Vol.158 「アイ・アム・レジェンド」 ホワイトゾンビの大運動会 [映画]
「アイ・アム・レジェンド」もまた、よい部分と悪い部分がごちゃまぜになった、ハリウッドスタンダードな作品。
最低のラストはメジャー作品だから仕方ないとしても、無理やり短くしたような編集はよい部分も台無しにしている感じだ。
あと30分程度長ければ、もっとよい映画になっていたと思う。
さて、この映画にはナイトシーカーと呼ばれる人類変異体が登場する。
物語のキーになるはずの存在なのだが、映画では彼らが一体何者なのか、そのパーソナリティーがあやふやなので、お話を混迷させている。
原作ではこれが吸血鬼となっていて、後に色々影響を与えたことでも知られている。
特に藤子不二雄の作品は有名だ。
しかし、 「アイ・アム・レジェンド」の場合、この肝心なはずの、ナイトシーカーという存在が一体なんなのか、さっぱりわからない。
エンドクレジットでは、コンサルタントとしてDr.~が何列も続くことから、今風のリアルな設定の元に描かれた存在らしいが、映画からそういったことは一切伝わらない。
「白くてハゲで凶暴、でもそれで?」で終わってしまう。
どういうわけか、男は半身裸で下はジーパン、リーダー格だけがチョッキを身に着けた、くまのプーさん状態。
もしかして、これって、人種差別社会への皮肉か?
だって、ナイトシーカーって、白人労働者そのままのイメージだし、主人公はアフリカ系のエリートだ。
でも、アジア系は出てこない。
ナイトシーカーの描写も、最近流行のダッシュ型ゾンビそのまんま、人肉を喰らう、という点でも、ロメロ型ゾンビそのまんま。
これじゃ、単なる白いゾンビ、ホワイトゾンビだ(^^!)
だから映画は、ナイトシーカーたちがむやみやたらに走り回り、過激なおしくらまんじゅうを繰り返す、「ホワイトゾンビの大運動会」といった風情になっている。
CGIの仕上がりも荒く、映画用ハイエンドというよりも、ゲーム・ムービー的な映像だから、X-BOXあたりからゲームでも発売される予定があるのかな?
チャールトン・ヘストンの「オメガマン」に出てくる連中も、あれはあれで情けなかったが、ナイトシーカーたちも、失笑ものだった。
こんなんだったら、ナイトシーカーを「彼らは新種のゾンビです!」と割り切って説明した方が、観客にとって、よほど親切。
なぜ、吸血鬼にしなかったのだろう、と疑問にも思う。
「アイ・アム・レジェンド」、それは二匹の犬たちが演じたシェパード犬サムだけが、かわいく、いとおしい映画だった…
© Warner Bros. Pictures / Heyday Productions
↑クイズ>ここはどこでしょう?
こんにちは。「アイ・アム・レジェンド」で検索しておじゃましました。
「白くてハゲで凶暴」・・・的確な表現ですね!(笑;)
by YaCoHa (2007-12-27 00:24)
Yakohaさま。
いいところはあった映画なので、ちょっと残念でしたね。
by さるすべり (2007-12-27 00:51)