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Vol.385 ミョルチ・ククス(멸치국수)の味 [韓国の食]

 昨年、ソウル某所の古い裏通りに、小さな멸치국수専門店が開店した。
 粉食屋などでお馴染みのコの字カウンターの店内は、十人も入れば満席だ。
 メニューも少なく、あくまでも멸치국수を食べさせるコンセプトであることがはっきりと伝わってくる。
 こういうお店は、意外と今のソウルでは少ないのだ。

 経営者なのかどうかは分からないが、切り盛りしているスタッフは若い好青年だ。
 日本で言えば、ラーメン屋や飲み屋で一旗揚げようとしているお店、みたいな感じである。
 早速、ディフォルトメニューである멸치국수を注文する。

 このお店は前金で自販機購入になっているが、発券と入金は日本と逆なので、ちょっと戸惑った(地下鉄の切符販売機と同じです)が、お店の人が親切に教えてくれた。
 こういう感覚は、あまり韓国に行かなくなってしまうと、いつの間にか忘れてしまうものなのだろう。

menyu.jpg
メニューはこれだけです
あとは餃子の類など

 後から入ってきた女性客が、「ここの비빔국수は辛いんですか?」と尋ねている。
 韓国でも辛いのがダメな人がいるのは当然だが、こういう会話を聞いていると、やっぱり食への嗜好が変わって来ているんだな、とつくづく思う。

 すぐ、注文したメニューが運ばれてくる。
 韓国ではお馴染みの二重構造のアルミ製どんぶりに、スープも麺もなみなみと盛られていて、日本の二郎系ラーメンみたいだ。

 熱々のスープをすすってみる。
 それほど塩辛くなく、あっさりした味わいの中に、韓国製魚醤独特の旨みが凝縮されていて、大変美味しい。
 臭みはほとんどないが、個人的にはもっと生臭くてもいいように思った。

 麺のゆで方もほどよく、韓国にありがちな「ふにゃふにゃ麺」ではない。
 やっぱり、ストレートの細麺は固茹でに限る。

 薬味もシンプルそのもので、海苔とネギと白ゴマだけである。
 後は好みで、卓上に置いてある薬醤を適宜入れればいい。

 あー、美味しい。
 至高のひと時。

 欲をいえば、量が多すぎることくらいか。

 今のソウル、お店の構えも味も素朴、だけど本質は的を射ていて、という食堂が、本当に減ってしまった。
 流通が整備され、人々の嗜好が多様化したからかもしれないが、こういった昔の味を、若いスタッフが切り盛りするお店で出しているところが新しくもあり、貴重に思える。

 知人のグルメ連中の間でも、このお店は非常に評判がいいのだけど、その理由の一つは、やっぱり「普通に美味しい」ということだろう。

 そういうわけで、狎鴎亭の某ククス屋(こちらは牛肉ベースのスープ&平麺)に続いて、ソウルのMY定番ククス屋に決定。

 心配なのは、いつまでお店を経営していられるか、ということではあるけれど、日本語メニューなんか出さないで(最近、日本語対応しました)、常連だけで細く長く続けて欲しいと願うのだった…

kukusu.jpg
スープもペットボトルで別売しています


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