面白いけど、利用に難のある映画館 [韓国映画]
最近のソウルにおける独立系ミニシアターを巡る光景で、一番衝撃を受けたのが、スポンジ・ハウス光化門と新沙洞インディー・プラスの閉館だった…
…と言いつつも、こうしたミニシアターの開館・閉館の繰り返しは以前から普通のことだったし、賃貸契約が切れた時点で撤退、別のところで新装開店というのが定石ではある。
だから、二館の閉館自体は格段不思議ではないというのも、本音なところではあった。
実際、両館とも、いつ行ってもガラガラ。
インディー・プラスの方は、姉妹館のインディー・スペースとプログラムの面で差別化が図れておらず(場所が場所なので、ゲスト招聘には都合良かったようだが)、スポンジ・ハウスの方はミニシアターの老舗ではあっても、施設がひど過ぎて、いつも行くのを躊躇する劇場だった(スタッフは日本人客に好意的だったけど…)。
だから、両方の閉館は「しょーがない」といえば「しょーがない」のだが、ここ五六年の間、かなりお世話になったので、閉館のお知らせは、やっぱり寂しかった。
ただ、現実問題として、最近十年あまりのソウルでは、明らかにアート系ミニシアターが増えすぎ状態、閉館は同業者の潰し合いの結果に思えるし、以前から感じていた、「本当は韓国映画産業行き詰まり」の本格的予兆のように見えたりする。
そして、IMF体制以降の韓国でありがちな大手の参入もまた、影響していたと思う。
そんな折、2016年にソウルで新たに開館した「EM(えむ)シアター」は、色々な意味で、妙なキムチ臭さを漂わせる個性的なミニシアターといえるかもしれない。
芸術活動を行う複合施設が入った小さなビルのワンフロアにある、映画館モドキなのだが、良くも悪くもオーナー色が濃く出た個性的な劇場だ。
まず、何が悪いかといえば、設備が最低。
ホームシアターを拡張したような強引仕様で、まともに鑑賞できる座席が、ごく一部しかない。
画面や音響を求める性格の劇場ではないから、別にそんなことはいいだろう、という考え方もあるが、「お金を出して映画を観る」という行為に対して拘りのある人には、発想の転換が必要になるかもしれない(かつて早稲田にあった某お座敷ミニシアターに近いかも)。
では、良い点とは何か?
それは、内装が個性的ということだろう。
経営者の個性が色濃く出た商業施設というのは、かつてのソウル(およびその郊外)で非常に盛んであり、東京辺りでは、あまり見られない奇抜な風景だったが、いまでは日本がそれに追いついてしまい、かつ、韓国の没個性化が進んでしまったので、最近目にすることがなくなってしまった類のものだ。
「EMシアター」は、劇場出入り口から少し入ったところが、いわゆる「劇場ロビー」になっていて、大きな窓ガラスからは緑地の歩道が見える。
「おしゃれなBookカフェ」ぽい内装で、二つあるベンチは汚いが悪くなく、下手に近所のコーヒーショップで時間を潰すよりもくつろげる…と、ここまでは韓国のミニシアターにありがちな特徴なのだが、劇場内に入ると困惑。
スクリーン脇のスペースに、ゴロ寝用のクッションが無造作に置いてある!
まさか、こんなところで寝転んで映画を鑑賞する人は、そうそういないだろうし(ウケ狙いでやる奴はいるだろうが)、単なるインテリアなんだろうけど、そのデザインが真っ赤な軟体動物の縫いぐるみの様でもあって、初めて見た人は、その不自然な違和感に「ぎょっ」とすると思う。
そして、その次に戸惑ったのがトイレ。
なんと、劇場ロビーには女性トイレしかない。
「オーナーの攻撃的なフェミニズムの主張かよ!」と思ったが、実は、これにはカラクリがあって、男性トイレは困ったことに、出入り自由ではない劇場内にあるのだった。
つまり、上映中は基本使えない。
そこら辺の事情を知らず、この劇場にやって来た私は他のフロアに男性トイレがあるんだろうと考え(韓国の雑居ビルではよくある)、探してみたがない。
仕方ないので、フロントで聞いてみたところ、「女子トイレをお使い下さい」とのこと。
元キッチンと思わしき構造の女子トイレには便器がひとつしかなく、確かに内鍵を掛ければ問題なさそうなので使用させてもらったが、肝心の鍵が、果たしてロックが掛かっているのか、そうじゃないのか、よく分からないものだったので、用を足している間、気が気ではなかった(なにせ、便器からドアまで遠く、いざという時、手で押さえられない)。
これって、運が悪いと痴漢騒ぎになりかねないのでは???
やはり、映画館の仕様はオーソドックが一番。
また行こう、という意欲が湧かない映画館ではあったが、かつての韓国らしい、という点でのみ、物好きなら一度行って見る価値はあるかもしれない。
ちなみに、同施設のサイトでは最寄り駅が地下鉄「景福宮駅」となっているが、実際は地下鉄「光化門駅」からも同じような距離、「光化門駅」から行った方が、ほぼ直線ルートなので、道順はこちらの方が分かりやすいと思う。
…と言いつつも、こうしたミニシアターの開館・閉館の繰り返しは以前から普通のことだったし、賃貸契約が切れた時点で撤退、別のところで新装開店というのが定石ではある。
だから、二館の閉館自体は格段不思議ではないというのも、本音なところではあった。
実際、両館とも、いつ行ってもガラガラ。
インディー・プラスの方は、姉妹館のインディー・スペースとプログラムの面で差別化が図れておらず(場所が場所なので、ゲスト招聘には都合良かったようだが)、スポンジ・ハウスの方はミニシアターの老舗ではあっても、施設がひど過ぎて、いつも行くのを躊躇する劇場だった(スタッフは日本人客に好意的だったけど…)。
だから、両方の閉館は「しょーがない」といえば「しょーがない」のだが、ここ五六年の間、かなりお世話になったので、閉館のお知らせは、やっぱり寂しかった。
ただ、現実問題として、最近十年あまりのソウルでは、明らかにアート系ミニシアターが増えすぎ状態、閉館は同業者の潰し合いの結果に思えるし、以前から感じていた、「本当は韓国映画産業行き詰まり」の本格的予兆のように見えたりする。
そして、IMF体制以降の韓国でありがちな大手の参入もまた、影響していたと思う。
そんな折、2016年にソウルで新たに開館した「EM(えむ)シアター」は、色々な意味で、妙なキムチ臭さを漂わせる個性的なミニシアターといえるかもしれない。
芸術活動を行う複合施設が入った小さなビルのワンフロアにある、映画館モドキなのだが、良くも悪くもオーナー色が濃く出た個性的な劇場だ。
まず、何が悪いかといえば、設備が最低。
ホームシアターを拡張したような強引仕様で、まともに鑑賞できる座席が、ごく一部しかない。
画面や音響を求める性格の劇場ではないから、別にそんなことはいいだろう、という考え方もあるが、「お金を出して映画を観る」という行為に対して拘りのある人には、発想の転換が必要になるかもしれない(かつて早稲田にあった某お座敷ミニシアターに近いかも)。
では、良い点とは何か?
それは、内装が個性的ということだろう。
経営者の個性が色濃く出た商業施設というのは、かつてのソウル(およびその郊外)で非常に盛んであり、東京辺りでは、あまり見られない奇抜な風景だったが、いまでは日本がそれに追いついてしまい、かつ、韓国の没個性化が進んでしまったので、最近目にすることがなくなってしまった類のものだ。
「EMシアター」は、劇場出入り口から少し入ったところが、いわゆる「劇場ロビー」になっていて、大きな窓ガラスからは緑地の歩道が見える。
「おしゃれなBookカフェ」ぽい内装で、二つあるベンチは汚いが悪くなく、下手に近所のコーヒーショップで時間を潰すよりもくつろげる…と、ここまでは韓国のミニシアターにありがちな特徴なのだが、劇場内に入ると困惑。
スクリーン脇のスペースに、ゴロ寝用のクッションが無造作に置いてある!
まさか、こんなところで寝転んで映画を鑑賞する人は、そうそういないだろうし(ウケ狙いでやる奴はいるだろうが)、単なるインテリアなんだろうけど、そのデザインが真っ赤な軟体動物の縫いぐるみの様でもあって、初めて見た人は、その不自然な違和感に「ぎょっ」とすると思う。
そして、その次に戸惑ったのがトイレ。
なんと、劇場ロビーには女性トイレしかない。
「オーナーの攻撃的なフェミニズムの主張かよ!」と思ったが、実は、これにはカラクリがあって、男性トイレは困ったことに、出入り自由ではない劇場内にあるのだった。
つまり、上映中は基本使えない。
そこら辺の事情を知らず、この劇場にやって来た私は他のフロアに男性トイレがあるんだろうと考え(韓国の雑居ビルではよくある)、探してみたがない。
仕方ないので、フロントで聞いてみたところ、「女子トイレをお使い下さい」とのこと。
元キッチンと思わしき構造の女子トイレには便器がひとつしかなく、確かに内鍵を掛ければ問題なさそうなので使用させてもらったが、肝心の鍵が、果たしてロックが掛かっているのか、そうじゃないのか、よく分からないものだったので、用を足している間、気が気ではなかった(なにせ、便器からドアまで遠く、いざという時、手で押さえられない)。
これって、運が悪いと痴漢騒ぎになりかねないのでは???
やはり、映画館の仕様はオーソドックが一番。
また行こう、という意欲が湧かない映画館ではあったが、かつての韓国らしい、という点でのみ、物好きなら一度行って見る価値はあるかもしれない。
ちなみに、同施設のサイトでは最寄り駅が地下鉄「景福宮駅」となっているが、実際は地下鉄「光化門駅」からも同じような距離、「光化門駅」から行った方が、ほぼ直線ルートなので、道順はこちらの方が分かりやすいと思う。
2017-08-06 22:25
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