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Vol.310 アブサントの味/『KING OF ABSINTHE PLATINUM』 [韓国と関係ない話]

 数あるチェコのアブサント酒の中で、成分と風味が強烈で有名なのが、『KING OF SPIRITS GOLD』だろう。

 このお酒、ゴッホ印のラベルが有名だが、今回の『KING OF ABSINTHE PLATINUM』は、かの文豪、ハードボイルド小説の元祖でもある、アーネスト・ヘミングウェイがラベルに掲げられている。

 『KING OF SPIRITS GOLD』は、高価なお酒であることも加え、あまりの強烈さに、煮ても焼いても喰えない酒、という感があり、カクテルに応用するにしても、個性が強すぎた。
 正直、一度飲めば「もういいや」である。

 そんな折、『KING OF ABSINTHE PLATINUM』が、セールスで売り出されている知らせが届く。

 格安といっても高いことに変わりないし、『KING OF SPIRITS GOLD』の味を考えると、イマイチ踏ん切りがつかなかったんだけど、一期一会と思って注文してみる。

 ヘミングウェイ印の『KING OF ABSINTHE PLATINUM』も、ゴッホ印の『KING OF SPIRITS GOLD』同様、瓶底にお馴染みの葉っぱが沈んでいるが、お酒自体はもっと緑色が強い。
 名酒『CZECH ABSINTH STRONG』が最近、えらく人工的で不自然な緑色になってしまったのとは違い、とっても自然な色合いだ。
 想像するに、生産量があまり多くなく、丁寧に作っているのかもしれない。

 封を切ると、強烈な香りが立ちあがる。
 グラスに注いで口に含む。

 「おや?」

 例の咳き込むような刺激を覚悟していたが、思いのほか、まろやか。
 強烈な風味は変わらないのだが、丸く優しい風味だ。
 苦味は強いし、除虫剤のような香りも同じなのだけど、アブサント独特の味がきちんとお酒に感じられる。

 フィニッシュは、ヨーグルトのような味がかすかに残るが、水で薄めると、苦味が一層強くなり、逆に飲みにくくなる感じがした。

 あまりお勧めできないアブサント酒ではあるものの、ゴッホ印の『KING OF SPIRITS GOLD』よりも万人向けかな?

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 (さるすべり式飲み方)

 ストレートあるのみ。
 ワンショットグラスに注ぎ、時間をかけて、ちびちびと舐めて味わうべき、お酒。
 時間をかけて飲むことで、口の中での味の変化が、長く楽しめる。
 ちなみに、かなり苦い。
 でも、悪酔いなし。

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Vol.305 アブサントの味/『La voie Absinthe』 [韓国と関係ない話]

 フランスのお酒と言えば、ワインやブランデーが真っ先にイメージとして浮かぶ。
 でも、たくさんリキュールも生産している。

 フランスのリキュールは、洗練されているようで、ストレートに泥臭かったりして、美味しいのか不味いのか、よくわからない事が多いように思うのだけど、これもまた、文化の差異なんだろう。

 一昔前、アブサントといえば、日本では、フランス製が代表的な銘柄だった。
 実際、日本に正規輸入されているものも、ほとんどがフランスのブランドだ。
 味はさすがに万人向けで、独特の洗練さはあるが、ちょっとおとなしいというか、力強さに欠けるので、物足りないこともある。

 田舎で作っている自家製アブサントには、大変美味なものがあるらしいが、日本ではコネがない限り、入手しようがないので、想像するしかない(韓国の地焼酎みたいなもんです)。

 この『La voie Absinthe』もまた、フレンチ系アブサントの定番らしい味わいだ。
 色はオレンジというか、明るい枯葉色なのが特徴的で、やや水っぽい感じもある。

 香りは、ぺルノーアブサントをちょっと上品にした感じで、味は、まろやかだが、アニスの香りとミントの風味が少し強いかもしれない。

 アブサント成分独特の苦みは弱く、後味が「スー」と舌の奥に残る感じだ。
 アルコール度数は40度と表記されているが、まろやかなので、もっと薄い印象を受ける。

 水で薄めると白濁するが、この手のお酒と異なるのは、あまり味が落ちないことだろう。
 でも、元々、上品で優しい味なので、とりあえずは、常温ストレートで味わう事をお勧めしたい一品だ。

 (さるすべり式飲み方)

 『La voie Absinthe』1に対して、キリンヌューダのグレープフルーツを2から3ぐらい。
 無糖、グレープフルーツ風味の炭酸水を使うのがミソ。
 レモンやライム系よりも、お酒の風味が引き立つ。
 氷は入れない方がいい。

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Vol.292 アブサントの味/『Elixir du Pays des Fēes』 [韓国と関係ない話]

 アブサントの何が魅力かといえば、やっぱり、舌に来るピリピリ感だろう。
 日本食でいえば、わさびのようなものかもしれない。

 最初は、お酒の度数が高いから、と思っていたが、決してそうではなく、あくまでもアブサントだけが持つ、至福の味わいだろう。

 『Elixir du Pays des Fēes』の良さは、そのピリピリ感と、香り高さかもしれない。
 ちょっとオレンジピール臭が強く感じられ、干しエビ臭い妙な後味が残るが、飲んだ後のフィニッシュは長い。
 
 ただ、この「干しエビ臭い妙な後味」が、飲む人によっては気になるかもしれない。
 日本にも輸入されている『Versinthe La Blanche』の風味を強化して、『Absinthe Kubler』のエッセンスを付け加えた感じだろうか。

 ラベルには可愛い妖精が瓶に酒を詰め込んでいる様子が描かれているが、これがまた、なんともヨーロッパ的な田舎臭いオシャレさを醸し出している(ちなみに『des Fēes』とは「妖精」を意味するが、これはまたアブサントの象徴でもある)。

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(さるすべり式『Elixir du Pays des Fēes』の飲み方)

 常温ストレートで飲むのが、このお酒のピリピリ感を一番よく味わえる。
 一見、風味が強そうだが、水で割ると、ヘンな臭いのつまらないアニス酒になってしまう。
 また、ロックなどにすると、風味が鈍るので、常温が一番いい。
 どうせ割るなら、と炭酸(無糖かつ香料やキニーネが入っていないもの)でやってみたところ、意外に美味しかったりする。

 ■水割り
 原酒10に対して軟水6~7程度。
 ちなみにこのお酒は、水が少なくても白濁する。

 ■ソーダ割り
 原酒1に対してソーダ2くらい。
 薄めればそれだけ飲みやすくなるが、当然風味は劣化する。

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Vol.287 アブサントの味『La Bone Mere』 [韓国と関係ない話]

 『La Bone Mere』は、ラベル、味わい、雰囲気ともに、手作り感覚いっぱいのアブサント酒だ。
 それは、日本の地焼酎を連想させる。

 このお酒最大の特徴は、甘草の風味が非常に強いことだろう。
 枯れ草色をさらに暗くした色合いは、自宅で作った薬用酒みたいだ。

 アルコール度数は60°となっているが、風味は水っぽくて、これまた手作りの薬用酒を連想させる。
 味は大変マイルドで、アブサント酒特有のピリピリした風味が最初は弱いが、後から効いてくる。

 甘草の風味が濃厚に漂うので、アブサント酒というよりも甘草酒みたいである。
 子供の頃食べた、リコリス味のアイスクリームを思い出す。

 紅茶やウーロン茶のリキュールも連想させる風味が、ちょっと異色のアブサント酒かも。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
(さるすべり式『La Bone Mere』の飲み方)

 大変マイルドなので、常温ストレートがお勧め。
 ただし、水割りにすると、甘草の風味がさらに強く感じられ、アルコール感が全然なくなり、まるで薄甘い紅茶のような味となる。

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Vol.270 アブサントの味 “ Kallnacher Absinthe ” [韓国と関係ない話]

 アブサント酒といえば、毒々しいイメージがある。

 不自然なグリーンだとか、ブルーやレッドだ。
 イエローやブラック、コバルトもある。

 これは、おそらく、酒の成分によるものではなく、売る側の商品差別化戦略であって、本来は淡い枯草色か、濃緑色が自然なのではないかと思う。

 そんな、おかしな色合いオンパレードの中で、個人的に好きなのが、透明のアブサント酒だ。
 薬草酒がなにゆえ、透明のお酒に仕上げることができるのか、その製造方法は想像するしかないけれど、透明のアブサント酒こそ、実はアブサント酒らしい味わいが漂う。

 “Kallnacher Absinthe”は、その中でも、ちょっと異端の味わいだ。

 一飲すると非常に個性が弱い味で、「あれ?」といった感じで、拍子ぬけ。
 アブサント酒特有の個性が、ちっとも感じられない。
 少しドロン、としていて、甘味が強く感じられるのが特徴だが、香りも味も、凄く弱い。
 つまり、あまり美味しい、という感じがしない酒だ。
 
 だが…

 あーら、不思議、加水するといままで隠れていた個性が、パッと花開く。
 微妙だが、味と香りに複雑さが増し、何よりもフィニッシュ感が倍増する。
 
 結論からいうと、どう飲んでも地味で控え目なお酒なので、強い個性的な味が好きな人にはあまり魅力はないとは思うが、なんだかその控え目なところが、逆に個性的なお酒である。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

-さるすべり流“Kallnacher Absinthe”の飲み方-

 常温の軟水をお酒1に対して0.8くらいで。
 加水すると白く濁るが、やや濁る程度に留めるのがコツ。
 もともと、味の腰が弱いお酒なので、加水し過ぎると風味が損なわれるし、氷を入れても、同様。
 <ドロン>とした感じを残すくらいが丁度いい。

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Vol.264 アブサントの味⑧ “Absinthe X Zele” [韓国と関係ない話]

 アブサント酒、というものは生産される国によってスタイルが言い現わされているが、その中でも有名なのがボヘミア・スタイルと呼ばれる、チェコで生産されているものだ。

 フランスやスイスのものが、どちらかといえばお洒落で小粋な感じにくらべ、チェコのものは純朴なお酒のような気がする。

 葉っぱを連想させる深いグリーンのもの以外に、やっぱりボヘミアスタイルといえば、毒々しいブルーのものだろう。

 日本で入手容易な『アブサント・チェコ』は、いったいどこにアブサントの風味が感じられるのか、よくわからない怪しい酒だが、これに限らず、チェコ製の青いアブサントは、みんな味が同じような気がする。

 薬草の風味を味わう、ということよりも、ニガヨモギの成分だけを抽出し、独特の酔い心地を目指すことに純化した感じのレシピだ。

 この『Absinthe X Zele』の味わいも、基本的には、そんな青い、ボヘミアンなアブサント酒の個性を、なんら外れるものではない。

 ただ、香りと後味がかなり濃厚で、飲んだ後スパッと風味が消えてしまい物足りない『La Fee』や『Hill's Absinth』に比べると、ヨーグルト臭い風味が、いつまでも口の中に残るし、なんだかドロンとしている。

 青いチェコ製アブサントを数種類用意して、眼隠しで飲んでも、一発で利き酒することは難しそうなくらい、似たりよったりなんだけど、『Absinthe X Zele』は、よくも悪くも、+αの個性が感じられた。

「いったい、どこがニガヨモギ?」ではあるんだろうけど、ヨーグルト臭い後味こそ、アブサント酒独特の風味なのかもしれない。

それを思うと、日本で簡単に入手できるゴッホ印のフランス製アブサント酒は、意外に優れたレシピのお酒なのかな?
………………………………………………………………………………………………
-さるすべり流『Absinthe X Zele』の飲み方-

成分が強いのでストレートはお勧めしない。
酒7:水3程度の水割りで。
冷水よりも常温がいい。
カクテルには原則として合わないと思う。

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Vol.257 アブサントの味⑦ “DEVA ABSENTA” [韓国と関係ない話]

 スペインでは、スイスやフランスその他とは違って、アブサント酒が製造禁止にはならず、今までずっと作られてきた、という話を聞いたことがある。

 それは、スペインという国が、第二次世界大戦中、枢軸側に参加せず、最後まで中立だったことを思い出させた。

 スペインって、日本ではノーテンキな南欧の国として有名だけど、歴史的にみれば、一般的に考えるよりもはるかに複雑で、それゆえ独立独歩の風土も、強いのかもしれない。

 さて、数あるスパニッシュ・アブサント酒の中でも、この“DEVA ABSENTA”は日本でも、割とポピュラーなもののひとつらしい。

 一応、日本に輸入された形跡はないんだけど、地元では普通に売られているもののようだ(つまりそんなに高級なモノではない)。

 味は、ごくフツー、奇をてらったところが一切なく、日本でも簡単に手に入るぺルノー・アブサントを、あっさり、すっきりさせた感じの味わいで、色合いもそっくりだ。

 しかし、ぺルノーよりも甘さが加減されている分だけ、日本人向けの味かもしれない。

 ニガヨモギ成分が多い味わいとは、とても思えず、それゆえ、日本に輸入してもいいんじゃない?と思ったりするんだけど、やっぱり問題があるのだろうか?

 フランスやスイスのものより値段も割安だろうし…
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
-さるすべり流“DEVA ABSENTA”の飲み方-
 味がやさしいので、ストレートでもOK。
 なお、上位の酒としてALC70%のものも存在する。
 水で割ると白濁し、ミント風味が強くなる。
 酒1:水1でも、そこそこOK、ロックでもまあまあ、いける。
 きわめてカジュアルな印象のアブサント酒だ。

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Vol.253 びっくり、オドロキ、あんぐり!『 スタートレック / STAR TREK / STAR TREK XI 』 [韓国と関係ない話]

 <驚異的に面白いと評判>

 携帯電話帯に送られてきた映画配給会社のメルマガにはそう書いてある。

 映画の宣伝なんて、昔からハッタリ商法だから、こういったコピーは頭をスルーしてしまうんだけど、今回の『 STAR TREK / STAR TREK XI 』は、<案外…>という気がしないでもない。

 なにせ、監督があのJ・J・エイブラムス。
 予想がつかない展開を用意してくれるクリエイターだが、反面、絢爛豪華な風呂敷を広げるだけ広げて、中身はスッカラカン、という可能性もある。
 だって『 ミッションインポッシブル3 』や、『 クローバーフィールド 』がそうだったから。
 一時大評判だった『 LOST 』だって、シリーズが進むにつれて、ハッタリ感は免れない。

 そういう意味では、このJ.Jエイブラハム、ジェームズ・T・カークみたいだなぁ、と考えてしまう。

 映画の予告編はどえらく面白そうに見える反面、スタートレックとは思えない派手なシーンの連続、<支離滅裂、詰め込みすぎて空中分解?>の不安が頭をよぎる。
 というわけで、いてもたってもいられないので、早速、『 STAR TREK / STAR TREK XI 』を観にいった。

 結論。

 <どえらく面白い!!>

 予想とは200%くらい違う出来映えの作品になっていて、おそらくは大抵の人の想像を超えるスタートレック、と断言してもいい。

 最初から最後まで見せ場のてんこ盛りだが、ドラマはおろそかになっておらず、決して見せ物大会で終わっていない。

 最大のサプライズは、この『 STAR TREK / STAR TREK XI 』が、今までのスタートレックの完全リメイクになっていることだろう。

 いや、流行りの言葉でいえば、リ・イマジネーション版スタートレック、『 宇宙空母ギャラクティカ 』と『 バトルスター・ギャラクティカ 』、『 機動戦士ガンダム 』と『 機動戦士ガンダムSEED 』の関係くらい、異なったスタートレックになっている。

 一応、カークやスポック以下、お馴染のクルーたちの若い時代を描く、ということになっているが、アッと驚く設定が各所に付け加えられ、どのキャラも深く掘り下げられている。

 カークはハッタリとスケコマシ度が一層ひどくなり、スポックはより複雑な内面を抱えた人物へと再構成、そして、スールーやチェコフといった脇キャラにも、大活躍する場が与えられていたのには驚いた。

 が、なんといっても本当の主人公は、スポックだろう。
 カークは一種のダメキャラ、どちらかといえば、引き立て役、ボケ役だ。
 そこに風貌がライカーっぽい、兄貴野郎のマッコイが加わって、TVシリーズお決まりのマンネリ・トリオ漫才とは全然違う、見応えのある人間ドラマになっている。
 サイモン・ペッグ演じるスコッティも、出番は少ないが、尖ったキャラが笑わせる。

 映像も美術もすべてが一新、TVイメージとは全く異なるものになっており、特にVFXは独特の映像美を湛えた、たいへん優れたものになっている。

 USSエンタープライズを含め、メカデザインが全体的にヘンテコリンなのがちょっと残念だが、リアリズム重視の仕上がりになっていて、どことなく優雅ですらあったTVシリーズの世界観とは対照的だ(でも、ブリッジやエンジンルームはあんまりよくない…)。

 TVシリーズでいえば、どちらかというと『 ディープスペースナイン 』に近い性格の作品だ。

 スタートレックの映画版、といえばトレッキーの間でも<しょぼい>という意見が一般的、かろうじて最初のロバート・ワイズ版だけが映画として評価されているが、これだって公開当時は決して、いい評判ではなかったのである。

 でも、今回の『 STAR TREK / STAR TREK XI 』 は、映画であることの意味が、もっともあった映画版スタートレックといってもいいかもしれない。

 このまま映画シリーズで行くのか、TVシリーズとして展開するのか、今は全くわからないが、スタートレック・シリーズの過去と栄光を肯定しつつも、全く別の作品へ転換することに今回は十分以上に成功した、といえるだろう。

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Vol.251 アブサントの味⑥ “King of Spirits Gold” [韓国と関係ない話]

 円高になったので、久しぶりにアブサントを注文する。

 海外には通販の専門サイトがたくさんあって、最近は日本人顧客が増えているらしく、JCBカードなんかも使えるようになってきている。

 今回紹介するチェコの“King of Spirits Gold”、日本には正規で入ってきていないが、結構有名なお酒だ。
 私が知る限りでは、このシリーズ、三種類あって、お馴染みのゴッホラベル以外に、ヘミングウェイのラベルがある。

 かつては白ラベル、赤ラベルと、どこかのウィスキーみたいだったんだけど、ゴッホ版は現在、両方とも白いラベルになっている。
 えらく高価な(私にとっては)酒なので、ちょっと注文には勇気がいった。

 注文後、早くて二週間後に到着かな?と勝手に思っていたのだが、三日で届いたので焦る。
 なんてことはない、そこのディーラーは航空便で海外に発送していたのだった。
 でも、あんまり早く来すぎると、楽しみが半減するような気も…

 そういうワケで、勇気を出して封を切る。
 酒なんて、いくら高価でも、しょせん飲まなきゃ意味のない代物だ。

 お酒の色は自然で上品な枯れ葉色。
 瓶の底にはニガヨモギらしき葉っぱが沈んでいて雰囲気を盛り上げる。

 愛用のテイスティング・グラスに少し注いでまずは香りを嗅いでみる。
 強い酒精に混じって、お馴染みのイカリソウのような、ちょっとスパイシーで胡椒くさい香りが漂う。
 私はストレート主義者なので度数が何℃あろうとそのまま飲んでみた。

 “ゲホ、ゲホ、ゲホ~ッ!”

 思わず咳き込んでしまう。
 アルコールが強かったから、というより、薬草の成分が強烈だったからだ。
 味もエラく苦い。
 アブサント=ニガヨモギは除虫剤の原料に使われるそうだが、このお酒を薄めて撒いたら、ホントに虫除けになりそうだ。
 
 ただ、味自体は素朴で力強く、一般的ではないけれど、コアな薬草酒好きには好まれるかもしれない。
 それに、なんやかんやいっても悪酔いしないし、強烈でも基本的には上品な味だろう。

 この“King of Spirits Gold”を飲んで思い出したお酒がある。
 それは、ジャンボアイエのアブサントだ。
 風味の強い、弱いの差はあるけれど、兄弟のように、味がよく似ている。

 ジャンボアイエのアブサントは、最近だいぶ、お値段が上がってしまったが、日本での供給は安定しているし、たまに買うなら買える値段。
 ストレートでクイクイ飲める点でも、いいお酒だ。
 だが、“King of Spirits Gold”、そうはいかない。

 うーん、まあ、マニアだったら、一度はこの“King of Spirits Gold”飲んでおくべきかもしれないが、正直、一般の人にはジャンボアイエをお薦めしたい(…って、私の舌が軟弱なだけ??)
………………………………………………………………………………………………
(さるすべり流““King of Spirits Gold””攻略法)
““King of Spirits Gold”1に対して、軟水を2.5~3未満程度、常温で。

砂糖は入れるべきではないだろうし、入れないと飲めない人は、お薦めしない。
普通、ここまで薄めるとマズくなるのだが、このお酒の場合は苦味が心地よくなり、チマチマと楽しめる味に変身する。
ただし、つまみで合うものが想像外…

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Vol.248 映画『ウォッチメン』ヒーローたちは暗闇に沈む [韓国と関係ない話]

 ザック・スナイダー監督の『ウォッチメン』は下馬評とおりの傑作だ。

 原作と比較すれば文句が出るかもしれないが、そもそも映画と出版は別物だから、あんまりどうのこうのいっても意味がない。

 前作『300』も、グラフィックノベルを映像化した映画だったが、手間暇かけて作っているのはよくわかるものの、全体が止まって見え、退屈で苦痛な作品だった。

 男気と根性と体力だけが過剰に溢れかえった脳ミソ筋肉なスパルタ人たちと、ハチャメチャお笑い百鬼夜行ペルシャ軍の戦いが笑えたのは最初だけ。

 ザック・スナイダーのメジャーデビュー作『ドーン・オブ・ザ・デッド』の場合、そこまでひどくはなかったが、アクションの方向に映画がさばけてしまっていて、あのJ・ロメロのオリジナルが持つ、憂鬱な時代性と絶妙なサバイバル・アクションの融合を、今の時代に再現することは、すでに無理であることを証明してしまったかのようでもあった(面白いんだけどね)。

 ところが、今回の『ウォッチメン』、最初からワンシーン、ワンシーンが素晴らしい。
 冒頭、ヒーローのひとり、“コメディアン”が惨殺されるところから始まる。
 でも、いくらジジィとはいえ、豪腕強力、下品とスケベで名を轟かした“コメディアン”はそんなすぐにはやられない。

 凄まじい乱闘の挙句、高級マンションから突き落とされて惨殺されるが、捩れた彼の死体こそ、コスチューム・ヒーローの現実であり、色んな作品が避けてきた真実の姿そのものだった。
 その後、どういう風にみっともないコスプレ・ヒーローが誕生し、どのような最後をたどり、そして『ウォッチメン』へと繋がるか、サクサクと軽快に綴られ、物語は幕を開ける。

 もちろん、メジャーの商業作だから、お話がハリウッド・パターンから外れることはないし、あんなラストじゃなければ、さらに傑作になっていたとは思う。

 だが、163分という長尺に関わらず、“4時間あってもいい!”と、久々に引きこまれた、素晴らしい作品だった。

 冷戦時代が舞台でも、それが今のご時世ときちんと重なるところも驚きだが、物事をリアルに、リアルに、と突き詰めるほど、ヒーローがリアル=世間の邪魔になるという矛盾が見事であって、これが物語をやたら面白くした。

 出てくるヒーローたちは、ダサくてみっともなくて、ブサイクだが、恥ずかしい仮面の裏側にある情けない人間像をきちんと描いたシナリオは、それらを映画的魅力へと転換してしまう。

 物語の語り部たるロールシャッハは、ただの小汚いオッサン、頭のいかれた正義漢ではあるけれど、狂気をはらみつつ、信念一徹に突き進む姿が、あまりにもストイックで格好良過ぎる。

 ロールシャッハを演じているのは、あのジャッキー・アール・ヘイリーだが、そのキャラはクリント・イーストウッドへのオマージュでありパロディであり、いつ“Go ahead. Make my day”と言い出すか、ハラハラさせられた(結局いわないけど)。

 ロールシャッハは罠にはまり、ぶち込まれた刑務所で絶体絶命危機一髪に陥るが、逆境を手にとって、敵をぶち殺してゆく姿は、まさにヒーローそのもの。
 つまり、ヒーローなんて、手が綺麗、汚いなんて関係ないのである。

 もう一人、忘れてはならないキャラが、原子を自由自在に操る、真の超人、Dr.マンハッタンだ。

 超人すぎて、いつの間にか人間社会を守ることの意義を忘れてしまった、この怪異な存在は、物語の真髄が凝縮されているようなキャラクターでもあった。

 Dr.マンハッタンは、状況に応じてきわどいブリーフやスーツを着用するものの、基本は素っ裸、南極だろうと火星だろうと、チンポコをブラブラさせて悠然としている姿は、俗世間というものを完全超越してしまっていて、笑えるどころか、まさに“フルチンは超人の印”なのである。

 スーパーヒーローなんて、結局はどこでも異形の人、アウトサイダーの極みなんだけど、『ウォッチメン』のヒーローたちは、どんなに強くても最後の最後まで人間であり、神的英雄にはなれない。

 そのみっともなさがアメコミ・ヒーロー全般の魅力でもあるんだけど、それを全面に押し出すことに成功した『ウォッチメン』は素晴らしい。
 おそらく、アメコミ・ヒーロー映画版の中でも、ベストの一本になるだろう。

 大人だったら、『ヤッターマン』よりも、『ウォッチメン』なのさ!!!

 PS.
 あんまり、面白かったので、また観にいく。
 改めて見直すと、伏線が幾つも仕込まれていることに気が付く。
 そして、上映時間優先のため、かなりのシーンが切られていることもよくわかる。

 俳優としては、“コメディアン”演じたジェフリー・ディーン・モーガンが秀逸だ。
 男から見ても、色気があって格好いい。
 また、地味だけどグレッグ・キャノム の老メイク仕事も、いつものことだが、何気に凄かったりする。

 やっぱり、2009年度BEST10の一本だろう。

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