Vol.289 カン・ドンウォンはオダジョーに続けるか?『チョン・ウチ』 [韓国俳優]
日本の俳優、オダギリ・ジョーは、妻夫木 聡、浅野 忠信と並んで、日本文化マニアの間で人気が高い個性派の一人、今では海外でもそれなりに認知されていることは、ご承知の通り。
オダギリ・ジョーは日本でも特異な存在だが、俳優やタレントに、紋切り型イメージを求める傾向が強い韓国では、なおさら光る。
かつて、韓国の若い知人と【韓国でオダジョーに該当するのは誰だろう?】という話をしたことがあるが、結局は【ああいうタイプは韓国にいないよ】という結論に至ったことがあった。
だから、当分の間、オダギリ・ジョーのような形容不詳な個性派が、韓国で出現することは極めて難しいと考えていたのだけど、2009年末に公開された『チョン・ウチ/전우치』でのカン・ドンウォン(강동원)は、その予想をいい意味で、さっさと裏切ってくれたようだ。
2009年韓国映画のとりを飾るべく登場した大作『チョン・ウチ/전우치』だが、作品の評判は、あまり良くない。
しかし、現代韓国娯楽映画一つの頂点を極めたかのような作品でもあって、そんなにつまらないわけではなく(長くてだれるけど)、アクションやVFXレベルの技術的高さでは、最近10年間における、韓国映画界の偏った異常進化がよくわかる例かもしれない。
無意味と思えるほど派手なシーンの連続で、九老デジタル団地で行われた大がかりなカーチェスの撮影は、知り合いの間で結構、話題になったものだ(でも、編集がヘタなので劇中の迫力はイマイチ)。
でも、そんなことよりも、なによりも、この映画最大の見どころは、やはり、主人公チョン・ウチ演じたカン・ドンウォンの【カッコ良さ+α】の魅力に尽きる。
今までの彼とはかなり違っていて、韓国人男性らしい、粗野な不貞不貞しさが加わっていて、それが実に格好よくて、その破天荒なキャラクターもまた、見事にカン・ドンウォンの個性にはまっているのだ。
彼が【ニヤリ】とほくそ笑んで、妖怪たちと激しいバトルを繰り広げる様子は、歌舞伎の十八番を彷彿させ、ばっちりと決まっているけど、韓国映画じゃ、こういうことは珍しい。
チョンウジが分身を駆使して、魔王と大乱戦するシーンは、ケレン味たっぷり、韓国映画史に残りそうな、素晴らしさだ。
俳優カン・ドンウォンは、売れる前から注目してはいたのだけど、今までの中性的でフワフワした魅力から、また一つ、予想外の進化を遂げた感じがする。
日本の偏向した韓流マーケティングでは、カン・ドンウォンの魅力を一般にアピールすることが難しいし(認知度はそこそこあるけど)、人気が出たら出たで、【韓流イケメン】とかいう、いつもの芋判を押されて、オシマイになる可能性が高いことは残念ではある。
しかし、日本を含む、海外のクリエイターたちが、カン・ドンウォンの映画的魅力にもっと気がついて、積極的に起用して欲しいと願うし、カン・ドンウォンを取り巻く関係者もまた、そういった機会に応えて欲しい、と願うのであった(でも、ボッタクリのイベントには出ないでね)。
オダギリ・ジョーは日本でも特異な存在だが、俳優やタレントに、紋切り型イメージを求める傾向が強い韓国では、なおさら光る。
かつて、韓国の若い知人と【韓国でオダジョーに該当するのは誰だろう?】という話をしたことがあるが、結局は【ああいうタイプは韓国にいないよ】という結論に至ったことがあった。
だから、当分の間、オダギリ・ジョーのような形容不詳な個性派が、韓国で出現することは極めて難しいと考えていたのだけど、2009年末に公開された『チョン・ウチ/전우치』でのカン・ドンウォン(강동원)は、その予想をいい意味で、さっさと裏切ってくれたようだ。
2009年韓国映画のとりを飾るべく登場した大作『チョン・ウチ/전우치』だが、作品の評判は、あまり良くない。
しかし、現代韓国娯楽映画一つの頂点を極めたかのような作品でもあって、そんなにつまらないわけではなく(長くてだれるけど)、アクションやVFXレベルの技術的高さでは、最近10年間における、韓国映画界の偏った異常進化がよくわかる例かもしれない。
無意味と思えるほど派手なシーンの連続で、九老デジタル団地で行われた大がかりなカーチェスの撮影は、知り合いの間で結構、話題になったものだ(でも、編集がヘタなので劇中の迫力はイマイチ)。
でも、そんなことよりも、なによりも、この映画最大の見どころは、やはり、主人公チョン・ウチ演じたカン・ドンウォンの【カッコ良さ+α】の魅力に尽きる。
今までの彼とはかなり違っていて、韓国人男性らしい、粗野な不貞不貞しさが加わっていて、それが実に格好よくて、その破天荒なキャラクターもまた、見事にカン・ドンウォンの個性にはまっているのだ。
彼が【ニヤリ】とほくそ笑んで、妖怪たちと激しいバトルを繰り広げる様子は、歌舞伎の十八番を彷彿させ、ばっちりと決まっているけど、韓国映画じゃ、こういうことは珍しい。
チョンウジが分身を駆使して、魔王と大乱戦するシーンは、ケレン味たっぷり、韓国映画史に残りそうな、素晴らしさだ。
俳優カン・ドンウォンは、売れる前から注目してはいたのだけど、今までの中性的でフワフワした魅力から、また一つ、予想外の進化を遂げた感じがする。
日本の偏向した韓流マーケティングでは、カン・ドンウォンの魅力を一般にアピールすることが難しいし(認知度はそこそこあるけど)、人気が出たら出たで、【韓流イケメン】とかいう、いつもの芋判を押されて、オシマイになる可能性が高いことは残念ではある。
しかし、日本を含む、海外のクリエイターたちが、カン・ドンウォンの映画的魅力にもっと気がついて、積極的に起用して欲しいと願うし、カン・ドンウォンを取り巻く関係者もまた、そういった機会に応えて欲しい、と願うのであった(でも、ボッタクリのイベントには出ないでね)。
Vol.284 誰、だーれ?『私は幸福です/나는 행복합니다 』 [韓国俳優]
2009年、11月26日に韓国で封切られた『私は幸福です/나는 행복합니다 』は、最近の韓国映画を象徴するような、地味で小さな、小さな作品だ。
この映画は監督のユン・ジョンチャン(윤종찬)が数年前、『青燕』上映に合わせて日本に来た時、二本の新作を企画していると話していたうちの一本だったのかもしれず、物語はイ・チョンスン(이청준)の小説『チョ・マンドク氏/조만득씨』が元になっている…なんてことは極端な話、実はどうでもよかったりする。
最大の見どころは、壱にも弐にも、主人公マンスを演じたヒョンビン(현빈)の変わりようだろう。
マンスがヒョンビンだったことが判明した時、ビックリ、呆然とさせられる。
薄汚く頭ぼさぼさ、ださいジャンパーに身を包み、行き所がなくて悶々としている田舎青年を、ヒョンビンは別人と見違えるばかりに大変身して、好演している。
体重もかなり増やしたのじゃないだろうか?
まるで、相撲部屋をやめたばかりの元力士のような風貌だ。
それはよくある【韓流イケメン】には程遠く、ヒョンビンに向ける世間の期待を、おおいに皮肉るかのような役作りにも見えた。
最近の日本でも、ヒョンビンは韓国ドラマの【韓流イケメン】として認知され、喧伝されているけど、その【無理やりアイドル】なイメージに、私はいつも、違和感がすごーく、ある。
ヒョンビン自身、アイドルとして見られることに抵抗を感じている、という話を聞いたことがあるが、それが本当なら『私は幸福です』は、彼なりの【俳優】としての主張だったのかもしれない。
『回し蹴り/돌려차기』では、真面目すぎて融通が利かないミンギュ役(しかもあまりテコンドの才能にも恵まれていない)を、本当に好演していたのだけど、この映画での、ヒョンビンに対する好評価を日本では聞いたことがない(というか、作品自体が無視状態じゃないですか?)。
でも、この作品は、彼の原点の一つだと思っている。
TVドラマの大ヒットもあって、あれこれするうちに、いつの間にやら日本でも【若手韓流スター】に仕立てられてしまったヒョンビンではあるけれど、彼の魅力とは、おしきせの【カッコイイ】とは対極的なところにあるのではないかと常々考える。
『私は幸福です』でのヒョンビンが、日本の偏ったマーケットでどういう評価を受けるかはわからないけれども、彼本来の持ち味や可能性を活かせた、大変よい仕事ぶりだった、といいたい。
【アイドルキャラ】で外貨を稼ぐのもビジネス一つの方法だが、ヒョンビンにはそれよりもなによりも、あくまでも【俳優】として、枠にはまらない方向性で、もっと活躍してほしいと願うのであった。
この映画は監督のユン・ジョンチャン(윤종찬)が数年前、『青燕』上映に合わせて日本に来た時、二本の新作を企画していると話していたうちの一本だったのかもしれず、物語はイ・チョンスン(이청준)の小説『チョ・マンドク氏/조만득씨』が元になっている…なんてことは極端な話、実はどうでもよかったりする。
最大の見どころは、壱にも弐にも、主人公マンスを演じたヒョンビン(현빈)の変わりようだろう。
マンスがヒョンビンだったことが判明した時、ビックリ、呆然とさせられる。
薄汚く頭ぼさぼさ、ださいジャンパーに身を包み、行き所がなくて悶々としている田舎青年を、ヒョンビンは別人と見違えるばかりに大変身して、好演している。
体重もかなり増やしたのじゃないだろうか?
まるで、相撲部屋をやめたばかりの元力士のような風貌だ。
それはよくある【韓流イケメン】には程遠く、ヒョンビンに向ける世間の期待を、おおいに皮肉るかのような役作りにも見えた。
最近の日本でも、ヒョンビンは韓国ドラマの【韓流イケメン】として認知され、喧伝されているけど、その【無理やりアイドル】なイメージに、私はいつも、違和感がすごーく、ある。
ヒョンビン自身、アイドルとして見られることに抵抗を感じている、という話を聞いたことがあるが、それが本当なら『私は幸福です』は、彼なりの【俳優】としての主張だったのかもしれない。
『回し蹴り/돌려차기』では、真面目すぎて融通が利かないミンギュ役(しかもあまりテコンドの才能にも恵まれていない)を、本当に好演していたのだけど、この映画での、ヒョンビンに対する好評価を日本では聞いたことがない(というか、作品自体が無視状態じゃないですか?)。
でも、この作品は、彼の原点の一つだと思っている。
TVドラマの大ヒットもあって、あれこれするうちに、いつの間にやら日本でも【若手韓流スター】に仕立てられてしまったヒョンビンではあるけれど、彼の魅力とは、おしきせの【カッコイイ】とは対極的なところにあるのではないかと常々考える。
『私は幸福です』でのヒョンビンが、日本の偏ったマーケットでどういう評価を受けるかはわからないけれども、彼本来の持ち味や可能性を活かせた、大変よい仕事ぶりだった、といいたい。
【アイドルキャラ】で外貨を稼ぐのもビジネス一つの方法だが、ヒョンビンにはそれよりもなによりも、あくまでも【俳優】として、枠にはまらない方向性で、もっと活躍してほしいと願うのであった。
Vol.279 若手を観に行ったら…オヤジが輝いていたという話『笑いの大学/웃음의 대학』 [韓国俳優]
2009年、韓国における演劇ファンの間で話題になり、大人気だったのが、三谷幸喜の『笑いの大学/웃음의 대학』だ。
チケットがなかなか入手できなかったのは、出演陣が豪華だったこともあるだろうけど、三谷幸喜という人のブランド力は、日本で想像する以上に韓国では人気があり、すでに同じスタッフで別の作品が、2010年に上演されることが決まっている。
韓国・ソウルは、元々、演劇が盛んなところ。
昔から日本の作品は結構リスペクトされ、日本に留学する演劇人はそれなりにおり、日本語に堪能な人も多い。
『笑いの大学』が恵化にある東崇劇場で2009年春に上演された時、主演にファン・ジョンミン(황정민)が配されていたので、ぜひ観に行きたかったのだけど、すでにチケットが手に入らない状態、断念せざるをえなかった(ちなみに三谷幸喜は、東崇劇場前で日本の番組収録をやっていた)。
それからしばらく経った頃。
秋に『笑いの大学』が再上演される、というニュースが届く。
しかも、主演にはあのポン・テギュ(봉태듀)が配されているというではないか。
HPを調べてみると、上演場所はイダ劇場になり、期間は10/2から1/31までとなっている(ソウル以外も含むスケジュールなので注意してください)。
という訳で、11月の香盤表が出たのを見計らい、チケットを予約、大学路まで赴いたのだった。
作家役をポン・テギュ、検察官役をソン・ヨンジャン(송영창)が演じ、黒子役でもうひとり配役されてはいるが、実質、二人だけの舞台。
戦時中の日本を舞台にしているので、そこら辺のアレンジをどうやっているのか興味があったけど、目立った韓国化への変更はなく、台詞の日本人名もそのままだ。
原作に忠実なのは、韓国における演劇の、文化的ステータスの高さからくるものかもしれない。
『笑いの大学』は、セリフの応酬が見どころの舞台なので、演じる側も観る側も気が抜けない。
だから、俳優の演技を味わう、というよりも、最初から最後まで、演出も俳優も観客も、全員がシナリオに振り回された余裕のない舞台、という印象が強かった。
作家を演じたポン・テギュという俳優は、どちらかというと、三枚目のイメージが強く、顔立ちが妙なこともあって、舞台に出ること自体が意外だったのだけど、考えてみれば、彼は若手メジャー俳優の実力派、複数の映画では主演を張っている。
彼は、日本でも公開された『浮気な家族』で、ムン・ソリ(문소리)演じるエロおばさんに誘惑される高校生役で一躍有名になった。
ポン・テギュがどういう経緯で俳優の道を歩むようになったかわからないけど、彼の仕事ぶりを観ていると「実は正統派なんじゃないかな?」と考えたりする。
ライブで観るポン・テギュは、すらりとして均整がとれた体つき、そこそこ大柄だが、顔が小さいので、華奢に見える。
そして、美肌で色白なのが印象的。
『笑いの大学』は、演じる側にとって、かなり難しい舞台だと思うけど、彼は目立ってとちることなく、そつなくこなしていた。
ただし、演技は繊細過ぎて、舞台向けではなく、インパクトが弱い。
もっと場数を踏めば、という課題と期待を今後に残した。
予想外に素晴らしかったのが、検察官演じたソン・ヨンジャン。
ポン・テギュ目当てに行ったら、真の宝はソン・ヨンジャンにあった、という感じで、舞台ならではの発見だろう。
昔からちょこ、ちょこと映画には、端役で出ているが、基本は舞台の人。
最近では『サースト~渇き~』で、キム・オクビンに、首をたたき折られるオッサンを演じていたことが記憶に新しい。
戯曲のせわしなさに負けないで、堂々と自分の個性を演技に乗せて役をこなしている。
立ち振る舞いはまさにプロ俳優そのもので、その迫力と貫録と存在感に、残念ながら新鋭ポン・テギュも全く歯が立たない、といった感じだ。
ファン・ジョンミンが出ていた時も、遥かに彼を凌駕していたというが、それは納得できる話。
職業人としての俳優を絵に描いたような、見事な仕事ぶりだ。
こういう舞台を観るたびに、韓国俳優界の奇妙な奥深さを感じるけど、そういった韓国的良さが、今の日本の「韓国=韓流」な環境では、全然伝わらないことが残念である。
「スターと俳優は違う。俳優は演じることが仕事だが、スターはスターであることが仕事だ」
これは知人、某俳優氏の言葉だが、ちょっと名言かもしれない。
韓国映画市場の変質は、映画スターを、再びTVドラマに引き戻すという現象を生み出した。
同じように、舞台に戻る人たちも、増え始めているような気もする。
本来の志が舞台にあるのならば、そのことを、ファンとして歓迎したいと思う。
チケットがなかなか入手できなかったのは、出演陣が豪華だったこともあるだろうけど、三谷幸喜という人のブランド力は、日本で想像する以上に韓国では人気があり、すでに同じスタッフで別の作品が、2010年に上演されることが決まっている。
韓国・ソウルは、元々、演劇が盛んなところ。
昔から日本の作品は結構リスペクトされ、日本に留学する演劇人はそれなりにおり、日本語に堪能な人も多い。
『笑いの大学』が恵化にある東崇劇場で2009年春に上演された時、主演にファン・ジョンミン(황정민)が配されていたので、ぜひ観に行きたかったのだけど、すでにチケットが手に入らない状態、断念せざるをえなかった(ちなみに三谷幸喜は、東崇劇場前で日本の番組収録をやっていた)。
それからしばらく経った頃。
秋に『笑いの大学』が再上演される、というニュースが届く。
しかも、主演にはあのポン・テギュ(봉태듀)が配されているというではないか。
HPを調べてみると、上演場所はイダ劇場になり、期間は10/2から1/31までとなっている(ソウル以外も含むスケジュールなので注意してください)。
という訳で、11月の香盤表が出たのを見計らい、チケットを予約、大学路まで赴いたのだった。
作家役をポン・テギュ、検察官役をソン・ヨンジャン(송영창)が演じ、黒子役でもうひとり配役されてはいるが、実質、二人だけの舞台。
戦時中の日本を舞台にしているので、そこら辺のアレンジをどうやっているのか興味があったけど、目立った韓国化への変更はなく、台詞の日本人名もそのままだ。
原作に忠実なのは、韓国における演劇の、文化的ステータスの高さからくるものかもしれない。
『笑いの大学』は、セリフの応酬が見どころの舞台なので、演じる側も観る側も気が抜けない。
だから、俳優の演技を味わう、というよりも、最初から最後まで、演出も俳優も観客も、全員がシナリオに振り回された余裕のない舞台、という印象が強かった。
作家を演じたポン・テギュという俳優は、どちらかというと、三枚目のイメージが強く、顔立ちが妙なこともあって、舞台に出ること自体が意外だったのだけど、考えてみれば、彼は若手メジャー俳優の実力派、複数の映画では主演を張っている。
彼は、日本でも公開された『浮気な家族』で、ムン・ソリ(문소리)演じるエロおばさんに誘惑される高校生役で一躍有名になった。
ポン・テギュがどういう経緯で俳優の道を歩むようになったかわからないけど、彼の仕事ぶりを観ていると「実は正統派なんじゃないかな?」と考えたりする。
ライブで観るポン・テギュは、すらりとして均整がとれた体つき、そこそこ大柄だが、顔が小さいので、華奢に見える。
そして、美肌で色白なのが印象的。
『笑いの大学』は、演じる側にとって、かなり難しい舞台だと思うけど、彼は目立ってとちることなく、そつなくこなしていた。
ただし、演技は繊細過ぎて、舞台向けではなく、インパクトが弱い。
もっと場数を踏めば、という課題と期待を今後に残した。
予想外に素晴らしかったのが、検察官演じたソン・ヨンジャン。
ポン・テギュ目当てに行ったら、真の宝はソン・ヨンジャンにあった、という感じで、舞台ならではの発見だろう。
昔からちょこ、ちょこと映画には、端役で出ているが、基本は舞台の人。
最近では『サースト~渇き~』で、キム・オクビンに、首をたたき折られるオッサンを演じていたことが記憶に新しい。
戯曲のせわしなさに負けないで、堂々と自分の個性を演技に乗せて役をこなしている。
立ち振る舞いはまさにプロ俳優そのもので、その迫力と貫録と存在感に、残念ながら新鋭ポン・テギュも全く歯が立たない、といった感じだ。
ファン・ジョンミンが出ていた時も、遥かに彼を凌駕していたというが、それは納得できる話。
職業人としての俳優を絵に描いたような、見事な仕事ぶりだ。
こういう舞台を観るたびに、韓国俳優界の奇妙な奥深さを感じるけど、そういった韓国的良さが、今の日本の「韓国=韓流」な環境では、全然伝わらないことが残念である。
「スターと俳優は違う。俳優は演じることが仕事だが、スターはスターであることが仕事だ」
これは知人、某俳優氏の言葉だが、ちょっと名言かもしれない。
韓国映画市場の変質は、映画スターを、再びTVドラマに引き戻すという現象を生み出した。
同じように、舞台に戻る人たちも、増え始めているような気もする。
本来の志が舞台にあるのならば、そのことを、ファンとして歓迎したいと思う。
Vol.274 さようなら、チャン・ジニョン…それはある時代の終焉なのかも [韓国俳優]
去る9月1日、女優のチャン・ジニョン(장진영)氏が病気で死去した。
今思えば、彼女の映画デビューと、その死は、奇しくも、韓国映画復活の10年間と重なっていたような気がする。
ゆえに、彼女の死は、ある時代の区切りのようにも思えてならないのだった。
この訃報、日本での扱いは小さかったような気もしたが、それは単に私の目に入らなかっただけのことかもしれない。
ソル・ギョング再婚報道が、結構大きく取り上げられた時は「おかしな時代になったもんだ」と思ったけれど、日本における、韓国芸能界の報道基準は、相変わらず不可解だ。
今回のニュースを聞いた時、私は衝撃を受けなかった。
というのも、彼女の出演作を観ていると、いつも「元気がない人だなぁ」と感じることが多かったからだ。
明るい役が多かったが、いつもどこかに陰りがあって、無理している感じが否めない。
あまりタフな人ではなかったのではないか。
出演作も意外に少ない。
映画は、デビューを『チャングイモ』、ブレイクするきっかけが『反則王』だとすれば、遺作となった『恋愛、その耐えられない軽さ』まで、たったの9本。
TVは3本程度(CMは結構出ていたけど、それは勘定に入れない)。
『反則王』の成功を考えれば、もっと出ていてもいいはずだけど、ほぼ1年に1本の割合、実際は2年に1本位だ。
本来だったら、この倍でも、おかしくなかっただろう。
でも、「…もしかして」と思ったことが一度あった。
それは、『青燕』製作頓挫のうわさが、悪意を持って、韓国映画界で流れていた時期のことだ。
たまたま、彼女のことをTV番組で報道していて、何かのキャンペーン出演についてだったと思う。
その時、スタジオ入りする彼女が、ほんの短い時間ではあったのだけど、映しだされたのだが、やつれ方が尋常でなかった。
撮影の疲れもあるだろうけど、あまりにも顔色が悪く、目は落ちくぼみ、まるで別人だった。
もちろん、これは亡くなる遥か前の話であり、今回の病気とは無関係なことではあるけれど、彼女が表にあまり出てこない訳を、なんとなく暗示していたような映像だった。
映画の遺作が、あのひどい『恋愛、その耐えられない軽さ』だったのは、しごく残念なことではあるけれど、1990年代後半から巻き起こった韓国映画復興の10年と歩調を合わせるように、メジャーデビューして、この世を去ったチャン・ジニョンの存在は、ひとつの時代が終焉することを象徴するような出来事だったのかもしれない。
今思えば、彼女の映画デビューと、その死は、奇しくも、韓国映画復活の10年間と重なっていたような気がする。
ゆえに、彼女の死は、ある時代の区切りのようにも思えてならないのだった。
この訃報、日本での扱いは小さかったような気もしたが、それは単に私の目に入らなかっただけのことかもしれない。
ソル・ギョング再婚報道が、結構大きく取り上げられた時は「おかしな時代になったもんだ」と思ったけれど、日本における、韓国芸能界の報道基準は、相変わらず不可解だ。
今回のニュースを聞いた時、私は衝撃を受けなかった。
というのも、彼女の出演作を観ていると、いつも「元気がない人だなぁ」と感じることが多かったからだ。
明るい役が多かったが、いつもどこかに陰りがあって、無理している感じが否めない。
あまりタフな人ではなかったのではないか。
出演作も意外に少ない。
映画は、デビューを『チャングイモ』、ブレイクするきっかけが『反則王』だとすれば、遺作となった『恋愛、その耐えられない軽さ』まで、たったの9本。
TVは3本程度(CMは結構出ていたけど、それは勘定に入れない)。
『反則王』の成功を考えれば、もっと出ていてもいいはずだけど、ほぼ1年に1本の割合、実際は2年に1本位だ。
本来だったら、この倍でも、おかしくなかっただろう。
でも、「…もしかして」と思ったことが一度あった。
それは、『青燕』製作頓挫のうわさが、悪意を持って、韓国映画界で流れていた時期のことだ。
たまたま、彼女のことをTV番組で報道していて、何かのキャンペーン出演についてだったと思う。
その時、スタジオ入りする彼女が、ほんの短い時間ではあったのだけど、映しだされたのだが、やつれ方が尋常でなかった。
撮影の疲れもあるだろうけど、あまりにも顔色が悪く、目は落ちくぼみ、まるで別人だった。
もちろん、これは亡くなる遥か前の話であり、今回の病気とは無関係なことではあるけれど、彼女が表にあまり出てこない訳を、なんとなく暗示していたような映像だった。
映画の遺作が、あのひどい『恋愛、その耐えられない軽さ』だったのは、しごく残念なことではあるけれど、1990年代後半から巻き起こった韓国映画復興の10年と歩調を合わせるように、メジャーデビューして、この世を去ったチャン・ジニョンの存在は、ひとつの時代が終焉することを象徴するような出来事だったのかもしれない。
Vol.254 ドライでクールな彼女 チェ・ウンジュ(최은주) [韓国俳優]
チェ・ウンジュ(최은주)といえば、日本でどの程度知られているかわからないけど、韓国のTVや映画では既に中堅といっていい、顔をよく知られた若手女優のひとりだ。
決して主演を張るタイプの俳優ではないが、とにかくちょこまか色々なところに出ていて、<ちょっと可愛い、妹的な三枚目>といったイメージで、男じゃなくて、韓国のオバサン方に結構人気があるらしい。
映画だと『組織暴力の妻/花嫁はギャングスター(조폭마누라)』で演じた<オンニ、ぷるぷるぷる~>が有名だ。
どちらかといえばアイドルノリのルックスだけど、見た目とは異なる、職人肌の女優なんではないかと、前から、ちょっと注目していた。
なぜなら、堂々とお笑い役を演じることが出来るし、脱ぐ時はきちんと脱ぐ。
でも、ウケ狙いではなくて、必然性があった時に、ちゃんとやる、という、プロの姿勢をいつも演技に感じさせる。
童顔で小柄なので、若く見られるが、それなりのキャリアがあるので、要求されれば、もっと幅広い役を演じられるだろう。
演技自体は正直、固く、形式的で、自由自在に演じるとか、忘れがたい印象を残す個性だとかいうタイプの俳優では、決してない。
でも、それは周りが求めているから、という、職務への忠実な堅実さから来るものであって、幾つか彼女の役を見ていると、ホントは柔軟で器用な女優なのでは?と感じるのだ。
それは男優でいえば、脇役として注目され始めた頃のイ・ムンシク(이문식)なんかと共通する、よい意味でのクレバーさを持ち合わせた女優なのである。
以前、たまたま素の彼女と会う機会があったのだけど、映画で観るイメージとはかなり異なるキャラクター、キャピキャピで明るいキャラかと思いきや、えらくクールでドライな印象のヒトであった。
芸能人は、実際会ってみると映画やドラマとは全然違うキャラ、ということはよくあるんだけど、チェ・ウンジュもまたそうだった。
最近の出演作『甘いウソ(달콤한 거짓말)』では、どういう訳だか、宣伝関係の資料から彼女の名前が外されているようなんだけど、この作品は彼女が隠れた主役なんじゃないの?というくらいの大活躍。
いまさら高校生役もないだろうけど、その狙ったようなコミカルな三枚目が光っている。
彼女のような韓国の女優は、日本ではどうしても注目を浴びにくく、それは、今の日本のドラマや映画のスタイル、そして世間が韓国というイメージに要求するものとは確かにそぐわない、という一例かもしれないが、ワンパターンな役でも、そうでない役でも、サクサクと軽快にこなせる彼女の職人肌なところは、ちゃんと評価して注目すべきだろう。
そして、こういうタイプの若手女優は、案外、韓国では希少な存在なんじゃないかな、と思うのだった。
決して主演を張るタイプの俳優ではないが、とにかくちょこまか色々なところに出ていて、<ちょっと可愛い、妹的な三枚目>といったイメージで、男じゃなくて、韓国のオバサン方に結構人気があるらしい。
映画だと『組織暴力の妻/花嫁はギャングスター(조폭마누라)』で演じた<オンニ、ぷるぷるぷる~>が有名だ。
どちらかといえばアイドルノリのルックスだけど、見た目とは異なる、職人肌の女優なんではないかと、前から、ちょっと注目していた。
なぜなら、堂々とお笑い役を演じることが出来るし、脱ぐ時はきちんと脱ぐ。
でも、ウケ狙いではなくて、必然性があった時に、ちゃんとやる、という、プロの姿勢をいつも演技に感じさせる。
童顔で小柄なので、若く見られるが、それなりのキャリアがあるので、要求されれば、もっと幅広い役を演じられるだろう。
演技自体は正直、固く、形式的で、自由自在に演じるとか、忘れがたい印象を残す個性だとかいうタイプの俳優では、決してない。
でも、それは周りが求めているから、という、職務への忠実な堅実さから来るものであって、幾つか彼女の役を見ていると、ホントは柔軟で器用な女優なのでは?と感じるのだ。
それは男優でいえば、脇役として注目され始めた頃のイ・ムンシク(이문식)なんかと共通する、よい意味でのクレバーさを持ち合わせた女優なのである。
以前、たまたま素の彼女と会う機会があったのだけど、映画で観るイメージとはかなり異なるキャラクター、キャピキャピで明るいキャラかと思いきや、えらくクールでドライな印象のヒトであった。
芸能人は、実際会ってみると映画やドラマとは全然違うキャラ、ということはよくあるんだけど、チェ・ウンジュもまたそうだった。
最近の出演作『甘いウソ(달콤한 거짓말)』では、どういう訳だか、宣伝関係の資料から彼女の名前が外されているようなんだけど、この作品は彼女が隠れた主役なんじゃないの?というくらいの大活躍。
いまさら高校生役もないだろうけど、その狙ったようなコミカルな三枚目が光っている。
彼女のような韓国の女優は、日本ではどうしても注目を浴びにくく、それは、今の日本のドラマや映画のスタイル、そして世間が韓国というイメージに要求するものとは確かにそぐわない、という一例かもしれないが、ワンパターンな役でも、そうでない役でも、サクサクと軽快にこなせる彼女の職人肌なところは、ちゃんと評価して注目すべきだろう。
そして、こういうタイプの若手女優は、案外、韓国では希少な存在なんじゃないかな、と思うのだった。
チェ・ウンジュ本人の写真は、各自でお探しください(^^!)
Vol.224 もしかしてBIGな有望株?チャ・スヨン(차수연) [韓国俳優]
最近、映画で活躍が目立つ若手女優に、チャ・スヨン(=차수연)がいる。
経歴を調べてみたら、基本的にはTVでデビュー、その後CFなんかに出ていたらしいが、このところ、小さな作品を中心に、映画出演が続いている。
なんで彼女が気になったかといえば、演技がうまいとは思えないのに関わらず、役の印象が作品ごとにまるっきり違うからなのだ。
韓国の演技派女優といえば、日本ではムン・ソリが有名かもしれないが、ムン・ソリの場合、実は確固たるキャラクターが見え隠れして、根っ子のパーソナリティーはけっこう、感じられたりする(最近、メジャーに欲を出していることは、かなり残念だ)。
チャ・スヨンを初めて観たのは(=記憶に留めたのは)日本でも公開された『永遠の魂/별빛속으로』で演じた悲劇の女子高生スジ役を観た時。
当時、実年齢もかなり若い女優なんだろうというくらいしか印象になかったんだけど、後で彼女の実年齢を知って、役柄とはけっこう開きがあったことを知る。
日本でも池脇千鶴のように、今だに高校生をやっている女優がいるくらいだから、役と年齢が離れている事自体、別に珍しくはないのだが、それよりも“ぎょっ”とさせられたのが、『美しい/아름답다』のヒロインと、『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』のヒロインの、あまりの違いだった。
なさけないことに『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』を観た時、チャ・スヨンが、『美しい/아름답다』の女優と同一人物であることを、全く気がつかなかったのである。
『美しい/아름답다』はキム・ギドク的個性に溢れたとてつもなく“へんな”映画で、それゆえ、彼女が演じたヒロインもまた、ディフォルメされ過ぎた特異なキャラではあったんだけど、『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』の薄汚い、だめだめヒロインと同一人物には、とても思えなかったのだ。
それだけ両作品の演出がすぐれていた、ともいえなくはないが、端正できつい性格の美女を演じ切った『美しい/아름답다』と、いつもポカ~ンと口を開け、臭ってきそうな汚い女の子を演じた『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』では、衝撃的にイメージが異なるのであった。
ましてや、彼女は『永遠の魂/별빛속으로』でアル中の女子高生を演じていたわけだから、この三作品を考えると、頭がこんがらかってしまう。
今の韓国映画業界は、メジャーがどんどん厳しい環境になっている反面、低予算で縛りが厳しいはずの小さな映画に、才能が集まっている、という皮肉な逆転現象が起りはじめている。
“韓流”商売をしたい企業にとって、こうした反メジャーな映画はあまり旨味がないんだろうとは思うのだけど(『銀河解放戦線』で皮肉られた)、逆にチャ・スヨンのような女優にとっては、新しい活躍の場になって来ているような気がする(『春のワルツ』のハン・ヒョジュもそう)。
それに、その他演技派俳優たちにとっても、厳しい状況の方が、逆に原点に立ち戻る、よいチャンスのような気もする。
おそらくチャ・スヨンのパーソナリティは、『美しい/아름답다』で演じたキツイ性格のヒロインに一番近いんじゃないかと思うのだけど、彼女はこのまま、インディーズの星として輝くべきであり、間違っても海外のマスコミで“韓流スター”なんて形容される存在にならないで欲しいと思う。
経歴を調べてみたら、基本的にはTVでデビュー、その後CFなんかに出ていたらしいが、このところ、小さな作品を中心に、映画出演が続いている。
なんで彼女が気になったかといえば、演技がうまいとは思えないのに関わらず、役の印象が作品ごとにまるっきり違うからなのだ。
韓国の演技派女優といえば、日本ではムン・ソリが有名かもしれないが、ムン・ソリの場合、実は確固たるキャラクターが見え隠れして、根っ子のパーソナリティーはけっこう、感じられたりする(最近、メジャーに欲を出していることは、かなり残念だ)。
チャ・スヨンを初めて観たのは(=記憶に留めたのは)日本でも公開された『永遠の魂/별빛속으로』で演じた悲劇の女子高生スジ役を観た時。
当時、実年齢もかなり若い女優なんだろうというくらいしか印象になかったんだけど、後で彼女の実年齢を知って、役柄とはけっこう開きがあったことを知る。
日本でも池脇千鶴のように、今だに高校生をやっている女優がいるくらいだから、役と年齢が離れている事自体、別に珍しくはないのだが、それよりも“ぎょっ”とさせられたのが、『美しい/아름답다』のヒロインと、『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』のヒロインの、あまりの違いだった。
なさけないことに『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』を観た時、チャ・スヨンが、『美しい/아름답다』の女優と同一人物であることを、全く気がつかなかったのである。
『美しい/아름답다』はキム・ギドク的個性に溢れたとてつもなく“へんな”映画で、それゆえ、彼女が演じたヒロインもまた、ディフォルメされ過ぎた特異なキャラではあったんだけど、『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』の薄汚い、だめだめヒロインと同一人物には、とても思えなかったのだ。
それだけ両作品の演出がすぐれていた、ともいえなくはないが、端正できつい性格の美女を演じ切った『美しい/아름답다』と、いつもポカ~ンと口を開け、臭ってきそうな汚い女の子を演じた『여기보다 어딘가에/ここよりどこかで』では、衝撃的にイメージが異なるのであった。
ましてや、彼女は『永遠の魂/별빛속으로』でアル中の女子高生を演じていたわけだから、この三作品を考えると、頭がこんがらかってしまう。
今の韓国映画業界は、メジャーがどんどん厳しい環境になっている反面、低予算で縛りが厳しいはずの小さな映画に、才能が集まっている、という皮肉な逆転現象が起りはじめている。
“韓流”商売をしたい企業にとって、こうした反メジャーな映画はあまり旨味がないんだろうとは思うのだけど(『銀河解放戦線』で皮肉られた)、逆にチャ・スヨンのような女優にとっては、新しい活躍の場になって来ているような気がする(『春のワルツ』のハン・ヒョジュもそう)。
それに、その他演技派俳優たちにとっても、厳しい状況の方が、逆に原点に立ち戻る、よいチャンスのような気もする。
おそらくチャ・スヨンのパーソナリティは、『美しい/아름답다』で演じたキツイ性格のヒロインに一番近いんじゃないかと思うのだけど、彼女はこのまま、インディーズの星として輝くべきであり、間違っても海外のマスコミで“韓流スター”なんて形容される存在にならないで欲しいと思う。
タグ:韓国映画
Vol.186 ソ・テファ(서 태화)会ってみたら「いいオトコ」だった! [韓国俳優]
先日、知人のパーティーに呼ばれ、おもいがけない豪華メンバーに出会う。
その一人に、俳優ソ・テファ(서 태화)がいた。
名前だけ書くとわからないかもしれないが、「チング/友へ(친구)」で、監督自身のアイコンである、サンテク(상택)を演じた俳優だ。
最近だと「ケンカ(싸움)」でソル・ギョング(설경구)の友人役を好演している。
また、韓国のドラマ好きの方には『恋愛時代』で大学教授、チョン・ユンス先生を演じていた俳優、といえばすぐ分るだろう。
ちょっと個性的な顔立ちで、韓国よりも日本での方が、よく見かけるタイプかもしれない。
「ケンカ」の時はかなり太っていたが、今はすっきりスマート、そのことを尋ねてみると、
「役作りのために12キロ、体重を増やしたんです」とのこと。
また、肌が白くて綺麗なので、そのことも尋ねてみるが、
「さっき、皮膚管理にいったからかな(^^)」
映画やTVで見る彼は、どちらかというと表情に乏しく、おとなしい印象だ。
しかし、実際話してみると、荒々しい攻撃的なエネルギーを感じさせる。
太陽宮を尋ねたら、「牡羊座です」
切れ長の目が、時折りカッと見開かれて目玉がクリクリと豊かに動き、白い肌に端正な顔立ちは、古代ローマの彫像を連想させた。
そう、映画や写真で観るよりも、はるかに「いいオトコ」なのだ。
どういうわけか、いつも独りで歌を口ずさむことを欠かさない。
それが不思議に感じたので、俳優になった経緯と理由を聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「自分でもわからないのです」
もともと声楽家志望で、その勉強のために、ニューヨークに5年、イタリアに1年、留学していたという。
彼からすれば、プロの俳優になったのは、偶然、ということらしい。
アメリカでの生活がクァク・キョンテク監督との出会いを生み、やがて「玉水湯(억수탕)」で韓国映画デビュー、「チング/友へ」を経て確実にキャリアを積み、今にいたるわけだが、最初からギラギラの俳優志望ではなく、運命に導かれるようにして今のポジションを得たことは何か因縁を感じさせる。
クァク・キョンテク監督が自らのアイコンとして彼を選んだのは、異邦の地で生きて来た者同士の共通性を見出したからかもしれないが、それは神の見えざる手だったのかもしれない。
日本は、つい最近、初めて訪れたばかりだそうで、日本酒にも興味を持ち始めていると語る。
私はこの場に純米酒と吟醸酒の、二種類の日本酒を持ち込んで、みんなに飲んでもらったのだが、彼が選んだのは、ワイン好きらしく、スムーズな味わいの吟醸酒の方だった。
現在、KBSドラマ『세상 끝의 눈물』で刑事役を演じた後、5月には弘大の小劇場で舞台も控えている。
それを聞いて、舞台を観にプライベートで韓国を訪れてみようかな、と思った。
楽屋に一升瓶持っていきまっせ!
………………………………………………………………………………………………
(演劇情報)>公演は終了しました。
タイトル:“트릿 / Treats”
作:Christopher James Hampton
場所:홍대 산울림 소극장(地下鉄2号線「弘大入口駅」下車 弘大こだま小劇場)
期間:5/6~6/8まで(月曜日休演)
火~~金>7時30分、 土>3時, 7時30分の2回、 日>3時
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
(最新演劇情報)>公園は終了しました。
『嵐ヶ丘』(作 エミリー・ブロンテ)
☆公演期間:2008.9/19~10/31(ソ・テファ出演は10/12まで)
☆場所:『芸術の広場(庭先)/예술 마당』4館
ソウル市・大学路(地下鉄4号線「恵化駅」下車)
ソ・テファ氏があのヒースクリフを演じます!
………………………………………………………
●上演時間 約2時間
月曜→休館
火曜→PM12時~
水、木、金→PM8時~
土→PM3時、PM7時の2回公演
日→PM3時~
※10/3(金)は→PM3時、PM7時の2回公演
………………………………………………………
(예술 마당)
http://artmadang.co.kr/zbxe/
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
その一人に、俳優ソ・テファ(서 태화)がいた。
名前だけ書くとわからないかもしれないが、「チング/友へ(친구)」で、監督自身のアイコンである、サンテク(상택)を演じた俳優だ。
最近だと「ケンカ(싸움)」でソル・ギョング(설경구)の友人役を好演している。
また、韓国のドラマ好きの方には『恋愛時代』で大学教授、チョン・ユンス先生を演じていた俳優、といえばすぐ分るだろう。
ちょっと個性的な顔立ちで、韓国よりも日本での方が、よく見かけるタイプかもしれない。
「ケンカ」の時はかなり太っていたが、今はすっきりスマート、そのことを尋ねてみると、
「役作りのために12キロ、体重を増やしたんです」とのこと。
また、肌が白くて綺麗なので、そのことも尋ねてみるが、
「さっき、皮膚管理にいったからかな(^^)」
映画やTVで見る彼は、どちらかというと表情に乏しく、おとなしい印象だ。
しかし、実際話してみると、荒々しい攻撃的なエネルギーを感じさせる。
太陽宮を尋ねたら、「牡羊座です」
切れ長の目が、時折りカッと見開かれて目玉がクリクリと豊かに動き、白い肌に端正な顔立ちは、古代ローマの彫像を連想させた。
そう、映画や写真で観るよりも、はるかに「いいオトコ」なのだ。
どういうわけか、いつも独りで歌を口ずさむことを欠かさない。
それが不思議に感じたので、俳優になった経緯と理由を聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「自分でもわからないのです」
もともと声楽家志望で、その勉強のために、ニューヨークに5年、イタリアに1年、留学していたという。
彼からすれば、プロの俳優になったのは、偶然、ということらしい。
アメリカでの生活がクァク・キョンテク監督との出会いを生み、やがて「玉水湯(억수탕)」で韓国映画デビュー、「チング/友へ」を経て確実にキャリアを積み、今にいたるわけだが、最初からギラギラの俳優志望ではなく、運命に導かれるようにして今のポジションを得たことは何か因縁を感じさせる。
クァク・キョンテク監督が自らのアイコンとして彼を選んだのは、異邦の地で生きて来た者同士の共通性を見出したからかもしれないが、それは神の見えざる手だったのかもしれない。
日本は、つい最近、初めて訪れたばかりだそうで、日本酒にも興味を持ち始めていると語る。
私はこの場に純米酒と吟醸酒の、二種類の日本酒を持ち込んで、みんなに飲んでもらったのだが、彼が選んだのは、ワイン好きらしく、スムーズな味わいの吟醸酒の方だった。
現在、KBSドラマ『세상 끝의 눈물』で刑事役を演じた後、5月には弘大の小劇場で舞台も控えている。
それを聞いて、舞台を観にプライベートで韓国を訪れてみようかな、と思った。
楽屋に一升瓶持っていきまっせ!
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タイトル:“트릿 / Treats”
作:Christopher James Hampton
場所:홍대 산울림 소극장(地下鉄2号線「弘大入口駅」下車 弘大こだま小劇場)
期間:5/6~6/8まで(月曜日休演)
火~~金>7時30分、 土>3時, 7時30分の2回、 日>3時
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『嵐ヶ丘』(作 エミリー・ブロンテ)
☆公演期間:2008.9/19~10/31(ソ・テファ出演は10/12まで)
☆場所:『芸術の広場(庭先)/예술 마당』4館
ソウル市・大学路(地下鉄4号線「恵化駅」下車)
ソ・テファ氏があのヒースクリフを演じます!
………………………………………………………
●上演時間 約2時間
月曜→休館
火曜→PM12時~
水、木、金→PM8時~
土→PM3時、PM7時の2回公演
日→PM3時~
※10/3(金)は→PM3時、PM7時の2回公演
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(예술 마당)
http://artmadang.co.kr/zbxe/
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タグ:韓国俳優
Vol.182 ソン・イルグクじゃない、チェ・ソングク(최성국)さ! [韓国俳優]
ここ最近、活躍の著しい俳優のひとりに、チェ・ソングク(최성국)がいる。
いかつい顔立ち、睨みつけるような目、「への字」口、時折覗く不気味な白い歯。
その無表情ぶりは、一般にいう優男からは程遠く見える。
だがその風貌は、野性的な素朴さも感じさせ、古典的な荒武者なんかが似合いそうだし、よく見ればけっこうイイ男のような気もする。
彼は大スターとはいえないが、その個性的な三枚目ぶりが非常に印象的な俳優であり、今、ひっぱりだこのバイプレーヤーの一人だ。
日本では「連理の枝(연리지)」が唯一まともに公開された出演作なので、知らない人が多いのは仕方ないが、顔を見れば、誰か、一発でわかる人も多いと思う。
デビューは結構古くて、既に十年選手だが、彼がブレイクしたのはなんといっても「色即是空(색즉시공)」だろう。
この映画では主人公をしごく、謎の万年大学生チェ・ソングク役を演じ、世間で大きくブレイクするきっかけとなった。
その後、独特のギャグ演技で、インパクトある脇役を数々こなし、主演作「救世主(구세주)」では盟友(?)シニ(신이)と共に、映画をスマッシュヒットさせたことは記憶に新しい。
デビュー当時は二枚目のアイドル系として期待されていたらしいから、あと十歳若ければ、「韓流イケメン」と海外マーケットに誤解、誤認され、今の大活躍はなかったかもしれない。
彼の魅力は、やはりその独特なリズムが醸し出す三枚目ぶりだ。
格好つけているけど中身がなく、いざという時も全く頼りにならない。
そんな役をやらせたら、彼は最高だ。
「救世主」はつまらない映画だったけど、彼のズレたナルシストぶり、そしてマヌケなぼんぼんぶりだけは、大爆笑モノだった。
ボケとツッコミでいえば、あきらかにボケの方、だけどホントは、もっとシリアスな役柄をこなせそうな気がする。
見た目のゴツさと、ギャグマンとしての脱力ぶり。
そこら辺のギャップが、彼の武器なのだろうけど、OFFのインタビューなんかでは、気難しそうな人物であり、寡黙な二枚目といった感じだ。
だから、ギャグマンとしてのお約束をリセットした仕事が出来れば、予想外の新境地を開くことができるのではないだろうか?
以前出演した一応時代劇「浪漫刺客(낭만자객)」は興行的にも作品的にも大失敗だったが、このネタでシリアス物をやっていれば、チェ・ソングクの評価はまた違ったものになっていたような気がしなくもない。
彼ももうすぐ四十歳。
俳優としてひとつのターニング・ポイントを迎えつつある。
そろそろ彼を真面目な二枚目やシリアスな役に起用すべき時期に来ているのではないか。
誰かが、彼を思い切った企画に起用しないかな?と、切に願うこの頃である。
いかつい顔立ち、睨みつけるような目、「への字」口、時折覗く不気味な白い歯。
その無表情ぶりは、一般にいう優男からは程遠く見える。
だがその風貌は、野性的な素朴さも感じさせ、古典的な荒武者なんかが似合いそうだし、よく見ればけっこうイイ男のような気もする。
彼は大スターとはいえないが、その個性的な三枚目ぶりが非常に印象的な俳優であり、今、ひっぱりだこのバイプレーヤーの一人だ。
日本では「連理の枝(연리지)」が唯一まともに公開された出演作なので、知らない人が多いのは仕方ないが、顔を見れば、誰か、一発でわかる人も多いと思う。
デビューは結構古くて、既に十年選手だが、彼がブレイクしたのはなんといっても「色即是空(색즉시공)」だろう。
この映画では主人公をしごく、謎の万年大学生チェ・ソングク役を演じ、世間で大きくブレイクするきっかけとなった。
その後、独特のギャグ演技で、インパクトある脇役を数々こなし、主演作「救世主(구세주)」では盟友(?)シニ(신이)と共に、映画をスマッシュヒットさせたことは記憶に新しい。
デビュー当時は二枚目のアイドル系として期待されていたらしいから、あと十歳若ければ、「韓流イケメン」と海外マーケットに誤解、誤認され、今の大活躍はなかったかもしれない。
彼の魅力は、やはりその独特なリズムが醸し出す三枚目ぶりだ。
格好つけているけど中身がなく、いざという時も全く頼りにならない。
そんな役をやらせたら、彼は最高だ。
「救世主」はつまらない映画だったけど、彼のズレたナルシストぶり、そしてマヌケなぼんぼんぶりだけは、大爆笑モノだった。
ボケとツッコミでいえば、あきらかにボケの方、だけどホントは、もっとシリアスな役柄をこなせそうな気がする。
見た目のゴツさと、ギャグマンとしての脱力ぶり。
そこら辺のギャップが、彼の武器なのだろうけど、OFFのインタビューなんかでは、気難しそうな人物であり、寡黙な二枚目といった感じだ。
だから、ギャグマンとしてのお約束をリセットした仕事が出来れば、予想外の新境地を開くことができるのではないだろうか?
以前出演した一応時代劇「浪漫刺客(낭만자객)」は興行的にも作品的にも大失敗だったが、このネタでシリアス物をやっていれば、チェ・ソングクの評価はまた違ったものになっていたような気がしなくもない。
彼ももうすぐ四十歳。
俳優としてひとつのターニング・ポイントを迎えつつある。
そろそろ彼を真面目な二枚目やシリアスな役に起用すべき時期に来ているのではないか。
誰かが、彼を思い切った企画に起用しないかな?と、切に願うこの頃である。
タグ:韓国俳優
Vol.180 ソ・ヨンヒ(서 영희) 韓国映画界いちばんの働き娘 [韓国俳優]
ここ数年の韓国映画界において、もっともたくさんの仕事をこなしている若手女優のひとりが、女優ソ・ヨンヒ(서 영희) だ。
とにかくA級、B級、メロからホラー、シリアスにコメディ、主演級から、ほんの脇役までと、なんでもかんでも出ずっぱりである。
最近では「追撃者」でもキーとなる役を演じているから、今後さらに彼女は注目されるだろうと思う。
彼女が注目されたのは、たぶん「클래식 / The Classic(邦題は省略)」。
デビューはホン・サンスの「江原道の力(질투는 나의 힘)」とのことだが、「클래식 / The Classic」での彼女は、出番が少なくても圧倒的で強烈なインパクトがあった。
「映画に出ずっぱり」、それはある意味、プロの職業人として、ただしいあり方だと思うが、とにかく出過ぎるくらい仕事をこなし続けている状態であり、「体力的に大丈夫なの?」と心配してしまうが、見かけによらず、タフな女性なのだろう。
そんな活躍し過ぎの彼女を、私は密かに「女イ・ボムス(이 범수)」と呼んでいたが、彼が今では主演クラスに格上げしてしまったので、逆に彼女に匹敵するマルチ・プレーヤーの男優は、ちょっと見当たらない気がする。
ソ・ヨンヒは、わらし顔だけど、オバさんくさくもあって、デビュー当時から年齢不詳の雰囲気が漂っていた。
可愛くもみえるし、そうでなくもみえるしで、「場」によってクルクルと顔を変えることが出来る女優である。
彼女もまた、元々は舞台系の出であったというが、映画界で売れっ子になってからは、そのキャリアは逆転してしまった感じだ。
しかし、彼女が再び舞台を踏むことがあれば、是非観て見たいと思う。
韓国映画を観ていて、タヌキ顔の演技達者な若い女優が出ていたら、まず彼女(^^)
とにかくA級、B級、メロからホラー、シリアスにコメディ、主演級から、ほんの脇役までと、なんでもかんでも出ずっぱりである。
最近では「追撃者」でもキーとなる役を演じているから、今後さらに彼女は注目されるだろうと思う。
彼女が注目されたのは、たぶん「클래식 / The Classic(邦題は省略)」。
デビューはホン・サンスの「江原道の力(질투는 나의 힘)」とのことだが、「클래식 / The Classic」での彼女は、出番が少なくても圧倒的で強烈なインパクトがあった。
「映画に出ずっぱり」、それはある意味、プロの職業人として、ただしいあり方だと思うが、とにかく出過ぎるくらい仕事をこなし続けている状態であり、「体力的に大丈夫なの?」と心配してしまうが、見かけによらず、タフな女性なのだろう。
そんな活躍し過ぎの彼女を、私は密かに「女イ・ボムス(이 범수)」と呼んでいたが、彼が今では主演クラスに格上げしてしまったので、逆に彼女に匹敵するマルチ・プレーヤーの男優は、ちょっと見当たらない気がする。
ソ・ヨンヒは、わらし顔だけど、オバさんくさくもあって、デビュー当時から年齢不詳の雰囲気が漂っていた。
可愛くもみえるし、そうでなくもみえるしで、「場」によってクルクルと顔を変えることが出来る女優である。
彼女もまた、元々は舞台系の出であったというが、映画界で売れっ子になってからは、そのキャリアは逆転してしまった感じだ。
しかし、彼女が再び舞台を踏むことがあれば、是非観て見たいと思う。
韓国映画を観ていて、タヌキ顔の演技達者な若い女優が出ていたら、まず彼女(^^)
タグ:韓国俳優
Vol.176 祝!主演&ヒット! キム・ユンソク (김 윤석) [韓国俳優]
今年二月に韓国で公開された「追撃者(추격자) / チェイサー」。
陰惨で残酷な内容ながら、大人の鑑賞に耐えうる通好みの映画、ということもあってか、予想外の大ヒットになっている。
初登場の第1週目は、ハリウッド作品に頭を抑えられて興行成績2位だったが、その後、クチコミで動員数をドンドン上げ、2008年初頭公開の韓国映画としては、「我が生涯、最高の瞬間」に並ぶヒットになることは確実だ。
見所の一つが俳優たちの熱演なのだが、まず注目は、刑事くずれのデリヘル元締めを演じたキム・ユンソク(김 윤석)だろう。
今回が映画初主演となるが、彼が主演を張るなんて、予想していなかった人の方が多かったのではないだろうか?
彼は前から脇役で注目を集めてはいた。
優れた演技力とインパクトある顔立ちで、比類なき存在感をいつも漂わせていたからだ。
ブレイクするきっかけになったのは「タチャ(타짜)」の極悪イカサマ師、アグ(아귀)役だろう。
巷の噂では、この映画の成功で彼のギャラはぐんと上がったという。
また、興行的成功はしなかったが、「天下壮士マドンナ(천하장사 마돈나 )」で主人公の父親を好演していたことも記憶に新しい。
フクロウのような顔立ちに、酒焼けしたような黒い肌、血走ったどんぐり眼と、ルックスが強烈なので演技者としてよりも個性派として印象に残ってしまうタイプの俳優だが、韓国のPDや監督たちは彼に、次なるチェ・ミンシク(최 민식)やソン・ガンホ(송 강호)を重ねているのかもしれない。
映画デビューは1994年の「어린 연인 어린/戀人」ということになっているから、実は結構映画のキャリアも長かったりする。
今回の「追撃者(추격자)」では華のある役者である事を証明した彼だが、主演者として突っ走るよりも、貴重なバイ・プレーヤーとしても併走して欲しい、と個人的には切に願ってしまうのだった。
脇でも主演でも行けるトップスター、それは韓国映画界にもっとも必要なものの1つだと思うし、そうであることが彼自身を今後も輝かせるベスト・ポジションなのではないだろうか?
陰惨で残酷な内容ながら、大人の鑑賞に耐えうる通好みの映画、ということもあってか、予想外の大ヒットになっている。
初登場の第1週目は、ハリウッド作品に頭を抑えられて興行成績2位だったが、その後、クチコミで動員数をドンドン上げ、2008年初頭公開の韓国映画としては、「我が生涯、最高の瞬間」に並ぶヒットになることは確実だ。
見所の一つが俳優たちの熱演なのだが、まず注目は、刑事くずれのデリヘル元締めを演じたキム・ユンソク(김 윤석)だろう。
今回が映画初主演となるが、彼が主演を張るなんて、予想していなかった人の方が多かったのではないだろうか?
彼は前から脇役で注目を集めてはいた。
優れた演技力とインパクトある顔立ちで、比類なき存在感をいつも漂わせていたからだ。
ブレイクするきっかけになったのは「タチャ(타짜)」の極悪イカサマ師、アグ(아귀)役だろう。
巷の噂では、この映画の成功で彼のギャラはぐんと上がったという。
また、興行的成功はしなかったが、「天下壮士マドンナ(천하장사 마돈나 )」で主人公の父親を好演していたことも記憶に新しい。
フクロウのような顔立ちに、酒焼けしたような黒い肌、血走ったどんぐり眼と、ルックスが強烈なので演技者としてよりも個性派として印象に残ってしまうタイプの俳優だが、韓国のPDや監督たちは彼に、次なるチェ・ミンシク(최 민식)やソン・ガンホ(송 강호)を重ねているのかもしれない。
映画デビューは1994年の「어린 연인 어린/戀人」ということになっているから、実は結構映画のキャリアも長かったりする。
今回の「追撃者(추격자)」では華のある役者である事を証明した彼だが、主演者として突っ走るよりも、貴重なバイ・プレーヤーとしても併走して欲しい、と個人的には切に願ってしまうのだった。
脇でも主演でも行けるトップスター、それは韓国映画界にもっとも必要なものの1つだと思うし、そうであることが彼自身を今後も輝かせるベスト・ポジションなのではないだろうか?
タグ:韓国俳優