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Vol.423 한석규、名優の輝き 『파파로티』 [韓国映画]

 2013年3月14日、韓国で公開された『파파로티』はいい意味で都会的なドライさを湛えた好編だ。
 そして、この作品は한석규ファンにとっても、大きな喜びでもあったと思う。

 『쉬리/シュリ』以降、しばらく停滞期が続き、一時期は大スターであったことを忘れられた感すらあった한석규だったが、『파파로티』での好演は俳優人生のエポックになりそうなくらい、本当にキラキラと輝いている。
 한석규があまり素晴らしいので、教え子を演じた이제훈(『건축학개론/建築学概論』)がワリを喰ったくらいだ。

 『이중간첩/二重スパイ』後の挫折を経て、インディーズ系作品に出演することが増えた한석규だが、停滞期間は肥やしとなって、大きな花を咲かせるキッカケになったのかもしれない。

 物語は田舎を舞台にオペラ歌手に挫折し拗ねてしまった音楽教師상진(=한석규)と、オペラ歌手に憧れる高校生兼ヤクザ장호(=이제훈)の師弟関係を、時にはコミカルに、時には情緒的に描いたものだが、そこにあるのは定石に見せつつも、男同士の甘くない関係を描いた内容であって、ひと味違うドラマが展開する。

 二人を取り巻く家族に友人たち、仲間たちのエピソードも適度にひと通り揃っているものの、あくまでも中心は상진と장호の距離を置いた関係だ。
 상진は決して弟子장호に媚を売らないし、장호も師상진に尻尾を振らないが、それがまた最後の最後になって、大きな感動の花をさかせるのである。

 監督を手がけた윤종찬は『소름』や『청연/青燕』で知られる中堅だが、日本で限定公開された『나는 행복합니다/私は幸福です』以来、『파파로티』は数年ぶりの新作となる。
 娯楽作品としてツボを抑えつつ、今まで以上に醒めたスタイルで仕上げたが、ここら辺は今だからこそ許されたギリギリさかもしれない。

 「スターであっても名優ではない」
 それが今までの한석규に対する筆者のイメージだったが、今回の『파파로티』によって優れた先達たちの背中が見えてきたことは間違いないだろう。

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