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Vol.198 龍山を行く [韓国生活]

 映画を観に龍山CGVに行く。
 ここは現在、ソウルにおける映画館施設のフラッグシップ的存在であり、馬鹿でかい複合多目的ビルの中にある。

 観た映画のタイトルは、昼に「アイアン・マン」と「インディ・ジョーンズ4 クリスタル・スカルの王国」、夜は「Sex and the City」の試写会と、ハリウッド映画づくし(でも単なる偶然です)。

 その日は一日ひどい土砂降りが降ったり止んだり、雷が鳴り響き、時には雹が降り注ぎと、おてんとう様のご機嫌がかなり悪かった。

 映画館に一日篭っている訳にもいかないので、外を歩くが、そういう時に限って、土砂降りが降り始める。
 風邪で体調が悪いのに全身びしょびしょ、熱を出しても休むわけにはいかずで、ある意味最低の日だった。

 ここ龍山はかつて、米軍基地がデンと近くに構えた、特異な雰囲気を持った街だったが、それ以外にも1号線「龍山」駅向こう側に、秋葉原に例えられる家電街が拡がり、日本でもよく知られている。
 オタク系のお店も昔から多いが、基本的にはソウル下町に位置する場所だ。

 だが、数年前の駅ビル周辺の大規模再開発のおかげで、隣接していながら途絶されていた1号線「龍山」と4号線「新龍山」は直接繋がり、しごく便利な場所に変貌を遂げた。
 「三角地」駅も徒歩ですぐの場所にある。

 この街の特徴は、家電街の他に、今も続く一直線に拡がった赤線街だろう。
 この手の商売が今だ堂々と営業をしている光景を、道徳的、倫理的に嫌悪する人は多いだろうが、この街の個性を形作っている重要なパーツであることに変わりはない。

 片やインテリジェント・ビルが立ち並び、片や巨大なショッピングモールがそびえたち、その脇には結婚式場が幾つも軒を連ねる街の中で、一直線に走る古びた赤線街の風景は、色々な矛盾が混沌としているようであり、非常に印象的だ。

 夜中になると客引きのおばさんたちが積極的な営業をはじめるので、慣れない人は怖い場所かもしれないが、彼女たちもまた、生活のために袖引きをやっている訳で、哀しそうな顔で必死に野郎たちをひきずっていこうとするおばさんたちを無碍にふり払うのは、ちょっと心が痛くもあって、優しい人には辛いことかもしれない。

 韓国人でも、気の弱い人や慣れない人はこの強引な客引きにつかまり、一悶着となる訳だが、それをみていると、人間の滑稽で悲しい本質を見せつけられるような光景でもある。

 しかし、この赤線街も午前中にはまた別の顔を見せる。

 そこだけタイムスリップしたような古い街の一角で、普通におばさんが洗濯をし、子供たちが遊び戯れ、おじさんたちがせわしげに自転車に乗って走っていく。

 それは消えつつある「懐かしい風景」、そして「かつてのソウル」というものを感じとれる一時でもあり、失われつつある貴重な瞬間なのかもしれない。

龍山駅4加工済み.jpg



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