Vol.144 ユン・ジェムン 新星登場 [韓国俳優]
韓国を一時熱狂の渦に巻き込んだ、映画バブルがもたらしたものの一つが、韓国内スターの不足と、それを補填する新しいスターの発掘だった。
映画の本数が増えるにつれて、主演級の俳優たちが明らかに足りなくなり、それをチャンスにしてスターの座を掴んだ個性派&演技派の代表がイ・ムンシクとイ・ボムス、オ・ダルスやソン・ジルだった。
こうした脇役から主演級への移行にともなう、脇役不足の問題は、演劇界の中堅がそれを補うことで、新人が映画界で活躍する機会を増やしたが、お馴染みのバイ・プレーヤーを実質失ってしまった、というマイナス面ももたらした。
俳優ユン・ジェムンも、そんな中、新たな名脇役として登場した新星の一人。
映画デビューは2000年くらい、メジャー作品で本格的に活躍するようになったのは、ここ二、三年。
しかし今現在、とにかく、大小さまざまな韓国映画で引っ張りだこになっている。
私が最初に強く印象づけられたのは、ムン・スンウク監督の「ロマンス」だった。
最初は悪役系が多かったが、2007年の「肩ごしの恋人」では、優しすぎるヒロインの夫を好演、これから日本でもある程度、彼を記憶に留める人はいるだろう。
ユン・ジェムンは、1970年の生まれ、演劇界では既に活躍していた、いわば中堅俳優といってもいいのだけど、世間一般では認知されていなかったから、映画では新鮮で、とても目立っている。
どこか腹黒く、ワルっぽい中年男性をやらせたらよく似合う人物だが、何気で色々な役をこなせる俳優でもある。
彼が今後、イ・ムンシクのような大スターになってしまうか、アン・ネサンやチャン・ヒョンソンのような微妙なポジションにつくかは、もうしばらく経たないとわからない。
でも、悪い意味での映画バブルが既に終わってしまい、関係者がこれからどうしよう??と右往左往している最近の韓国映画界において、ユン・ジェムンのような俳優こそ、本領発揮の場が増えそうな気もする。
俳優という職業は、スターになると、可能性という点では逆にチャンスを失ってしまうことも起き得るわけで、ユン・ジェムンには、妙にスターになるよりも、今の路線をずっと貫いてほしいとも思うのだった。
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