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Vol.466 名盤紹介 『후 아 유』 [韓国映画音楽(OST)]

 少し前、行きつけの飲み屋で店番をしていた男性がラジオから流れる音楽にノリノリで身をくねらせ始めたことがあった。

 かつてよく耳にしていた曲だったので、「なんだっけ?」と尋ねたところ、2002年の韓国映画『후 아 유』(日本で公開済)で使われていた「차우차우」という曲だった。
 もう十年前以上の曲だけど、今だ好きな人がいるんだなぁ、とちょっと感動する。

 当時『후 아 유』で使われた曲は複数のクリエイターがインターネットでデータのやり取りをして製作したということが話題になったが、日本ではやっとADSLが走り始めていたような時代だったので、そんな話を聞いても現実感が無かった。
 だが、打ち込み系やシンセ系で構成されたプラグインがビジバシな内容でも不思議と温かさがあって、決して安っぽくはない。

 『후 아 유』は『춘향뎐』でいきなり大役デビューを果たした(演技の評判は散々だったが…)조승우の主役第二弾でもあったが、当時はまだまだ無名だったこともあってか、映画自体の興行はパッとしなかった。
 おそらく劇場で観た人の方が少ないんじゃないだろうか?
 でも作品の方も当時の前向きで明るい風潮がとても良く出ていて悪くない。

 このOST盤は今でも『버스, 정류장』と並んで2000年代初頭における名盤の一つだったと思うし、조승우のひどい歌や俳優二人のナレーションを除けば、時代性を反映した良い曲が幾つも収録されている。
  兵役で活動休止する前の“Crying Nuts”の曲も一曲含まれていたりして、結構お得な内容だ。
 初めて聞く人には全体的に古臭いかもしれないが、それもまた、韓国らしい個性でもあったんじゃないだろうか。

 そして、この『후 아 유』のOST盤にも、金大中政権当初に韓国中で漂っていた夢と希望に満ちた明るい空気が見事に詰まっていたと思うのである。

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