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Vol.478 中国は「ない」? [韓国生活]

 先日、ネットで新聞記事を眺めていたら、「韓国の某シンクタンクが国内アンケートを行ったところ、中国を経済的、軍事的な脅威と感じている人は6割を超えた」という一文に突き当たる。

 「へぇー、ホントかな?」

 韓国における世論調査が、どこまで事実を聞き出せているか、という疑問はさておいて(これ自体情報操作であることは否めないし、韓国はかなりのWスタンダード社会)、これはある意味、驚きだ。
 なぜなら、以前から韓国の人々にとって「都合の悪い中国」はないのであり、その中国の存在自体をあくまでもスルーするよう、心理操作を受けているのでは?と真剣に疑っていたからだ。

 ここ十年あまり、パッと見では、韓国が中国に期待する温度が大きく上昇している。
 地下鉄で中国語を勉強している人たちをよく見かけるようになったし、かつては日本語学院や日本留学仲介業者がひしめいていた鍾路の街も、一時期中国留学の看板ばかりになったこともあった。

 ソウルの下町ではニューカマーの中国人による新中華街がますます広がり、観光名所はどこにいっても中国人客ばかり、大学も中国人留学生がひしめき合い、韓国企業は労働力や下請け先の多くを中国側に依存している。
 
 だが、マスコミが声高に騒ぐほど、一般の人たちは中国に対して特別な関心があるように見えず、「自分たちがヘゲモニーを握っている」という幻想に浮かれているだけだったりする。
 そして国力差を指摘されれば、「韓国は中国と違って先進国だから大丈夫」とか「中国より10年進んでいるから勝てる」など、目をキラキラさせて優位性を自慢する。

 日本人からすれば「中国のほうが実際問題として色んな意味で脅威になりうるだろう」なのだが、韓国ではどうやら、そう考えてはいけないらしい。
 それゆえ、今回のシンクタンクの手による(ということになっている)調査結果は、ちょっと意外ではあったのだけど、記事をよく読んでみれば中国に対する諸々の期待もまた同じような数値(5割超)というオチだったりする。
 まあ、市井の人々は普通の日本人と同じく、「日々の問題で手一杯」という現実があるから、本音では戦争でも起こらない限り、どうでもいいことなのかもしれない。

 だが、こういう動向を見ていると、韓国の大衆が求める志向とは、実はアメリカに憧れたグローバリズムではなくて、大陸との従属的柵封関係にあった封建時代の方なのでは?などと考えてしまうし、怖いのは「中国を利用して」のはずが逆手に取られて、「まさか、そんな…バカな!」になってしまう結末だ。
 
 近頃の韓国における中国依りの姿勢と反日的言動を見ていると、IMF体制前後のソウルを思い出して仕方ない。
 これは当時の民主政権移行に対する期待感と、今の親中体制への期待感が、どこか根っ子で「よ~く」似ているからだ。
 政治体制に大きな変化が見込めるから、「明るい未来だけがやって来る」という理屈なのだろうか。

 「これからは日本が沈み、私達が昇る時代が来るんです」

 軍事政権が終焉し、民主政権へ移行しつつあった当時、地元の女子大学生に自信満々でこう言われたことがあった。
 その頃の韓国はバブル景気、みんな明るい未来を信じていたが、それから数年後に私が見たものは、IMF介入で打ちひしがれた人々と、街のビル灯りが消えた無残な光景だった。

 「反日」「親中」をいくらやろうとも、結局それは韓国自身の問題であり、彼らがどうすべきかを決めることだが、知らない間に誰かの甘い言葉に踊らされ、気が付いたら自分たちが望まない方向へと足を踏み外していた、なんてならないよう祈りたい。

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ここら辺はかつて、日本語学院、日本留学事務所が密集していましたが、今は面影なし。













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