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Vol.172 「クローバーフィールド/hakaisya 」今、怪獣映画がトレンディ② [映画]

 映画「クローバーフィールド/hakaisya=Clover Field 」のキモは、擬似ドキュメンタリーの手法で怪獣がもたらした大惨事を描いているということだろう。

 だから、この映画にはよくある「神の視点」は一切存在せず、災厄に巻き込まれて命を失ってゆく人々の視点で全てが描かれている。

 それは「災害映画」といった方が近いかもしれず、日本人にとっては、その点で、より深刻に感じられる映画かもしれない。

 映画は「SDカードに残された犠牲者が撮った映像を再生する」という展開で語られ、デジタル家電という媒体が表現方法として映画で非常に重要な意味を占めている。

 似たような映画、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト=The Blair Witch Project」を連想させるが、「ブレア~」が家庭用VTRで撮影した絵の荒さを利用した映画なら、「クローバーフィールド/hakaisya=Clover Field 」は「デジタル映像」の便利性を強く利用した作品だ。

 随所にデジタルメディア特有のお遊びが仕掛けられているから、出来ればデジタル上映で観てほしいし、フィルムで観ると全く印象が変わるであろう感覚の映画になっている。

 この映画の舞台は極めてミニマムだが、描かれる惨劇のイメージは、おおごとだ。
 いくつかのシーンは、ハッとするくらいリアルで緊迫感に溢れている。

 映画を観た当日、私は二日酔いでヘロヘロだったが、その臨場感に気分が悪くなって、貧血を起こして倒れそうになったくらいである(^^)

 しかし、落ち着いて考えてみれば、「デジタルメディア」であることを強調したところが、賛否両論わかれそうな点でもあるだろう。

 怪獣の見せ方だとか、俳優たちのクサくて大げさな芝居だとか、9.11テロ事件にあまりにも露骨に重なるイメージだとか、観る人によっては突っ込みどころは満載かもしれないし、正直、一般性からかけ離れた実験映画の性格が強い。

 上映時間は1時間30分に満たないが、恐らくは、これ以上長くしてしまうと、演出的に狙った緊迫感が得られないこと、そして観客の集中力が続かない、といった判断が製作側にはあったと思う。

 実際、映画の途中で早々に退出した観客の姿も目立った。

 この映画を観ていてもう一つ思ったことは、「アメリカで『괴물=怪物』のリメイクなんて、もう必要ないのでは?」という感想だ。

 もちろん両者は全く異なる作品であって、単純な比較は出来ないのだけど、「クローバーフィールド/hakaisya=Clover Field 」は、日本の「ゴジラ」第1作に韓国の「괴물=怪物」のエッセンスを加え、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト=The Blair Witch Project」で割った映画、という印象が強い。

 そこにはエメリッヒの「ゴジラ」で出来なかったことへ対する反発、「俺だったらこうやる!」というクリエイター側の主張も見え隠れするが、アイディアの寄せ集めといった限界も感じた。

 この「クローバーフィールド=Clover Field 」は、2008年に公開される映画の中で必見作とはいえないし、個人的にも「The Mist/ミスト」の方が、はるかに衝撃的、感動的ではあったが、「大怪獣が都会の日常に出現し、大災害を引き起こしたらどうなるか?」を一般の視点で描く、という点では大変迫力があることは間違いないし、暴れまくる怪獣の設定もまた、アメリカと日本の感覚的違いが大きく出ているから、安易に「どうたらこうたら」と甲乙つけられないだろう。

 私は9.11テロ事件当日、偶然にも飛行機が衝突、炎上する瞬間をCNNでリアルタイムに目撃し、唖然とした記憶がある。
 その感覚の再現に近いものが、「クローバーフィールド/hakaisya=Clover Field 」には確かにあった。

 ちなみに、エンドタイトルに流れる音楽は、なかなか笑えるから、お聞き逃しないように。

映画「The Mist/ミスト」>http://mosdo1225.blog.so-net.ne.jp/2008-01-08-2

©2008 Paramount Pictures. All rights reserved.

 


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