Vol.75 パク・シニャン、メガネの貴公子 [韓国俳優]
ソウルのホテルで「銭の戦争」最終回を断片的に観る。
なぜ断片的かというと、全く興味がないから。
でも、このドラマに出ているクム・ナラ(「お金の国」っていう洒落かな?)演じるパク・シニャンを観ているうちに、彼って、今の韓国では実は数少ない、本格的な個性派スターなのではないかと、いまさらながら考え始める。
彼は二枚目でも三枚目でもない。
演技派か?といえば、そうでもないが、かといって下手なわけではない。
演技スタイルはかなり癖があって、嫌いな人は嫌いだけれど、当人はそれをわかってやっていて、あえて精進し続けているような気がする。
要は、一方的なカテゴリー分けができない俳優なのだ。
少し前まで、韓国の男優といっただけで、よく知りもしないのに激しい拒絶反応を示す日本人が、実は結構いた。
それがいつの間にか、いい男ばかりいる国、という別の偏見にすり替わり、特定の熱心なファンを生み出したが、特定のスター以外は、どうでもいいことになってしまったような気がする。
今の韓国は皆の好みが細分化して、「スター」がいっぱいだ。
逆に日本における「韓国のスター」というものは、どんどん狭くなっていっているのではないか。
だけど、韓国は元々小演劇が盛んな国だから、男も女も、個性的で魅力的な俳優が実はたくさんいる。
単に商売にならないから、日本企業は彼らを紹介しないだけなのだろう。
そういえばパク・シニャンも某TV局が中心になって、日本でちょっと売り込もうとしたことがあったけど、世間の反応は冷たかった、という記憶がある。
かつて筆者はクォン・ヘヒョの招聘を日本の会社に提案したことがあった。
でも会社の反応は鈍い。
「…だって、マスコミが来なかったら、かわいそうでしょ。日本では誰も知らないから」
でも「冬のソナタ」大ヒット後の、彼の扱いは知っての通り。
まあ、それはいいけど、パク・シニャンは、事前にそれなりに有名であっても、日本のアイコンにはならなかった。
でも、逆にそれでよかったのではないかと思う。
最近のパク・シニャンは、とっても味があって魅力的に思えることが多くなった。
実は彼、けっこう何を着ても似合う俳優であることにも気が付いた。
かつてのパク・シニャンは端正なスーツがユニフォームみたいなところがあって、実際、紳士服メーカーのアイコンをやっていたこともあったが、「銭の戦争」では例の韓国カジュアルで通している。
それが格好よいかどうかは別だけど、彼はきちんとそのラフなファッションを着こなしていて、それが結構似合っている。
彼の年齢で、こういった服装を着こなせる韓国の俳優は、まだまだ少ないと思う。
でも、彼最大のポイントは、やはりそのメガネだろう。
パク・シニャンほど、それをチャームポイントにして成功しているスターもまた珍しい。
だから「達磨よ、遊ぼう!」では、彼がメガネを外した姿が売りになったりする訳だ。
考えようによっては、たいした自己演出力である。
筆者はパク・シニャンの格別な支持者でもなんでもないけれど、海外での安易な人気に頼らない韓国の韓国人スターとして、これからもその活躍を見守りたいと思う。
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