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Vol.413 오달수演じるキムタクとは? 『키사라기 미키짱』 [韓国カルチャー]

 2012年11月29日から2013年2月24日まで、ソウルの컬처스페이스 엔유でロングラン公演が行われた演劇『키사라기 미키짱』はその題名通り、日本の戯曲『キサラギ』(古沢良太 作)である。

 韓国で日本の戯曲がなにげで人気があることは周知の事実だが、ロングラン公演もよく目にする。
 もっとも、「日本の戯曲だから」というよりも作家や作品に依った人気だと思うので、別にそれ自体は不自然ではない。
 それに人気俳優が出演していたり実力派が揃っていたりと、興行側も力を入れていることが多いようなので、韓国の演劇に興味を持たれた方は一つの目安になるとは思う。

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 엔유劇場は出入り口が狭い上、窓口が駐車場の一角にあるという分かりにくい場所だが、内部は結構広く設備も悪くない。
 個人的に韓国で日本の戯曲を観ることにちょっと抵抗はあるが、今回は오달수が出演していたので行ってみた次第。

 오달수といえば、2000年以降の韓国映画で最も活躍しているスターの一人であり、演劇畑から映画スターになった代表格ともいえる俳優だ。
 世間一般で認知され、脚光を浴びたのはおそらく박찬욱の『올드보이(2003)』からではないだろうか。
 それから約十年間、韓国映画において彼の顔を観ない年はない。
 最近の話題作『도둑들(2012)』では準主役だったし、異色な役としては『괴물(2006)』における「怪物」の声が有名だ。

 오달수は演劇をやめたわけではないが、その舞台を見る機会は意外と少ない。
 映画でもそのパフォーマンスを垣間見ることが出来ないわけではないが、오달수のような個性派はパターンを求められる傾向が著しいので、多彩な面を観ることが難しい、という事情がある。
 その点、演劇は求められるものが異なるので、俳優の力を知るにはいい機会といえるだろう。

 私は『키사라기』のオリジナル版舞台も映画版も観ていないので、韓国版と日本版の差異については何も分からないが、「このネタ、韓国の一般客にわかるのか?」みたいなところもそのままだったから、特に韓国化された気配は感じなかった。

 今回の感想を先に述べると、あまり満足の行くものではない。
 狭い舞台をほとんどワンシーンで五人の俳優がずっと二時間ドタバタやっているだけ、ということもあるが、喜劇としてもミステリーとしても総じて半端な印象。

 前半は五人のおかしなキャラクター紹介に始終している感があり、後半はアイドル「ミキちゃん」死の真相を巡る展開になるが、全体的に平坦でメリハリがない。
 これは戯曲上の狙いから来るものなのか、演出上の計算なのかはわからないけど、観ていて結構シンドい。

 最後は真相が明らかにされ、「ミキちゃん」の持ち歌に合わせた五人の「オタ芸踊り」で締め括られるのだが、これがシツコい!
 韓国の舞台ではこういったシツコいカーテンコールをしばしば目にするのだが、疲れるし観客をダレさせ感動を減少させかねず、もっとアッサリであってもいいのではないか?
 とっとと切り上げる事も必要だと思うのだが…

 肝心の오달수は、役名こそ“키무라 타쿠아”だが、重要でも全く目立たないキャラを演じており、若手のサポートに徹していた感すらあった。
 想像以上に顔が大きく(というか頭がでかい)肩幅が狭く、5頭身くらいのプロポーションは、どちらかと言えば日本人っぽい。

 客席から一番の歓声と拍手を受けていたのはやはり오달수ではあったけど、“야스오 ”演じていた김동현も負けず劣らずの喝采を受けていた。
 彼はTVドラマにもよく出ている人だが、大学路におけるスターの一人だ。

 他の面々はハズレじゃないけど大当たりでもなく、総じて技量の高い人達ばかりであったが「ギラリ」と抜き身の如く光る人もおらずで、ちょっと物足りなかった。

 もっとも、この『키사라기 미키짱』、俳優たちにそういうものを求める舞台でもないと思うので、これはこれで堅実な仕上がりではあったのかもしれない。

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