Vol.314 微妙な四人の野郎ども『男たちの挽歌/무적자』 [韓国映画]
2010年秋夕の目玉として韓国で封切られた『男たちの挽歌/무적자/無敵者=無籍者』。
ジョン・ウーの名作『英雄本色/男たちの挽歌』の舞台を韓国・釜山に置き換え、リメイクした作品だ。
いや、リメイクというよりもそれなりに韓国の社会事情を反映した話なので、パラレル版といった方が近いかもしれない(ガンダムやStarTrekみたいなモンです)。
オリジナルのファンからすれば色々異論はあるだろうけど、決して出来は悪くない。
逆に、人間ドラマでいつも傑出した才能を見せるソン・ヘソン監督が、こういった企画を当たり障りなくサラッとこなしてしまったことの方が驚きだった。
ソン・ヘソン作品は、いつもどこかに不協和音があって、それが優れた部分でもあったと思うのだが、今回は職人的にサクサクとやってのけた感じがする。
この作品はクレジットをみればわかるように、日本と韓国の本格的な合作だ。
日本人は誰も出演していないけど、主演四人の顔ぶれをみれば、おそらく日本側の意見が相当入っていると思われるキャスティングになっている。
だが、この四人、韓国の映画ファンにとってみれば、なんとも微妙だったのではないだろか。
そこで韓国版『男たちの挽歌』における主演四人について、ちょっと考えてみた。
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チュ・ジンモ/キム・ヒョク役(『英雄本色』/ホー役=ティ・ロン)
キム・ヒョク役は他に誰か妥当な俳優がいないか改めて考えてみるが、思いつかないので、折衷案としてチュ・ジンモは妥当だったのかもしれない。
でも、キム・ヒョク役よりもヒョンジュン役の方が合っていたような気がする。
チュ・ジンモは『愛 サラン』以来、期待できそうな俳優になりつつあったので、今回はどういう役作りをするのかな?と気になっていたが、いつもの通りといった感じで、いささか期待はずれだった。
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ソン・スンホン/イ・ヒョンジュン役(『英雄本色』/マイク役=チョ・ユンファ)
日本で最も有名な「韓流スター」の一人かもしれないが、そもそも根本的に彼はこういうアクションだとか、ドンパチものは全く似合わないのではないか。
韓国映画ではマッチョで男らしさを強調するような役を振られやすいが、彼の持ち味は立ち振る舞いの美しさであり、根暗な繊細さであり、いかれた野獣系キャラではなく、どうせなら自分の裏稼業に疑問を抱いてる相棒キム・ヒョク役の方が適役だったんじゃなかろうか。
今後、彼には時代劇を期待したい。
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チョ・ハンソン/チョン・テミン役(『英雄本色』/シン役=レイ・チーホン)
劇中最大の悪役にして、最大のミスキャスト。
カバン持ち時代は許容範囲としても、本当のワルになってからは、怖さや狡猾さが微塵もないし、若過ぎるしで、とにかくヒドイ。
『熱血男児』でビックリするような好演を見せたが、あれって「まぐれだったの?」と思わざるをえなかった。
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キム・ガンウ/キム・チョル役(『英雄本色』/キット役=レスリー・チャン)
無精ひげが全く似合わないので、悩める大人の男というよりも、ふてくされた中学生か高校生みたいだ。
キム・ガンウは仕事の選び方に意欲的な面が感じられる俳優で、「韓流スター」の看板をぶら下げられることに抵抗しているんじゃないかと思っているんだけど、なにをやっても印象が薄く、華がない。
キム・チョル役は、思い切って新人(映画界における新人という意味)を使ってもよかったのでは?
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改めて考えてみると、今の韓国映画界というのは若手男性俳優陣の層がかなり薄くて、ヤバイ状態じゃないの?ということに気がついた。
昔みたいに一握りの「スター」だけ出演していればよかった時代ではなくなったことも大きいだろう。
韓国版『男たちの挽歌』で一番物足りなかったのは、アクションでもメロでもなく、「怖さ」や「腹黒さ」「狂気」といえるものを表現できる俳優がいなかったことだ。
物語はハードで厳しいのに、なにやらほんわかムードに終始してしまった感すらある。
私がいつもチョン・ジェヨンやパク・ヒスン、チン・グを評価するのは、彼らがそういった「怖さ、腹黒さ」を表現できる俳優だからなんだけど、日本その他でわかりやすい二枚目として、もてはやされるタイプの俳優ではない。
しかし、韓国で舞台をみればわかるように、男女各年齢層とも素晴らしい俳優たちがまだまだ、たくさんいる。
彼らの多くは、映画やTVで積極的に仕事をやることをポリシーとして避けているのかもしれないし(マネージメントが信用できない、ということもあるだろう)、一過性の流行で俳優生命を抹殺されてしまうような事態は避けたい、という気持ちがあるのかもしれない。
だが、それだからこそ、日本の作品で、そういった宝の人材を韓国に先んじて登用できる時代が来ているのではないだろうか…なーんてね。
ジョン・ウーの名作『英雄本色/男たちの挽歌』の舞台を韓国・釜山に置き換え、リメイクした作品だ。
いや、リメイクというよりもそれなりに韓国の社会事情を反映した話なので、パラレル版といった方が近いかもしれない(ガンダムやStarTrekみたいなモンです)。
オリジナルのファンからすれば色々異論はあるだろうけど、決して出来は悪くない。
逆に、人間ドラマでいつも傑出した才能を見せるソン・ヘソン監督が、こういった企画を当たり障りなくサラッとこなしてしまったことの方が驚きだった。
ソン・ヘソン作品は、いつもどこかに不協和音があって、それが優れた部分でもあったと思うのだが、今回は職人的にサクサクとやってのけた感じがする。
この作品はクレジットをみればわかるように、日本と韓国の本格的な合作だ。
日本人は誰も出演していないけど、主演四人の顔ぶれをみれば、おそらく日本側の意見が相当入っていると思われるキャスティングになっている。
だが、この四人、韓国の映画ファンにとってみれば、なんとも微妙だったのではないだろか。
そこで韓国版『男たちの挽歌』における主演四人について、ちょっと考えてみた。
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チュ・ジンモ/キム・ヒョク役(『英雄本色』/ホー役=ティ・ロン)
キム・ヒョク役は他に誰か妥当な俳優がいないか改めて考えてみるが、思いつかないので、折衷案としてチュ・ジンモは妥当だったのかもしれない。
でも、キム・ヒョク役よりもヒョンジュン役の方が合っていたような気がする。
チュ・ジンモは『愛 サラン』以来、期待できそうな俳優になりつつあったので、今回はどういう役作りをするのかな?と気になっていたが、いつもの通りといった感じで、いささか期待はずれだった。
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ソン・スンホン/イ・ヒョンジュン役(『英雄本色』/マイク役=チョ・ユンファ)
日本で最も有名な「韓流スター」の一人かもしれないが、そもそも根本的に彼はこういうアクションだとか、ドンパチものは全く似合わないのではないか。
韓国映画ではマッチョで男らしさを強調するような役を振られやすいが、彼の持ち味は立ち振る舞いの美しさであり、根暗な繊細さであり、いかれた野獣系キャラではなく、どうせなら自分の裏稼業に疑問を抱いてる相棒キム・ヒョク役の方が適役だったんじゃなかろうか。
今後、彼には時代劇を期待したい。
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チョ・ハンソン/チョン・テミン役(『英雄本色』/シン役=レイ・チーホン)
劇中最大の悪役にして、最大のミスキャスト。
カバン持ち時代は許容範囲としても、本当のワルになってからは、怖さや狡猾さが微塵もないし、若過ぎるしで、とにかくヒドイ。
『熱血男児』でビックリするような好演を見せたが、あれって「まぐれだったの?」と思わざるをえなかった。
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キム・ガンウ/キム・チョル役(『英雄本色』/キット役=レスリー・チャン)
無精ひげが全く似合わないので、悩める大人の男というよりも、ふてくされた中学生か高校生みたいだ。
キム・ガンウは仕事の選び方に意欲的な面が感じられる俳優で、「韓流スター」の看板をぶら下げられることに抵抗しているんじゃないかと思っているんだけど、なにをやっても印象が薄く、華がない。
キム・チョル役は、思い切って新人(映画界における新人という意味)を使ってもよかったのでは?
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改めて考えてみると、今の韓国映画界というのは若手男性俳優陣の層がかなり薄くて、ヤバイ状態じゃないの?ということに気がついた。
昔みたいに一握りの「スター」だけ出演していればよかった時代ではなくなったことも大きいだろう。
韓国版『男たちの挽歌』で一番物足りなかったのは、アクションでもメロでもなく、「怖さ」や「腹黒さ」「狂気」といえるものを表現できる俳優がいなかったことだ。
物語はハードで厳しいのに、なにやらほんわかムードに終始してしまった感すらある。
私がいつもチョン・ジェヨンやパク・ヒスン、チン・グを評価するのは、彼らがそういった「怖さ、腹黒さ」を表現できる俳優だからなんだけど、日本その他でわかりやすい二枚目として、もてはやされるタイプの俳優ではない。
しかし、韓国で舞台をみればわかるように、男女各年齢層とも素晴らしい俳優たちがまだまだ、たくさんいる。
彼らの多くは、映画やTVで積極的に仕事をやることをポリシーとして避けているのかもしれないし(マネージメントが信用できない、ということもあるだろう)、一過性の流行で俳優生命を抹殺されてしまうような事態は避けたい、という気持ちがあるのかもしれない。
だが、それだからこそ、日本の作品で、そういった宝の人材を韓国に先んじて登用できる時代が来ているのではないだろうか…なーんてね。
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