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Vol.188『慶祝!私たちの愛(경축! 우리사랑 )』ホントは怖い話かもしれない [韓国映画]

 「少子高齢化」。
 だいぶ前から日本では国家的危機として、なにかと取り上げられることが多くなったが、今の韓国でも同じ現象が進行しているという。

 いわれてみれば男も女も三十過ぎて独身が多いのは事実だし、子供がいても一人が普通、二人目が生れたなんて話を聞くと、「今時珍しいなぁ」と何の疑問もなく思ってしまったりする。

 私より少し上の世代だと、五人兄弟、六人兄弟なんて当たり前だったし、年下の連中もけっこう兄弟姉妹が何人もいたりするのだが、当人はそういったことから縁遠かったりする。

 韓国の人口は日本の約1/3強。
 それだけ社会の新陳代謝も早いから、結婚が遅くなって子供を育てなくなると、その影響は日本より深刻かもしれない。

 だが「少子高齢化」は、それだけ今の韓国が豊かになったことの代償かもしれず、別な視点で眺めれば、女性が社会の第一線で働くことが普通になった現われであり、「年寄り」と決めつけられて祭り上げられてしまうベテランたちが再度活躍できる機会なのかもしれない。

 韓国映画『慶祝!私たちの愛(경축! 우리사랑 )』は、女として相手にされなくなった初老のヒロインが、これまたご時世で報われない人生を歩んでいる若い真面目な男性とデキてしまうお話だが、そのオチには、ちょっと手離しで喜べないものがあった。

 この映画のように、子供を生んで育てられる環境と体力があれば、五十過ぎて妊娠、出産するのも個人の自由、ひとつの生き方なので「あり」だと思うのだけど、よーく考えてみれば五十代で子供を生む、育てるというのは、子供が成人を迎える頃、親は七十代、それでなくても精神力と体力、経済力をすり減らす子供の反抗期だとか受験期には、既に六十代を迎えているということである。

 逆に、子供にしても、十代後半で親が三十代、四十代ならば何の危機感もないだろうけど、七十歳近いとしたら、やっぱりいろいろと不安になるだろう。

 この「慶祝!私たちの愛」は、作品自体の評価とは全く別に、高年齢化が進み、年をとって「枯れる事」を強要されない社会になった時、「家族」というものがどうなるのか?を考えさせられる映画でもあったのだ。
 
 それは新しい共同体の誕生かもしれないし、年功序列の悪しき部分を刷新するものかもしれない。

 だが、若くして子供が自分の将来よりも親の介護を心配しなければならない状況、それって冗談でも笑えないのであって、映画の最後で描かれるハッピーな「出発」は、裏を返せば暗澹たる船出にもなりかねず、笑っているだけでは済まされないような気もしたのだった。

ババアの愛.jpg


 
タグ:韓国映画
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