Vol.233 やっぱりアダ花になっちゃった?『面白い映画(재밌는 영화 )』を再考する [韓国映画]
『面白い映画(재밌는 영화 )』…
この作品を覚えている人はどのくらい、いるだろうか?
公開されたのが2002年4月だったから、まさに当時は韓国映画界バブルの全盛期。
韓国ではそこそこヒットしたが、全編コアな韓国映画のパロディ集、しかも露骨な天皇ネタがあったためか、日本では、地方のイベントでチョロッとだけ公開されたきり(CATVで放映したのかな?)。
このDVDを持っていたので、久々にみて観る。
公開当時は気がつかなかったが、今の韓国映画と比べても、とても贅沢に作られた作品であったことに驚かされた。
韓国でコメディといえば「安っぽい、志が低い、銭もうけ」ものであると、最初から軽蔑されがちなジャンルであるけれど、この『面白い映画』には、そういう安易さが微塵もなく、各韓国映画からの引用が実に凝って再現されているのである。
今、これと同じレベルで映画を韓国で製作費しようとしたら、いったい幾らかかるのだろうか。
監督も今じゃ、名匠(ちょっと大げさかな?)のチョン・ギュソン。
出演も、イム・ウォニ、キム・ジョンウン、キム・スロにソ・テファその他諸々と、今ではこの手の映画へ出そうもない有名な人たちがチラホラ、実は大変な豪華キャストの映画だったりする(ギャラの調整が大変だったそうです)。
六平直政が極右軍人役で出ているところも注目(このことって公然の秘密なんでしょうか?)。
お話の基本は『シュリ』をベースにした、韓国公安と、日本人極右テロリストの戦いだ。
そこに『情無用情け容赦なし』や『グリーン・フィッシュ』、『チング/友へ』などの有名シーンを織り交ぜながら、お話は進んで行くのだけど、とにかく手抜きがなくて、忠実に映画の有名シーンをパロディで再現している。
特に、イ・チャンドン作品のパロディなんかも、いまじゃ誰もやらないだろう。
個人的に一番笑えたのは、『西便性 / 風は丘をこえて』のネタ。
短いシーンなんだけど、あまりにそっくりなんで笑ってしまった。
もうひとつが、誤って液体爆薬でラーメンを煮てしまい、爆発するところ。
洗練もなにもあったもんじゃないベタなギャグなんだけど、それがまた、当時の韓国らしくて可笑しかった。
九州出身の友人(日本人)に、このDVDを見せたところ、「念力スカートめくりは、子供の頃、地元ですごく流行った」と感動していた。
竹島VS独島ネタだとか、天皇暗殺ネタだとか、その天皇がボケた老人だったりとか、日本側配給会社にとって、危なくて手をつけられない映画であることは、即わかるのだけど、当時も今も、この作品からは、韓国によくある無邪気な悪意は感じられず、反対に、人の善意を描き続けてきたチャン・ギュソンら、クリエイターたちの作品性の方がよく出ている気がする。
こういったネタは、どちらかといえば個人的には反感を感じることの方が多いのだが、なぜか、怒る気になれない映画なのであった。
今は、極東をめぐる情勢に日本人が神経質にならざるをえない時代だから、この映画を不快に感じたり、激怒する人がいるのは仕方ないし、それは当然なんだけど、単純に国辱モノだなんだと騒ぐ前に、深刻な問題だからこそ、逆に、日韓一緒に笑い飛ばせるような心の余裕や遊び心もまた、より必要なんじゃないかとも、考えてしまうのだった。
私はこの映画を当時、「韓国映画のアダ花になるのでは?」と評したが、『2009ロスト・メモリーズ』と並んで、そうなってしまったことが残念…
この作品を覚えている人はどのくらい、いるだろうか?
公開されたのが2002年4月だったから、まさに当時は韓国映画界バブルの全盛期。
韓国ではそこそこヒットしたが、全編コアな韓国映画のパロディ集、しかも露骨な天皇ネタがあったためか、日本では、地方のイベントでチョロッとだけ公開されたきり(CATVで放映したのかな?)。
このDVDを持っていたので、久々にみて観る。
公開当時は気がつかなかったが、今の韓国映画と比べても、とても贅沢に作られた作品であったことに驚かされた。
韓国でコメディといえば「安っぽい、志が低い、銭もうけ」ものであると、最初から軽蔑されがちなジャンルであるけれど、この『面白い映画』には、そういう安易さが微塵もなく、各韓国映画からの引用が実に凝って再現されているのである。
今、これと同じレベルで映画を韓国で製作費しようとしたら、いったい幾らかかるのだろうか。
監督も今じゃ、名匠(ちょっと大げさかな?)のチョン・ギュソン。
出演も、イム・ウォニ、キム・ジョンウン、キム・スロにソ・テファその他諸々と、今ではこの手の映画へ出そうもない有名な人たちがチラホラ、実は大変な豪華キャストの映画だったりする(ギャラの調整が大変だったそうです)。
六平直政が極右軍人役で出ているところも注目(このことって公然の秘密なんでしょうか?)。
お話の基本は『シュリ』をベースにした、韓国公安と、日本人極右テロリストの戦いだ。
そこに『情無用情け容赦なし』や『グリーン・フィッシュ』、『チング/友へ』などの有名シーンを織り交ぜながら、お話は進んで行くのだけど、とにかく手抜きがなくて、忠実に映画の有名シーンをパロディで再現している。
特に、イ・チャンドン作品のパロディなんかも、いまじゃ誰もやらないだろう。
個人的に一番笑えたのは、『西便性 / 風は丘をこえて』のネタ。
短いシーンなんだけど、あまりにそっくりなんで笑ってしまった。
もうひとつが、誤って液体爆薬でラーメンを煮てしまい、爆発するところ。
洗練もなにもあったもんじゃないベタなギャグなんだけど、それがまた、当時の韓国らしくて可笑しかった。
九州出身の友人(日本人)に、このDVDを見せたところ、「念力スカートめくりは、子供の頃、地元ですごく流行った」と感動していた。
竹島VS独島ネタだとか、天皇暗殺ネタだとか、その天皇がボケた老人だったりとか、日本側配給会社にとって、危なくて手をつけられない映画であることは、即わかるのだけど、当時も今も、この作品からは、韓国によくある無邪気な悪意は感じられず、反対に、人の善意を描き続けてきたチャン・ギュソンら、クリエイターたちの作品性の方がよく出ている気がする。
こういったネタは、どちらかといえば個人的には反感を感じることの方が多いのだが、なぜか、怒る気になれない映画なのであった。
今は、極東をめぐる情勢に日本人が神経質にならざるをえない時代だから、この映画を不快に感じたり、激怒する人がいるのは仕方ないし、それは当然なんだけど、単純に国辱モノだなんだと騒ぐ前に、深刻な問題だからこそ、逆に、日韓一緒に笑い飛ばせるような心の余裕や遊び心もまた、より必要なんじゃないかとも、考えてしまうのだった。
私はこの映画を当時、「韓国映画のアダ花になるのでは?」と評したが、『2009ロスト・メモリーズ』と並んで、そうなってしまったことが残念…
↑ OSTも名盤です
タグ:韓国映画音楽(OST)
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