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Vol.96 アブサントの味① [韓国と関係ない話]

先日、チェコのディーラーに注文していたアブサントが到着する。

早速飲んでみたが、とても素敵な味だった。
もちろん、スイスや、かつてのチェコスロバキアで密造されていたような濃いデロデロのアブサント酒を味わうことが出来た人には、色々と文句があるお酒かもしれないが、現在の日本で流通している他のアブサントと比べると、遥かに個性的で美しく、優雅な酒である。

このお酒、実は数年前までは日本に輸入されていて、酒好きの間ではかなり評判になっていたのだったのだが、二年前に終売扱いになってしまい、個人で輸入するしか手に入れられなくなっているお酒なのである。

ニガヨモギ成分の問題については色々いわれているが、日本では基本的に問題がないものであり、栽培して売っている人もいるくらいだし、日本で入手出来るアブサントを色々飲んだ限りでは、ラリッたり、幻覚が見えたり、などしたことは一度もない。

通信販売などでは積極的に外国のディーラーが販売を行っていて、筆者も何社かにメールで問い合わせたのだが、一番きちんと対応してくれたのが、今回のチェコのディーラーだった。

チェコと日本は、外交的には、観光以外あまり関係がなくて、お互いどういう国なのか、あまりよくわからないのだが、チェコをよく知る日本人からいわせると、日本と共通する部分が多いという。

確かに戦前のチェコはハイテクで売っていた国であり、民主化の面でも、かなり進んでいた社会であった。
それゆえ、ナチスの侵攻であるとかソビエトのサテライト化であるとか、政治的な部分で色々と損をしていた社会であり、ヨーロッパにあるスラブ系国家の中では、ちょっと異色のパーソナリティなのかもしれない。
世界的には模型王国のひとつであり、そういう点でも、どこか日本と近いものを感じさせる。

「チェコのお酒」といえば、ピンと来ない人の方が多いだろうが、幾つかは日本に輸入されている。
そして、他のヨーロッパ系蒸留酒と比較すると、どことなく「日本的」というイメージを喚起する商品であることが多いのが特色だ。

まず、ベースとなるスピリッツが、かなり高品質な印象を受ける。
雑味が少なくて、工業的な味ではあるが、日本のお酒が持つ「洗練さ」に非常に近いものがある。

そして瓶とラベルの精度。
特に瓶は美しい。
お酒の美味しい不味いとは別に、チェコのお酒でいつも感心するのは、その瓶の透明感なのであった。

今回取り寄せたお酒は、大半の日本人には受け入れられない味だろう。
同じアブサント系のお酒なら、仏ペルノー社製アブサント酒の方が、日本人には遥かに飲みやすいと思う。

だが、その深くダークなエメラルド・グリーンの輝きと、濃い蜂蜜の風味、独特の強い苦味は、ヨーロッパのハーブ酒に関心のある人だったら、侮れない内容だ。

このお酒、実は注文してから到着に二ヶ月くらいかかっている。
あまりに到着が遅いので、どうしたのかなぁ?と心配していたら、ディーラーから「輸送事故が起こりました」という主旨のメールが来た。

添付されたのは粉々に割れた酒瓶の写真である。
「えっ?」と思うくらいに破壊された瓶の写真を観て、「もしかしてアジア嫌いの仕業か?」と思ったりしたが、それに対するディーラー側の対応は極めてまともであり、日本人的ですらあった。

その後、再送付を依頼して、今度は二週間程度で到着する。
破損もなく、無事到着だ。

実はこのディーラー、日本のブログでも「事故が多い」と書かれていたりする会社でもあったのだが、もしかしたら、そういう噂を気にして、改善に努めているのかもしれない(筆者もそういうクレームを出した)。

ヨーロッパ、というと「日本人の理解を超える部分でだけ神経質」とか「ロジカルだけど、基本的には自分勝手でいい加減」とか、「冷酷で残酷」といったイメージが筆者にはちょっとあったのだけど、このチェコのディーラーだけは、これからも信用していいかな、と思うのだった。

アブサント.jpg

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