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Vol.476 助けあう心 [韓国生活]

 日本嫌いの韓国人であっても、日本のあるものは褒めることがある。
 医療や老人介護、障害者への支援といった社会福祉制度だ。
 実際に年金や保険料を支払っている身からすると、どの程度まで「日本が福祉先進国」なのか分からないが、韓国は福祉の面で日本以上にシンドいのは事実かもしれない。
 近年顕著になっている格差の問題もまた、その印象を強めている。

 では、韓国の人々自身に助け合う精神が全くないかと問えば、決してそういうことはないだろう。
 一方的に賞賛するのは危険だが、巷を観察していれば、昔ならではの互助的なものが、日本よりもまだまだ残っていたりする。

 私がソウルで遭遇したものだと、次のようなことがあった。
 それは、あるシネコンで開場待ちをしていた時だ。
 目の前には中学生だか高校生だか、制服を着た普通の学生たちが数人たむろっており、その中に一人、車椅子に乗った女の子がいた。

 これが日本の映画館だと、スクリーン前方などに設定された専用エリアにお越しいただく、ということになるのだが、韓国の映画館にそういうものはない。
 どうするのかな?と観ていたら、方法論としては当たり前すぎて、逆に意表を突かれてしまった。

 劇場内に入ると、車椅子を出入口付近に置いたまま、男子生徒が女の子を「サッ」とお姫様抱っこして、座席まで上がって行き、「サッ」と座らせたのである。
 帰りも同じ男子学生が彼女を「サッ」と抱え上げると、下に降りて車椅子にこれまた「サッ」と戻し、みんな何事もなかったように仲良く劇場から出て行ったのであった。

 抱える男の子にも、抱えられる女の子にも、彼らを待っている友人たちにも、なんの躊躇も迷いもない。
 ここまでのなにげなさを日本で見たことがなかったので、ちょっと感動してしまった。

 結局は家庭における躾や学校で受ける教育に依存する部分が大きいのかもしれないけど、福祉制度に問題の多い韓国だからこそ、本来あるべき互助の精神が、まだまだ見えない部分で生きているのかな、とも考えてしまうのだった。

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