Vol.349 我が郷土のロキュータス/パク・チョルミン(박철민) [韓国俳優]
ここ十年ばかり、韓国映画では地域性、郷土色を強調した作品がたくさん作られている。
慶尚道にある都市周辺が舞台になりがちなのは仕方ないとしても、最近は全羅道や江辺道に済州島、それにソウル市そのものをテーマとして内包した作品が次々と製作されている。
各作品が興行的に成功しているかどうかは全く別の話だが、「地方もの」「郷土もの」という、一種のジャンルを形成しているといっても過言ではない。
元々、韓国(というか朝鮮半島)は古来より、幾つかの国家や地域に分かれて統治されていた歴史があるので、こういった「郷土もの」作品は、いくぶん地域的なナショナリズムに載っかっている気配がなくもないが、生まれ育った郷土に対するこだわりは、日本人が考えるよりはるかに強く、それがまた、人的ダイナミズムの源にもなっているのではないかと思う。
全羅南道の光州市も『화려한 휴가/光州5.18』(2007)がヒットした辺りから、映画の舞台として再び注目されている。
この街を舞台にした場合、どうしても5.18事件が核にならざるをえないが、これは今さらな訳ではなくて、1990年代から光州出身の映画人たちは一貫してこだわり続け、作品に投影しようとして来ていた。
『꽃잎/花びら』(1996)やTVドラマの『모래시계/砂時計』(1995)は、その代表だろう。
純粋なエンターティメントとして企画・製作され、世間に受け入れられるようになったのは、最近になってから、というだけの話である。
光州と映画の関係を語るとき、絶対触れなければいけない俳優がいる。
光州出身の俳優、パク・チョルミンだ。
光州を舞台にした企画では必ずと言っていいほど顔を出し、それが韓国映画界では一種のお約束になってもいる。
公式の映画出演第二作は『꽃잎』というから、光州をテーマにした作品への出演は15年を超える。
それだけ、光州もしくは全南羅道出身の監督やプロデューサーたちが活躍している、ということでもあるのだろうが(韓国映画界は郷土会の集まりのようなところがあって関係が強い)、パク・チョルミンという人は、いわば「光州のアイコン」代表格である。
しかし、彼がこだわっているのは自分の故郷だけではなく、地方性を重視した企画も積極的に支援し続けており、普遍的な意味で「郷土の代弁者」といえるのかもしれない。
ここ数年、映画にTVにと、その姿を見ないことはないくらいの大活躍ぶりだが、これだけ売れているにも関わらず、家は光州にあるという(もちろん、ソウル近郊にセカンドハウスはあるのだろうけど)。
この話が本当なら、なんでもかんでもソウル江南中心で動く韓国映画界、芸能界の中にあって、キラリと光るかっこいいレジスタンスぶりだ。
パク・チョルミンもまた、舞台出身だが、韓国におけるバイプレーヤーの例に漏れず、映画やTVでは「人情味のある三枚目」だとか「ちょっと哀しい道化役」といったステレオタイプの役が多く、ちょっと残念でもある。
だが「動かず・語らず・騒がず」の表現も出来る実力派であり、そのポテンシャルは高い。
7月28日に公開されて大ヒット中の韓国アニメーション映画『마당을 나온 암탉』では獺ダ(タ)ルスの声を演じているが、ムン・ソリやチェ・ミンシクを差し置いて、抜群の名演と存在感を見せている。
日本では某お笑いコンビのかたわれにそっくり、という程度しか話題にならないのは仕方ないけど、彼もまた、今後の韓国芸能界を支える名優の一人になってゆくのではないだろうか。
舞台にもまた復帰してくれないかな~。
※「ロキュータス=Locutus(Paramount©)」はアメリカのTVドラマで使われた用語で、人によってはネガティブなイメージを抱く方もいるかもしれませんが、言葉自体にはそういう含みはないと考えますので、流用させていただきました。平たくいうと「代弁者」とか「スポークスマン」といった感じです。
慶尚道にある都市周辺が舞台になりがちなのは仕方ないとしても、最近は全羅道や江辺道に済州島、それにソウル市そのものをテーマとして内包した作品が次々と製作されている。
各作品が興行的に成功しているかどうかは全く別の話だが、「地方もの」「郷土もの」という、一種のジャンルを形成しているといっても過言ではない。
元々、韓国(というか朝鮮半島)は古来より、幾つかの国家や地域に分かれて統治されていた歴史があるので、こういった「郷土もの」作品は、いくぶん地域的なナショナリズムに載っかっている気配がなくもないが、生まれ育った郷土に対するこだわりは、日本人が考えるよりはるかに強く、それがまた、人的ダイナミズムの源にもなっているのではないかと思う。
全羅南道の光州市も『화려한 휴가/光州5.18』(2007)がヒットした辺りから、映画の舞台として再び注目されている。
この街を舞台にした場合、どうしても5.18事件が核にならざるをえないが、これは今さらな訳ではなくて、1990年代から光州出身の映画人たちは一貫してこだわり続け、作品に投影しようとして来ていた。
『꽃잎/花びら』(1996)やTVドラマの『모래시계/砂時計』(1995)は、その代表だろう。
純粋なエンターティメントとして企画・製作され、世間に受け入れられるようになったのは、最近になってから、というだけの話である。
光州と映画の関係を語るとき、絶対触れなければいけない俳優がいる。
光州出身の俳優、パク・チョルミンだ。
光州を舞台にした企画では必ずと言っていいほど顔を出し、それが韓国映画界では一種のお約束になってもいる。
公式の映画出演第二作は『꽃잎』というから、光州をテーマにした作品への出演は15年を超える。
それだけ、光州もしくは全南羅道出身の監督やプロデューサーたちが活躍している、ということでもあるのだろうが(韓国映画界は郷土会の集まりのようなところがあって関係が強い)、パク・チョルミンという人は、いわば「光州のアイコン」代表格である。
しかし、彼がこだわっているのは自分の故郷だけではなく、地方性を重視した企画も積極的に支援し続けており、普遍的な意味で「郷土の代弁者」といえるのかもしれない。
ここ数年、映画にTVにと、その姿を見ないことはないくらいの大活躍ぶりだが、これだけ売れているにも関わらず、家は光州にあるという(もちろん、ソウル近郊にセカンドハウスはあるのだろうけど)。
この話が本当なら、なんでもかんでもソウル江南中心で動く韓国映画界、芸能界の中にあって、キラリと光るかっこいいレジスタンスぶりだ。
パク・チョルミンもまた、舞台出身だが、韓国におけるバイプレーヤーの例に漏れず、映画やTVでは「人情味のある三枚目」だとか「ちょっと哀しい道化役」といったステレオタイプの役が多く、ちょっと残念でもある。
だが「動かず・語らず・騒がず」の表現も出来る実力派であり、そのポテンシャルは高い。
7月28日に公開されて大ヒット中の韓国アニメーション映画『마당을 나온 암탉』では獺ダ(タ)ルスの声を演じているが、ムン・ソリやチェ・ミンシクを差し置いて、抜群の名演と存在感を見せている。
日本では某お笑いコンビのかたわれにそっくり、という程度しか話題にならないのは仕方ないけど、彼もまた、今後の韓国芸能界を支える名優の一人になってゆくのではないだろうか。
舞台にもまた復帰してくれないかな~。
※「ロキュータス=Locutus(Paramount©)」はアメリカのTVドラマで使われた用語で、人によってはネガティブなイメージを抱く方もいるかもしれませんが、言葉自体にはそういう含みはないと考えますので、流用させていただきました。平たくいうと「代弁者」とか「スポークスマン」といった感じです。
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