Vol.157 「用意周到ミスシン」二十代独身女性はいま、モテ・バブル? [韓国映画]
「用意周到ミス・シン」を観る。
また、ワンパターンのつまらないラブコメかぁ、と気乗りしないで映画館に入るが、かなり面白くて、拾い物だった。
映画というものに、必ず高尚なものを求める人にとっては「カンナさん、大成功です!」のような韓国ラブコメの方が満足できるとは思うけど、「カンナさん、大成功です!」の生真面目さが気になった人には、「用意周到ミス・シン」のような韓国ラブコメの方が面白いと思う。
この映画を観ていて、今の韓国における若い女性の立場は、二十年ほど前、バブル期日本での、「二十代女性モテ・バブル」時の立場に近いんじゃないかと、思ったりした。
「若くて、美人に見えれば、とりあえずモテモテ。でも三十過ぎたらTHE END」
そんな、ちやほやされがちな立場を勘違いしたのか、街角で自己中心的な行動をとる若い女性が、残念ながら昔よりも目に付くようになった気がする。
彼女たちに付き添う男性たちも、結婚前提の恋人を確保するのが今は難しい時代だから、「いいなりクン」ぶりがより目立つ。
先日、韓国の若い知人にそういう話をしたところ、「そうなのですよ、韓国の男たちの間でも、若い女の自分勝手ぶりが問題になっているのです」という。
その彼も、付き合い始めた彼女のご機嫌とりに必死だったりする。
若くて高学歴ほど、ワガママが通らないと、気に喰わないことがあると、仕事であっても、プィッとそっぽを向いて、突然辞めてしまうことが、以前に比べると増えているような気がする。
対人関係なんかでも、全く同じだ。
もっとも、「男性上司の下品さに耐えられなくて一流会社を辞めました」なんて話を聞くと、これはこれで、男性として、耳が痛い。
逆に、今の若い韓国人男性は、驚くほど優しく繊細になり、非常に付き合い易くなったし、彼らが日本のオバサン連中にもてるのは当然だとは思うのだけど、彼らが直接対峙する若い韓国の女性たちの方は自己中心的になり、人間的なやさしさが欠如し始めているように感じられることは、私のたんなる勘違いだと信じたい。
若い女性の対極として、「アジュマ」がいる。
そのガサツさから、いつもギャグネタにされる存在ではあるが、そうしたアジュマたちの持つ人間味に魅力を感じることが多くなった。
彼女たちの方が「人」として、天狗と化した若い女性よりも、バランスがとれているように思えるのだ。
「男尊女卑」と決めつけられて、内外のフェミニストからいろいろと叩かれることが多い韓国だが、社会が豊かになって女性たちの活躍する場が増えれば増えるほど、実は優しい韓国人男性たちの肩身が狭くなって来ているように見える。
それに韓国って、基本的には「カカア天下」社会だと思うのだけど。
「用意周到ミス・シン」は、そんな男女間のきしみもまた、笑わせながら訴えていたかのような映画だった。
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