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Vol.448 趣味は身を助ける [韓国生活]

 知り合いのA氏は100%、興味も関心も無かった韓国・ソウルで独り暮らすようになって十数年が経つ。
 時折韓国らしいトラブルに遭遇することもあるが、多忙な職務の他に、地元スポーツ系サークルにも複数所属していて、結構充実した生活を送っているらしい。

 A氏がソウルに住む前は今と違って、日本における韓国の具体的な情報がとにかく少なかった。
 日本の大型書店でも韓国語の学習書なんてロクに並んでいなかったし(チェコ語のテキストと同じくらいしかなかった)、街場の韓国語教室も限られていて、一般の観光情報ですら、いい加減なものばかりだった。
 生の情報を得るには、韓国の知人や韓国滞在経験者に、直接ヒアリングしなければならなかったのである。

 これが例の不自然な「韓流ブーム」を境に一変したのはご承知の通りだが、今は無駄な情報と嘘デタラメが増えすぎて、何がなんだか分からないカオス状態だ。

 A氏自身が今だ韓国語を上達することに消極的なのは、「韓国語が上達しちゃうとこっちの人間関係がいたたまれなくなっちゃう」。
 うーん、韓国に住む日本人ならではのリアルな言葉であるけど、もったいない気もする。
 でも、日本人的視点で眺めると、他者への悪口、陰口、中傷誹謗に恫喝と、無責任な言動ぶりが日常茶飯事に横行する韓国は、確かに繊細な日本人にとって、かなりキツイ社会かもしれない。

 今、ネットで色々見ていると、ちょっと興味深い傾向を見せているものに、在韓日本人による情報発信がある。
 中でも、仕事や学術目的ではない、結婚やら憧れやらで韓国に来た日本人がアップしているものからは、作為的な「韓流ブーム」が遺した負の一端も見えてくる。

 ブーム当初、この手のブログやHPで目立って増えたのは、「カレシが韓国人」とか「韓国人と結婚します」といった、おのろけ自慢系だった。
 それから少し経つと、おのろけは相手(とその家族や親戚)に対する愚痴や不満に変わってゆき、そこから更に時間が経過すると、「離婚しました」「別れました」で始まる、彼や彼女たちの「反韓・嫌韓宣言」だ。

 彼らが親韓的な立場を180°変えた理由としてよくあるのが、毎度おなじみの歴史観の相違に、親戚縁者による反日の嫌がらせ、金銭のたかり、パートナーが暴力を振るう、働かなくて困る、といった黄金パターンである。

 その嘆きや悲しみを読んでいると、韓国についての「リアル」が得にくかったかつての日本において、突然湧きだして蔓延した正体不明の「韓流」というものが、どれだけ多くの日本人を不幸にしたのだろうか、などとも考えてしまう。

 だが、それらとは逆に、ブームと関係なしで韓国に移住した日本人のブログは、もっと前向きで共感できるものが多かったりする。
 本当は辛いことも色々あるのだろうけど、韓国という「異国」の生活を楽しもうという姿勢がある。

 こちら側の人たちは、韓国側の伴侶とその家族が「大アタリ」だったことが一番大きいのだろうけど、安易なブームに惑わされない精神性と知性もあったんだろう。
 韓国に対して、時には皮肉で辛辣な視線になりがちなのはご愛嬌といったところかもしれないが、そこら辺は海外で暮らす異邦人に共通することでもある。

 先のA氏は韓国において良好な人間関係を構築することに成功した人なので、何かあっても所属する組織や友人たちが韓国特有のトラブルから守ってくれる。
 だが、これは真似をしようと思ってできることではない。
 ひとえに本人の適性と才覚もあるが、韓国における「偶然の出会い」という不確定な要素がかなりあるからだ。

 そして、「韓国に憧れて」「韓国にうっとり」ではなくて、「韓国なんかに興味はないけど、普遍的な趣味があった」という事である。
 それが異国で暮らし、人間関係を作る上で大いに役に立っている。

 A氏は、職務経歴とスポーツ、博識雑学がその方便になった訳だが、結局、「趣味は身を助ける」ということなのではないだろうか。

アサウラ.JPG

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