SSブログ

Vol.249 シリーズOST名盤紹介『ペパーミント・キャンディ』~永遠の名作とはこのこと~ [韓国映画音楽(OST)]

 男は、二度と戻れない幸せな時代へ還る事を祈りながら、列車の前に身を踊らせた。

 ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン…

 やがて、時間を逆行する列車の旅が始まる。

 『ペパーミント・キャンディー(박하살당)』は、やっぱり私にとって忘れることが出来ない名作だ。
 メガホンをとったイ・チャンドンは、今ではVIPになってしまったが、この映画が封切られた当時、その名前を知っている人はあまりいなかったし、やっぱり、その名声を確立させたのは、この後の作品『オアシス』だろう。
 でも、この監督の作品群で、私にとって一番なのが、『ペパーミント・キャンディー』だ。

 映画における音楽の重要性は、いまさら語るまでもないけれど、『ペパーミント・キャンディー』は、この点でも素晴らしい効果を上げている。
 ミレニアムで沸き立った新年にソウルの映画館で観た時、あまりの感動にしばらく呆然としていたものだが、もうひとつショッキングだったのが、テーマ曲だった、

 この旋律は、人によっては感傷的すぎ、哀しく、暗すぎるかもしれない。
 だが、ここまで作品の内面を映し出して、語ってしまったものは、今の韓国映画でも、そうそうないと思う。
 バイオリンとチェロの素朴なコンチェルトは、時代の闇に消えていった男と女の悲しい叫びのようでもあり、戻らない過去への悲しい旅に、聞くものを誘って行く。

 当時、このテーマ曲は韓国でも結構受け、OSTが発売された(そういうタイプの作品では決してない)のはもちろんのこと、至る所で流用されていた。

 音楽監督を担当したイ・ジェジンはバークレー音楽大学で映画音楽を専攻したというが、彼の紡ぐメロディーは、情緒豊かで感傷的、実に韓国的な感じを受ける。
 正直、ワンパターンな部分もあるし、全て素晴らしい訳ではないが、一度、日本の作品でコラボレをやってもらいたい韓国のクリエイターだ。

 『ペパーミント・キャンディ』は、NHKが出資をした作品にも関わらず、日本ではこっそりと公開されただけで、今でもこの映画を評価する声がさっぱり聞こえて来ない。
 それはとても残念な事なのだが、映画と共に、このテーマ曲もまた、韓国映画史で永遠に輝き続けるだろう。

薄荷砂糖.jpg


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 2

나 어떻해

パッカサタンではナオトッケなんか印象的でしたね。
by 나 어떻해 (2009-04-14 03:36) 

さるすべり

(^^)ですね。
by さるすべり (2009-04-15 00:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。