Vol.108 復活のキム・イングォン [韓国俳優]
キム・イングォンという俳優がいる。
1978年生まれだから、韓国式にいえば30歳、まだまだこれからの俳優だ。
芸暦は結構長くて、一応、日韓合作第一弾となっている「愛の黙示録」(1997年 監督 金朱容)がデビュー作らしい。
彼はずっと脇役専門の俳優であり、見かけは正直、かなり不細工だ。
しかし、優れた演技力と印象に残る個性力、仕事への真面目な性格が色々なところで評判を呼び、韓国では評価が高い若手バイプレーヤーの一人である。
彼はお笑い演技をやらせると天下一品なので、そのルックスと共に誤解されがちだが、本人はとにかく真面目でお堅い性格らしく、ギャグ演出をなかなか理解してくれないという。
そのキム・イングォンが兵役を終えてスクリーンに帰ってきた。
正確にいえば、TVの方が先だったのだが、現在上映中の2作品「マイファーザー」と「二つの顔を持つガールフレンド/こんにちは、アニ」に重要な役柄で立て続けに出演し、両作品のダメな部分を、誠実な演技で大きく支えている。
彼が兵役についたのはちょうど、韓国や日本が「韓流スター徴兵ごまかし事件」で大騒ぎをしていた時だ。
その時分、既に徴兵年齢を過ぎているにも関わらず、徴兵命令がこないことを彼は非常に気にしていて、世間が「韓流スター徴兵ごまかし事件」で大騒ぎをしたことをきっかけに、自ら志願して軍隊に入ったらしい。
そして選んだのが、訓練が厳しくて韓国人男性から嫌がられている「戦闘警察」だった。
ここは「警察」とは名が付いていても、管轄は軍であり、実際に韓国が戦争状態になった場合、市街戦の先頭に立って戦わねばならない厳しい部署なのだ。
それから約二年後、遂にキム・イングォンが芸能界に帰ってきた。
もともと注目を浴びていた俳優だったから、即TVドラマのレギュラーを射止め、立て続けに映画に出ている。
厳しい軍隊生活のためか、すっかり痩せて精悍になった彼だが、演技的には、昔の器用さ、柔軟さがなくなり、ゴチゴチで真面目一徹になってしまった感じだ。
その変わりぶりを見ていると、軍隊生活が俳優としての人生にマイナスにならなければ、とちょっと心配してしまうのではあるが、そういった影響が抜けて、再び彼ならではの魅力を取り戻してくれることを、今後期待して見守りたいと思う。
一刻も早く、シャバの空気に馴染んでほしいものである。
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