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Vol.495 はたまた大学の中の映画館 [韓国映画]

 現在、ソウル市内には「KUシネマ」と称する、主にインディーズもしくはアート系作品を上映する映画館が二軒ある。
 ひとつは建国大学芸術学部棟内にある「KU시네마데크」であり、もうひとつが高麗大学マルチメディアセンター内の「KU시네마트랩」だ。

 両方とも大学名をそのまま冠した劇場なのでズッコケそうになるが、上映する作品や劇場施設共にコダワリが感じられ、最近のソウルの映画館では個人的にお気に入りでもある。
 ソウル市内の、やや亜流の繁華街方面にあるが、漢北辺りなら交通の便もいい。
 ただ、あまり派手な宣伝を行っていないので場所が分かりにくい、という欠点がある(アルバイトスタッフの質が凸凹しているのは韓国のミニシアターだから我慢しましょう)。

 ソウルのアート系ミニシアターは概して妙な場所にあり、時として非常に分かりにくいのだが、「KU시네마트랩」もそうだった。
 事前に場所を調べて地図を出力し赴いたのだけど、意外なところでつまずいてしまい全く見つからず、困ったことになってしまった。
 仕方ないので大学構内の警備員に尋ねるが、どうも説明に納得出来ない。
 逆に「そっちの方向にある訳ないだろう」と勝手に思い込んでしまい更にドツボに嵌り、安岩キャンパス内をしばし彷徨うことになってしまった。

 だが、これはみんな筆者が悪いのである。
 学内略図に劇場案内が無かったことも大きいが、勝手に「高麗大学の安岩キャンパスはひとつの敷地にまとまって…」と頭から思い込んでいたからだ。
 ところが実際は違っていた。

 高麗大学に通っていたことがある方にとっては失笑ものだが、同大学の主な施設は地下鉄六号線「安岩駅」から「高麗大学駅」の間にかけて、大体三つほどの敷地に別れて点在しており、この大学敷地内に初めて侵入した筆者はそのことに全然気が付かなかったのであった。

 なぜなら、それまでソウル市内の名門大学と言えば、【巨大な敷地で辺りを占有し】、【これみよがしに丘の上から街を睥睨し、大威張り】という偏見が頭にガッチリ刷り込まれていたからであって、後になって考えてみれば警備員の方の説明は間違っていないのであった(疑ってすみません…)。

 「KU시네마트랩」はメインキャンパスから結構離れた「高麗大学駅」方面の同大学付属施設内にあるが、どこにも看板が出ていないので外からはサッパリ分からない。
 だが、その素っ気なさとは逆に、ロビーがしょぼいが上映設備は中々であり、非常に観やすい。
 シートは建国大の方が好みだが、快適な映画空間がちゃんと確立されており、「また来よう」と思わせてくれる映画館になっている。

 ここら辺に関しては、老舗のスポンジやインディが全くダメなことは至極残念だが、アート系シアターの分野においても、ソウルに限ればここ五、六年にかけて、東京より恵まれた環境が整った印象すら受ける。
 お金の流れがどうなっているかは知らないけれど、だいぶ前からミニシアターに関してもソウルの劇場インフラは東京のそれを超えているのは否定出来ず、同じ立地条件ならば同様の施設を東京で開設して運用することは、おそらく無理かもしれない。

 かつて、韓国の映画関係者が渋谷のミニシアターを今後自分たちの参考にしようと見学に来ていたけど、渋谷系ミニシアターが壊滅した今、そのマインドを引き継いでいるのが、実はソウル及び近辺の独立系ミニシアターかもしれない。

 今回、映画館の良し悪しとは別に驚いたのが、名門と謳われる高麗大の施設が想像以上にボロボロで、敷地も意外と狭いことだ。
 だけど、それは庶民的でもあって、逆に好感を抱いた。

 韓国も出身大学によって、OB・OGたちの気質が異なる印象をよく受けるのだけど、高麗大は筆者が考えるより庶民的な大学なのかも?

KU2.JPG

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