、けっこうツボを押さえていたりする。
どこにあるかと更に調べてみると、なんと建国大学だった。
そこでいきなり好奇心が減退。
「KU=Konkuk University=건국대학교=建国大学校」ってワケ?
建国大学といえば、ソウルでは、歴史の古い私立大のひとつなんだけど、なんだかパッとしない。
最寄りの「建大入口駅」も、これまたドえらくパッとしない。
江北から行くにしても、江南から行くにしてもやっぱりハンパ、買い物その他でもこれまたハンパと、この街ならではの付加価値がサッパリ浮かばない(でかい模型店でもあればいいのだが)。
街の物価は安そうだが、個人的に場所を聞いただけで、行く気がなくなる街角の一つなのであった。
同じく大学に付帯した劇場としては、梨花女子大学校内の「아트하우스 모모」がある。
「梨大駅」もまた、半端でツマらない街にあるのだけど、劇場の入った建物が面白い構造体であり、江北に宿を取っていれば、そこそこ融通が利く場所なので「まあ、OK」。
だけど「建大入口駅」だと、スケジュールを効率的に組みにくいことこの上ないのである。
近所にロッテシネマがあるけれど、ありきたり過ぎて、あんまり価値を感じない。
というわけで、「KU씨네마테크」はプログラムの良さを超えて、行く前から躊躇してしまう劇場だったのである。
しかしその日、某作品が「KU씨네마테크」で一回だけ上映されるという情報を得て、仕方なく出向くことになった。
タルい気持ちを抑えつつ、なんとか連結したスケジュールを作って、「建大入口駅」に向かう。
建国大学自体は決して地下鉄駅の傍にあるわけではなく、結構歩かないといけないが、街をウロウロしてみると、駅周辺とは違う雰囲気に包まれていることに気がついた。
ちょっと日本の大学街に近い感じがする。
大学構内に入ってみると、中にはかなり広い公園があったりして、なんだかよく分からない作りだが、「KU씨네마테크」はすぐ分かる場所にあった。
そこはどうやら、同大学内にある「예술문화대학=芸術文化学部」の付帯施設らしい。
この「예술문화대학」は、まるで1970年代における日本のサイケなアートシーンを連想させる、古臭いタイプのキッチュな外観の建物だ。
ああ、子供時代のデジャブがまた、クラクラと…
1970年代渋谷系のノリだ。
劇場入り口やロビーはショボイ。
もっとも、そのショボさはソウルにおける「인디」専門館に共通する伝統的なショボさなので、考えようによっては正統派なのかもしれない。
ここもスタンプカードサービスをやっていて、初めて来たので作ってもらう。
場所が場所、上映される映画も映画、日時も日時という訳で、誰もいない。
「一体、いつまで存続できるのかなぁ~」という感じ。
上映時間が来ても何の案内もなく、前のプログラムは時間を超えて、上映中だ。
気を揉み始めた頃、劇場のドアが開き、案内が始まったが、客は私と、もう一人だけ。
でも、中に入ると意外に良い劇場空間が広がっていた。
半地下構造なんだけど、ちゃんと観る側の都合を考慮した設計になっていて、「아트하우스 모모」よりも、遥かに観やすい劇場なのだ。
CGV系列の半端なアート系劇場なんかよりも、全然立派である。
そして特筆すべきはその座席だ。
いやー、これはいいね。
全然疲れない。
その日観た映画は、ショボくてどうしようもない作品だったけど、「立地条件さえよければなあ」と、この「KU씨네마테크」がもったいなく思うのだった…(その後、地下駐車場工事の影響で落石があるため、一時休館という、トホホな告知がありました)
昔の円谷作品に出てきそうなデジャブ感いっぱいの建物です。
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