SSブログ

Vol.525 鍾路三街界隈を考えてみた [韓国生活]

 鍾路三街。
 地下鉄が複数線乗り入れる場所として、今でもソウルを代表する界隈の一つだが、かつての賑わいを失ってから久しいものがある。
 歴史的に古い繁華街であるが、既に時勢から取り残された感が否めない。

 その理由はいろいろ考えられるが、ソウル市自体の裾野が広くなり、わざわざ鍾路三街に来る理由を多くの人たちが失ったこともその一つだろう。
 古い街故、闇の利権が複雑に絡み合い、問題解決が図れない、ということもあるのかもしれない。

 十数年前は平日でも人でごった返す光景が普通だったが、今では閑散としていることが多く、外国人観光客ばかりが目に付くようになった。

 老舗のゲイ・タウン、「ソウルの新宿二丁目」として以前から有名な場所でもあったけど、それを表立って観光ビジネスに結びつける度量は残念ながら今も韓国社会にはない。

 鍾路三街から乙支路を通って忠武路に至る道筋は、かつてソウルにおける映画興行の中心でもあったが、その面影はすっかり失われた。

 中心だったソウル劇場に昔のステイタスはなく、旧ピカデリー劇場の跡地に建てられた団結社も、鍾路三街の奈落ぶりを象徴するような空きビルと化して久しい(一応、現在は貴金属専門のビルとして営業再開中)。
 ロッテシネマ傘下となった新生ピカデリー劇場が息を吐いているくらいだが(2017年現在はCGVチェーンである)、かつてここが韓国映画界で権力を振るっていた某氏の持ち物だったことを知る人はあまりいないだろう。

 私がこの地を初めて訪れた時、地元ヤクザが鍾路三街や乙支路界隈の映画館前で幅を効かせ、チケット窓口で客を仕切っている姿に驚かされたが、それもすっかり懐かしい情景になってしまった。

 鍾路三街は、屋台街としても有名だったが、これもまた過去の話、今は夕方から夜にかけて、許可された場所で開店するポチョンマチャの群れが、その面影を微かに引きずるだけだ。

 鍾路三街には、そそられるような美味しいお店が無いことも、困ったことである。
 いや、正確に言えばあるのだが、韓国料理にすっかり飽きてしまった私にとって、多くのお店がピンと来ない。
 だから、結局、宿の自炊飯になってしまったりする。

 仮に鍾路界隈の再開発を行うにしても、大掛かりなインフラ基幹整備から行わないと本当の再生は難しいだろう。
 特に水廻りは大きなアキレス腱だと思う。

 古いソウルの空気を湛えているという意味で、鍾路三街は重要な場所かもしれないが、「街」に寿命があるとすれば、そのこともまた、如実に表している哀しい場所なのかもしれない。

kane3.JPG

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。