Vol.278 アヒルの味/光州を行く⑦ -最終回- [韓国の食]
光州の名物…といえば、ソウル辺りだと「オリタン(アヒルのスープ)」という認識が一部であるらしい。
光州市の観光ガイドにもとりあえず「オリタン通り」の紹介がされているが、地元の認識は必ずしも名物、ということではないようだ。
韓国ではこの「オリタン」、割と普通な料理。
でも、このアヒル肉というものは、美味い、不味いの差が劇的なくらいあり、ソウルにある、そこそこ高級な専門店でもハズレを引くと、かなり後悔することになる。
ハズレはとにかく、臭い。
まるで、学校のロッカールームで犬を飼っているような匂いがする。
なので、個人的にはあまり美味しい、というイメージがなく、進んで食べたいとは思わない料理だ。
さて、ソウル在中のグルメな友人の勧めもあって、光州の「オリタン通り」に行く。
ここで出されるオリタン=アヒルの味噌仕立てスープは、どえらく旨いという。
場所は国鉄光州駅から徒歩で10分程度、道も単純だ。
光州市内の孤島なランドマーク、現代百貨店の裏側面方向に、その浮いた「通り」はあった。
つまり、光州市街の商業中心地から外れた場所。
どこのお店も似たような構え、TVで何度も紹介されているらしきお店には、客足が目立つが、そんな店にいっても、情報操作にのせられているみたいで面白くないので、この街に来た時から目をつけていた、とある一軒に向かう。
なぜ、そのお店に目を付けていたかというと、店構えが他とは明らかに違う、独特な雰囲気の奇妙なお店だったからだ。
一見、精肉店のようであり、ウィンドウから覗き込むと、奥に客間が見えるが、すべて閉ざされていて、外から様子は全くわからない。
だけど、注意してみれば、靴がたくさん脱ぎ散らかしてあって、どうやら客は結構、来ているようだ。
同じようなお店が何軒も連なるこの場所で、このとにかく目立たない経営姿勢は、なんとも奇っ怪。
その店の前で友人と「どうしようか」などと話していると、軒先に駐車した4WDから降りてきた男性が「お食事ですか?」と声をかけてきた。
その男性こそ、この名店の主人だった。
お店に入ると、外から見るよりもずっと広い。
どうやら、食べることに集中するように、という配慮で、こういう変わったレイアウトになっているようだ。
メニューを観て、ちょっと驚く。
ここの売りは、オリタンではなく、薬膳ダレのアヒル焼肉なのだ。
オリタンの臭いに、日頃からよい印象を持っていなかったので、アヒル焼肉を注文するが、これが大当り。
肉に臭みが全くなく、薬膳ダレは、あっさりした味わい。
生姜の味が濃厚なのが特徴で、韓国では珍しい味だ。
その薬膳ダレにアヒル肉を漬け込んだ味かといえば、そうではなく、あくまでも肉自体を味わう如きレシピ。
その日は、時間も時間、暇だったのか、お店の方針なのか、主人がつきっきりで焼いてくれた。
以前、農協でサラリーマンをやっていたというその人物は、もともと料理が趣味で、脱サラして店を開いた、という。
特徴である生姜は、最初から薬膳ダレにつけ込んでいるわけではなく、いくつかの段階の過程を経て、入れるらしい。
浅く漬けるか、深く漬けるか、このお店の場合、前者のわけだが、その淡白さが、光州らしい味付けだ。
突きだしに筍の和え物が出てくるが、ソウルの食堂ではみかけない。
これもまた美味しいのだが、なんと、全て自家製の筍。
旬の時期に収穫したものを冷凍して保存して使っているとのことだったが、そうしないと、味の品質が維持できない、という。
前に紹介したコマク=灰貝と同様、このお店もまた、随分と贅沢だなぁ、と感心してしまう。
お酒は、地元の酒造メーカー、宝海のレモン焼酎があったので注文する。
個人的に宝海の焼酎は、最低、最悪と思っているので日頃絶対飲まないのだが、このレモン焼酎は、そこそこ飲めた。
でも、あまり流通していない焼酎だ。
料理の締めは、骨から煮出したオリタンを食す。
アヒルの小骨を味噌でじっくり煮込んだ味は、濃厚でこってり、ラーメンに応用できそうな美味しさだ。
うーん、なんて贅沢…
食の街・光州を象徴するひとときだった。
光州市の観光ガイドにもとりあえず「オリタン通り」の紹介がされているが、地元の認識は必ずしも名物、ということではないようだ。
韓国ではこの「オリタン」、割と普通な料理。
でも、このアヒル肉というものは、美味い、不味いの差が劇的なくらいあり、ソウルにある、そこそこ高級な専門店でもハズレを引くと、かなり後悔することになる。
ハズレはとにかく、臭い。
まるで、学校のロッカールームで犬を飼っているような匂いがする。
なので、個人的にはあまり美味しい、というイメージがなく、進んで食べたいとは思わない料理だ。
さて、ソウル在中のグルメな友人の勧めもあって、光州の「オリタン通り」に行く。
ここで出されるオリタン=アヒルの味噌仕立てスープは、どえらく旨いという。
場所は国鉄光州駅から徒歩で10分程度、道も単純だ。
光州市内の孤島なランドマーク、現代百貨店の裏側面方向に、その浮いた「通り」はあった。
つまり、光州市街の商業中心地から外れた場所。
どこのお店も似たような構え、TVで何度も紹介されているらしきお店には、客足が目立つが、そんな店にいっても、情報操作にのせられているみたいで面白くないので、この街に来た時から目をつけていた、とある一軒に向かう。
なぜ、そのお店に目を付けていたかというと、店構えが他とは明らかに違う、独特な雰囲気の奇妙なお店だったからだ。
一見、精肉店のようであり、ウィンドウから覗き込むと、奥に客間が見えるが、すべて閉ざされていて、外から様子は全くわからない。
だけど、注意してみれば、靴がたくさん脱ぎ散らかしてあって、どうやら客は結構、来ているようだ。
同じようなお店が何軒も連なるこの場所で、このとにかく目立たない経営姿勢は、なんとも奇っ怪。
その店の前で友人と「どうしようか」などと話していると、軒先に駐車した4WDから降りてきた男性が「お食事ですか?」と声をかけてきた。
その男性こそ、この名店の主人だった。
お店に入ると、外から見るよりもずっと広い。
どうやら、食べることに集中するように、という配慮で、こういう変わったレイアウトになっているようだ。
メニューを観て、ちょっと驚く。
ここの売りは、オリタンではなく、薬膳ダレのアヒル焼肉なのだ。
オリタンの臭いに、日頃からよい印象を持っていなかったので、アヒル焼肉を注文するが、これが大当り。
肉に臭みが全くなく、薬膳ダレは、あっさりした味わい。
生姜の味が濃厚なのが特徴で、韓国では珍しい味だ。
その薬膳ダレにアヒル肉を漬け込んだ味かといえば、そうではなく、あくまでも肉自体を味わう如きレシピ。
その日は、時間も時間、暇だったのか、お店の方針なのか、主人がつきっきりで焼いてくれた。
以前、農協でサラリーマンをやっていたというその人物は、もともと料理が趣味で、脱サラして店を開いた、という。
特徴である生姜は、最初から薬膳ダレにつけ込んでいるわけではなく、いくつかの段階の過程を経て、入れるらしい。
浅く漬けるか、深く漬けるか、このお店の場合、前者のわけだが、その淡白さが、光州らしい味付けだ。
突きだしに筍の和え物が出てくるが、ソウルの食堂ではみかけない。
これもまた美味しいのだが、なんと、全て自家製の筍。
旬の時期に収穫したものを冷凍して保存して使っているとのことだったが、そうしないと、味の品質が維持できない、という。
前に紹介したコマク=灰貝と同様、このお店もまた、随分と贅沢だなぁ、と感心してしまう。
お酒は、地元の酒造メーカー、宝海のレモン焼酎があったので注文する。
個人的に宝海の焼酎は、最低、最悪と思っているので日頃絶対飲まないのだが、このレモン焼酎は、そこそこ飲めた。
でも、あまり流通していない焼酎だ。
料理の締めは、骨から煮出したオリタンを食す。
アヒルの小骨を味噌でじっくり煮込んだ味は、濃厚でこってり、ラーメンに応用できそうな美味しさだ。
うーん、なんて贅沢…
食の街・光州を象徴するひとときだった。
※『光州を行くシリーズ』はひとまず、これで終わります。
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