Vol.505 中国式冷麺(중국식 냉면)の味 [韓国の食]
ここ十年ばかり、ソウルでは本式を謳う中国料理屋がかなり増えた。
元々、韓国でも中国料理はごく身近にあるお馴染みの存在だったが、基本的には「韓国式中国料理」であり、メニューは限られ、味も韓国人の味覚に特化していた。
より本場に近い味であることや、お店の雰囲気であることを表に堂々と出すようになったのは、割りと最近の話である。
以前は、永登浦辺りのディープな中国人街にでも行かないと食べることが出来なかったような料理を、ソウルの普通の繁華街でも食べることが出来るようになり、訪れる客も、ごく普通の韓国人ばかりになった。
そうした「本格中国料理の一般化、韓国社会への浸透化」の中で目立つようになったメニューの一つに、「中国式冷麺」と称されるものがある。
なんのことはない、いわゆる「冷やし中華」なのだが、このメニューが堂々と貼られるようになったのも、これまた最近の事である。
かつては「中国式冷麺」といっても、「ソウルにおける平壌式冷麺」と大して変わりはなく、わざわざ区別する必要がなかったのではないだろうか。
この「中国式冷麺」、筆者的には韓国の地元料理として邪道だと思っていたので、それまで食べたことはなかったのだが、たまたま立ち寄った中国料理店にそれが掲げられていたので、注文してみることにした。
そのお店は光化門駅の近くにあり、韓国における中国料理屋の定石通り、ビルの二階にある。
だが、他と違うのは、お店に場末感がなく、どうやら麺料理をウリにしているらしいことである。
だから、お店の前を通りかかるたびに、気になっていたのだ。
中に入れば、きちんとした専門店、雰囲気も日本のそれに近い。
やさぐれたサラリーマンや年配客ばかりかと思いきや、そうでない一般客が沢山入っていて、人気店なのかもしれない。
メニューを観ると確かに麺料理の種類が他のお店よりも多い。
やがて運ばれてきた「中国式冷麺」は、当然だが、日本の冷やし中華とは異なっている。
日本でまともな冷やし中華を頼むと、外観も味も洗練された品が出てくるが、ここは大味かつ、盛り付けからして野暮である。
だが、その野暮さは明らかに韓国的な野暮さではなく、大林洞辺りの中国人街でよく見かけた野暮さなので、どうやら華僑系のお店のようだ。
味の方は悪くなく、酸味がやや強い点を除けば、ソウル某所の平壌式冷麺なんかとそれほど変わりはない。
スープは半ば凍っているが、これもまた、韓国の冷麺屋で見られる手法である。
麺は太く腰があり、適度に固くて美味しい。
麺料理を前面に出しているだけのことはある、といった感じの味だ。
では、何が他の冷麺と違うのか、と問われてみれば、上に載った具材だろう。
刻みキュウリのみならず、くらげにイカとエビ、はたまた干し海鼠まで載っているのである。
半ば凍ったような麺料理の上にこれらの具材が載っていても、その風味が活かせるとは思えないのだが、その「なげやり感」には、決して日本の中華料理にはない大胆さが感じられ、チャジャンメミョンやチャンポンに代表される、「韓国人による韓国人のための中国料理」には見られない個性があった。
価格はそれなりなので、頻繁に食べにくることはまずないだろうけど、時間とお金に余裕があれば、たまにはこようかな、と思わせてくれるお店であった。
元々、韓国でも中国料理はごく身近にあるお馴染みの存在だったが、基本的には「韓国式中国料理」であり、メニューは限られ、味も韓国人の味覚に特化していた。
より本場に近い味であることや、お店の雰囲気であることを表に堂々と出すようになったのは、割りと最近の話である。
以前は、永登浦辺りのディープな中国人街にでも行かないと食べることが出来なかったような料理を、ソウルの普通の繁華街でも食べることが出来るようになり、訪れる客も、ごく普通の韓国人ばかりになった。
そうした「本格中国料理の一般化、韓国社会への浸透化」の中で目立つようになったメニューの一つに、「中国式冷麺」と称されるものがある。
なんのことはない、いわゆる「冷やし中華」なのだが、このメニューが堂々と貼られるようになったのも、これまた最近の事である。
かつては「中国式冷麺」といっても、「ソウルにおける平壌式冷麺」と大して変わりはなく、わざわざ区別する必要がなかったのではないだろうか。
この「中国式冷麺」、筆者的には韓国の地元料理として邪道だと思っていたので、それまで食べたことはなかったのだが、たまたま立ち寄った中国料理店にそれが掲げられていたので、注文してみることにした。
そのお店は光化門駅の近くにあり、韓国における中国料理屋の定石通り、ビルの二階にある。
だが、他と違うのは、お店に場末感がなく、どうやら麺料理をウリにしているらしいことである。
だから、お店の前を通りかかるたびに、気になっていたのだ。
中に入れば、きちんとした専門店、雰囲気も日本のそれに近い。
やさぐれたサラリーマンや年配客ばかりかと思いきや、そうでない一般客が沢山入っていて、人気店なのかもしれない。
メニューを観ると確かに麺料理の種類が他のお店よりも多い。
やがて運ばれてきた「中国式冷麺」は、当然だが、日本の冷やし中華とは異なっている。
日本でまともな冷やし中華を頼むと、外観も味も洗練された品が出てくるが、ここは大味かつ、盛り付けからして野暮である。
だが、その野暮さは明らかに韓国的な野暮さではなく、大林洞辺りの中国人街でよく見かけた野暮さなので、どうやら華僑系のお店のようだ。
味の方は悪くなく、酸味がやや強い点を除けば、ソウル某所の平壌式冷麺なんかとそれほど変わりはない。
スープは半ば凍っているが、これもまた、韓国の冷麺屋で見られる手法である。
麺は太く腰があり、適度に固くて美味しい。
麺料理を前面に出しているだけのことはある、といった感じの味だ。
では、何が他の冷麺と違うのか、と問われてみれば、上に載った具材だろう。
刻みキュウリのみならず、くらげにイカとエビ、はたまた干し海鼠まで載っているのである。
半ば凍ったような麺料理の上にこれらの具材が載っていても、その風味が活かせるとは思えないのだが、その「なげやり感」には、決して日本の中華料理にはない大胆さが感じられ、チャジャンメミョンやチャンポンに代表される、「韓国人による韓国人のための中国料理」には見られない個性があった。
価格はそれなりなので、頻繁に食べにくることはまずないだろうけど、時間とお金に余裕があれば、たまにはこようかな、と思わせてくれるお店であった。
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