Vol.259 ある女性監督との対話、ってほどではないけれど①『今、このままがいい』 [韓国映画]
韓国で春に公開された『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』は、作家性とコストパフォーマンスの両立を狙ったかのような作品だ。
これは、最近2、3年の流れの一つではあるが、韓国映画界のうねりというものが、原点回帰を目指して自己修復を始めているように思えてならない。
また、いわゆる<韓国映画の日本映画化現象>の一端にも思えるが、それは単に私の色眼鏡。
ただ、商業作品とインディーズ作品を無理やり分けようとする韓国映画界の方が<ヘン>であって、『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』のようなスタイルの方が、韓国のマーケットにより適しているんじゃないかと考えたりもする。
先日、この映画に出演していた俳優A氏の紹介で、監督のブ・ヨンヒ氏と会う機会があった。
監督の姓を聞いて、わかる人はわかるだろうけど、ブ・ヨンヒ監督は済州島の人だ。
韓国映画界で活躍する済州島出身者は意外に多く、その特徴として挙げられるのは<近所の知り合いだった>とか<学校の同級生だった>とか、とてもご近所的な繋がりの傾向が濃い、ということだろうか。
ちなみに俳優A氏とブ・ヨンヒ監督の関係も、<近所の知り合いだった>の方である。
映画監督だから、どんな怖い人が来るかな?と思っていると、やってきたのは、利発でとても可愛い女性だった。
弘大入口駅にあるポッサム屋で焼酎を飲みながら聞いてみる。
「映画の中の家族関係って、ちょっと無理がありません?観客が、わかりにくいんじゃありません?」
「えー?そんなことありませんよ!わかります、わかりますよ!」
映画を観た方ならご存知だろうが、この『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』は家族関係を巡るミステリになっていて、それが最後に衝撃的に明かされる。
また、そこら辺は、ちょっと岩井俊二の『ラブレター』を連想させる。
劇場では声を上げて驚く観客がいたくらいだったから、まあ、映画的仕掛けとしては成功していたんだろうけど、個人的には腑に落ちなかったので、ちょっと意地悪くそのことを尋ねてみたのだった。
この映画のシナリオは長年温めていた企画、というわけではなく、仕事の依頼が入ってから二か月ほどで書き上げた、という。
この作品最大の売りは、なんといっても、主演にコン・ヒョジンとシン・ミナの二人を配していることだろう。
いくら韓国映画界が昔に比べてお金が回っていないとはいえ、スターはスター。
この二人が、メジャーではない小作品で顔を合わせたこと自体が既に事件だと思ったので、「オファーは大変だったでしょう」と尋ねてみたが、シン・ミナに関して言えば、全く逆だったという。
監督の話によれば、シン・ミナはこの役を引き受けることに非常に積極的で、シナリオを読んで、すぐ本人から承諾の返事が来たらしい。
シン・ミナといえば、かつては韓国某大手事務所の所属、そこは管理がうるさいことで有名な会社だが、すでにそこから別の事務所に移っていたことを、芸能情報に疎い私は、初めて知って驚いた。
シン・ミナといえば<明るく弾けた元気な女の子>というイメージが今でも強く、彼女を映画で初めて観たときに、<こりゃあ、将来スターになるな>と確信は持っていたんだけど、その後、どういう訳か、作品には恵まれない、というのが私の印象だ。
確かに『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』でのシン・ミナは、今までのイメージとは異なる役を演じている。
演じるヨンウンは無口でおとなしく、暗く、そして神経質だ。
それは、今まで世間が彼女に対して求めてくるイメージを、激しく拒絶しているようでもある。
残念ながら、結論として、決して成功した役作りとは言い難いが、彼女の固定イメージを、幾分かは覆せていたとは思う。
でも、同時に、そんな暗い役だったからこそ、どこかでパッと弾けるような笑顔があれば、とも思ってしまったんだけど、それがシン・ミナを悩ませていた<モノ>だったのかもしれない。
これは、最近2、3年の流れの一つではあるが、韓国映画界のうねりというものが、原点回帰を目指して自己修復を始めているように思えてならない。
また、いわゆる<韓国映画の日本映画化現象>の一端にも思えるが、それは単に私の色眼鏡。
ただ、商業作品とインディーズ作品を無理やり分けようとする韓国映画界の方が<ヘン>であって、『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』のようなスタイルの方が、韓国のマーケットにより適しているんじゃないかと考えたりもする。
先日、この映画に出演していた俳優A氏の紹介で、監督のブ・ヨンヒ氏と会う機会があった。
監督の姓を聞いて、わかる人はわかるだろうけど、ブ・ヨンヒ監督は済州島の人だ。
韓国映画界で活躍する済州島出身者は意外に多く、その特徴として挙げられるのは<近所の知り合いだった>とか<学校の同級生だった>とか、とてもご近所的な繋がりの傾向が濃い、ということだろうか。
ちなみに俳優A氏とブ・ヨンヒ監督の関係も、<近所の知り合いだった>の方である。
映画監督だから、どんな怖い人が来るかな?と思っていると、やってきたのは、利発でとても可愛い女性だった。
弘大入口駅にあるポッサム屋で焼酎を飲みながら聞いてみる。
「映画の中の家族関係って、ちょっと無理がありません?観客が、わかりにくいんじゃありません?」
「えー?そんなことありませんよ!わかります、わかりますよ!」
映画を観た方ならご存知だろうが、この『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』は家族関係を巡るミステリになっていて、それが最後に衝撃的に明かされる。
また、そこら辺は、ちょっと岩井俊二の『ラブレター』を連想させる。
劇場では声を上げて驚く観客がいたくらいだったから、まあ、映画的仕掛けとしては成功していたんだろうけど、個人的には腑に落ちなかったので、ちょっと意地悪くそのことを尋ねてみたのだった。
この映画のシナリオは長年温めていた企画、というわけではなく、仕事の依頼が入ってから二か月ほどで書き上げた、という。
この作品最大の売りは、なんといっても、主演にコン・ヒョジンとシン・ミナの二人を配していることだろう。
いくら韓国映画界が昔に比べてお金が回っていないとはいえ、スターはスター。
この二人が、メジャーではない小作品で顔を合わせたこと自体が既に事件だと思ったので、「オファーは大変だったでしょう」と尋ねてみたが、シン・ミナに関して言えば、全く逆だったという。
監督の話によれば、シン・ミナはこの役を引き受けることに非常に積極的で、シナリオを読んで、すぐ本人から承諾の返事が来たらしい。
シン・ミナといえば、かつては韓国某大手事務所の所属、そこは管理がうるさいことで有名な会社だが、すでにそこから別の事務所に移っていたことを、芸能情報に疎い私は、初めて知って驚いた。
シン・ミナといえば<明るく弾けた元気な女の子>というイメージが今でも強く、彼女を映画で初めて観たときに、<こりゃあ、将来スターになるな>と確信は持っていたんだけど、その後、どういう訳か、作品には恵まれない、というのが私の印象だ。
確かに『지금, 이대로가 좋아요 / 今、このままがいい』でのシン・ミナは、今までのイメージとは異なる役を演じている。
演じるヨンウンは無口でおとなしく、暗く、そして神経質だ。
それは、今まで世間が彼女に対して求めてくるイメージを、激しく拒絶しているようでもある。
残念ながら、結論として、決して成功した役作りとは言い難いが、彼女の固定イメージを、幾分かは覆せていたとは思う。
でも、同時に、そんな暗い役だったからこそ、どこかでパッと弾けるような笑顔があれば、とも思ってしまったんだけど、それがシン・ミナを悩ませていた<モノ>だったのかもしれない。
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