Vol.480 とっつあん坊やがデスメタります!『내 심장의 전성기』 [韓国カルチャー]
時は現代、舞台はインチョン。
そこは年中派手なTシャツに黒い革ジャン、ジーンズで身を固めたロックなおっさんが経営するロックなライブ&伝統居酒屋だった。
厨房を預かるのも髭のロックな野郎だ。
だが、ある夜、そこにプロを目指す高校生のパンクバンド「カルシウムとマグネシウム」の面々が訪れ、腹の突き出た冴えないオヤジを巻き込んで騒ぎを起こしたことから、男たち再生のドラマは幕を開ける。
社長최광현こそ、1980年代に若者たちの間でカリスマとして人気を誇った伝説のヘビーメタル・バンド「核爆発」のボーカルだった!
2014年4月3日から6月1日まで、ソウル・恵化の대학로 자유극장で上演された손병호主演の『내 심장의 전성기』は、日本では分かりにくい韓国の音楽シーンを垣間見せてくれる楽しい作品だ(日本で売られているK-POPが主流だと思ったら、それは大変な誤解です)。
映画で言えば이준익監督の『라디오 스타』や『즐거운 인생』なんかに重なる物語でもある。
舞台はのっけから仮面を被ったミュージシャンがドコドコと重低音を響かせて派手なパフォーマンスをかましてくれる。
おそらく、ライブ用のアンプとスピーカーも使っているのだろう、床も座席も揺れまくり、舞台の上では仮面のボーカルが飛び跳ねる。
そして歌い終わって仮面を脱げば、その男はあの손병호なのだ。
やがてソロでバラードを歌いだすけど、日頃のイメージとは180度異なる今回のキャラクターに観客は大喜びだった。
손병호も映画のバイプレーヤーとして売れるにつれて、演劇からは自動的に遠ざかってしまった一人だろう。
まったくやめた訳ではないけれど、中々その舞台を観ることが叶わない俳優だったのである。
歳もそれほどとっているわけでもなく、まだまだおっさん盛りといった風情だが、映画では老け役かつ静的な役が多いので、今回の舞台は多くの観客にとって驚きだったと思う。
実際、映画とは雰囲気も演技も全く別物で、韓国映画業界は彼のことをホントは上手に使えていなかったのでは?とも思った。
ちょっと驚いたのは、メタルもやるけど、オーソドックなギターも、ちゃんと弾けることだ。
音楽で食べてゆくにはイマイチのレベルなんだけど、こんなに音楽依りの俳優とは予想外だった。
かつて音楽ドキュメンタリー映画『좋아서 만든 영화』で、あるバンドの路上演奏ぶりに感心し、彼がメンバーにいきなり話しかけるというアクシデントが描かれていたが、あれって、そういうことなんだと、改めて納得。
腕の良いディレクターと組めば歌によってはそれなりの仕上がりになりそうな感じだ。
韓国の舞台俳優は一般的に歌が上手というイメージがあるが、それをミュージカルではなくても惜しげもなくさらけ出してくれるのは、とてもいいことだと思う。
主人公を支えるかつての仲間たち演じる面々も味があっていい俳優ばかり。
決してメジャーではないが、ちょこちょこと映画で活躍している人たちだ。
特に전일범演じる박社長が正体を晒して、ベースギターをかき鳴らす様は感動的である。
若手の中では飲み屋で働く정유役の윤충が印象的、非常に声が良く、体も鍛えており、個性も演技力もある。
韓国では割りと普通にいるルックスではあるけれど、スターとしてブレイクしてくれると嬉しい。
紅一点、主人公の娘보람演じた이아이は、残念ながら最も俳優として未熟で、不要に思えるキャラでもあったから、違和感がある。
まあ、周りが周りなので、今回はベテランの胸を借りました的なキャスティングだったんでしょう。
話自体はおっさんのヘビメタに女子ボクサーと、以前どこかで観たような内容、同じヘビメタ物でも『에어로빅보이즈』の方が遥かに面白いが、出演者が一体になって繰り広げる音楽パフォーマンスはこちらの方が楽しい。
손병호くらいのスターになると、公演スケジュールは本人が自由自在に決められるとのことだが、最近はあまり映画にも出なくなって来ているので、彼もまた積極的に舞台に戻って来てくれると、いいなぁ~と思うのであった。
そこは年中派手なTシャツに黒い革ジャン、ジーンズで身を固めたロックなおっさんが経営するロックなライブ&伝統居酒屋だった。
厨房を預かるのも髭のロックな野郎だ。
だが、ある夜、そこにプロを目指す高校生のパンクバンド「カルシウムとマグネシウム」の面々が訪れ、腹の突き出た冴えないオヤジを巻き込んで騒ぎを起こしたことから、男たち再生のドラマは幕を開ける。
社長최광현こそ、1980年代に若者たちの間でカリスマとして人気を誇った伝説のヘビーメタル・バンド「核爆発」のボーカルだった!
2014年4月3日から6月1日まで、ソウル・恵化の대학로 자유극장で上演された손병호主演の『내 심장의 전성기』は、日本では分かりにくい韓国の音楽シーンを垣間見せてくれる楽しい作品だ(日本で売られているK-POPが主流だと思ったら、それは大変な誤解です)。
映画で言えば이준익監督の『라디오 스타』や『즐거운 인생』なんかに重なる物語でもある。
舞台はのっけから仮面を被ったミュージシャンがドコドコと重低音を響かせて派手なパフォーマンスをかましてくれる。
おそらく、ライブ用のアンプとスピーカーも使っているのだろう、床も座席も揺れまくり、舞台の上では仮面のボーカルが飛び跳ねる。
そして歌い終わって仮面を脱げば、その男はあの손병호なのだ。
やがてソロでバラードを歌いだすけど、日頃のイメージとは180度異なる今回のキャラクターに観客は大喜びだった。
손병호も映画のバイプレーヤーとして売れるにつれて、演劇からは自動的に遠ざかってしまった一人だろう。
まったくやめた訳ではないけれど、中々その舞台を観ることが叶わない俳優だったのである。
歳もそれほどとっているわけでもなく、まだまだおっさん盛りといった風情だが、映画では老け役かつ静的な役が多いので、今回の舞台は多くの観客にとって驚きだったと思う。
実際、映画とは雰囲気も演技も全く別物で、韓国映画業界は彼のことをホントは上手に使えていなかったのでは?とも思った。
ちょっと驚いたのは、メタルもやるけど、オーソドックなギターも、ちゃんと弾けることだ。
音楽で食べてゆくにはイマイチのレベルなんだけど、こんなに音楽依りの俳優とは予想外だった。
かつて音楽ドキュメンタリー映画『좋아서 만든 영화』で、あるバンドの路上演奏ぶりに感心し、彼がメンバーにいきなり話しかけるというアクシデントが描かれていたが、あれって、そういうことなんだと、改めて納得。
腕の良いディレクターと組めば歌によってはそれなりの仕上がりになりそうな感じだ。
韓国の舞台俳優は一般的に歌が上手というイメージがあるが、それをミュージカルではなくても惜しげもなくさらけ出してくれるのは、とてもいいことだと思う。
主人公を支えるかつての仲間たち演じる面々も味があっていい俳優ばかり。
決してメジャーではないが、ちょこちょこと映画で活躍している人たちだ。
特に전일범演じる박社長が正体を晒して、ベースギターをかき鳴らす様は感動的である。
若手の中では飲み屋で働く정유役の윤충が印象的、非常に声が良く、体も鍛えており、個性も演技力もある。
韓国では割りと普通にいるルックスではあるけれど、スターとしてブレイクしてくれると嬉しい。
紅一点、主人公の娘보람演じた이아이は、残念ながら最も俳優として未熟で、不要に思えるキャラでもあったから、違和感がある。
まあ、周りが周りなので、今回はベテランの胸を借りました的なキャスティングだったんでしょう。
話自体はおっさんのヘビメタに女子ボクサーと、以前どこかで観たような内容、同じヘビメタ物でも『에어로빅보이즈』の方が遥かに面白いが、出演者が一体になって繰り広げる音楽パフォーマンスはこちらの方が楽しい。
손병호くらいのスターになると、公演スケジュールは本人が自由自在に決められるとのことだが、最近はあまり映画にも出なくなって来ているので、彼もまた積極的に舞台に戻って来てくれると、いいなぁ~と思うのであった。
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