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Vol.490 韓国の夏Part2、教皇の夏 [韓国生活]

 2014年、8月某日。
 午前中、私は映画を観るべく、光化門駅に地下鉄五号線で向かった。

 定宿から光化門駅は3kmもないから、機嫌が良い日は徒歩で行くのだが、あいにくそうではなかったので、地下鉄で行くことにする。
 鍾路三街駅から5号線を使えば、光化門駅まで五分もかからない。

 列車が来たので乗る。
 次の駅で停車したので確認すると西大門駅だ。
 「ああ、またやっちゃった…」
 ぼうっとしているとあっという間に西大門駅まで行ってしまうくらい、鍾路三街駅から光化門駅は近いから、疲れている時や考え事をしている時は要注意なのだ。

 仕方ないので反対方向の車両に乗り換える。
 だが、地下鉄は光化門駅をすっ飛ばして、鍾路三街駅に到着する。
 「あれれれれれ!」
 そう、その日の午前中は光化門駅に地下鉄が停まらなかったのだ!

 なぜなら、第266代ローマ教皇フランシスコを迎えた謁見式が、「大韓民国が世界に誇る大イベント」として、光化門広場こと「歴史自慢広場」で開催されており、光化門駅は完全封鎖されていたからなのだ。
 地下鉄が停まらないのは市庁駅も同様で、去りゆく同駅構内にいるのはベンチで寝ているホームレスの人だけ。

 仕方ないので普信閣駅に戻り、そこから鍾路に沿って徒歩で光化門駅方向に向かうことにする。
 道路は通行止めになっていて、まるで日曜の銀座か、新宿のよう。
 道幅が広いので清進洞辺りまで人の群れがそれほど気にならなかったが、清進洞辺りから人々が動かなくなり始め、光化門駅十字路手前にくると、遂に先へ進めなくなってしまう。

cyonjinndon2.JPG
ここらまでは大したことないのですが…

 その様子に改めて、韓国におけるカトリックの影響力を思い知らされる。
 日頃、特定宗教と関わりの薄い暮らしをしている私にとって、体験してみないと皮膚感覚では理解できない宗教の存在がそこにはあった。

 現場には教皇を一目見ようと地方から団体で来ている人たちがかなりいて、みんな共通のTシャツだとか紙のサンバイザーを被っている。
 だが、この凄まじい人混みでは多くの人達にとって、「教皇に直接拝謁する」という真摯な願いは叶わなかったのではないだろうか。

 私が広場前に着いた時はすでに謁見式は終わっており、教皇は現場から去っていたが、今度は人々が一斉に帰路に着くのでこれがまた大パニックだ。
 ここでテロでもやられたら大惨事なのだが、警察官の姿はかなり少なく、警備が予想より手薄に見えた。
 そういえば前日も当日もTVニュースで教皇のパレードを中継していたけど、乗っていたのは韓国車を改造したオープントップ、狙われたらイチコロの防備だった。

 光化門十字路の狂ったような人混みをなんとか突破して通りの反対側に出るが、そっち方向には団体さんのバスが停められているらしく、人々の列が延々と流れ続けている。

 映画の上映まで時間があったので、どこかで一休みしようと思ったが、どのカフェも帰りの人たちで満席、仕方ないので、前から気になっていた中国料理屋に入って冷麺を食べる。
 でも、そのお店もまた、帰りの団体さんで一杯だった。

 日本でローマ教皇と言えば、ヨハネ・パウロ2世が来日した際、銀座教会に来たことを覚えているが、大分昔の話である。
 2015年に現教皇が日本に来るとか来ないとか調整しているらしいが、それが実現しても東京ではここまで大騒ぎにならないだろうし、訪日が決まれば、おそらく日本人よりも在日外国人での方が盛り上がるんじゃないだろうか?
 そういう意味では、今回の大騒ぎぶりに遭遇出来たことはいい経験だったのかもしれない。
 もしかして、「お導き」だったのかも?

utagenoato2.JPG
宴の後…


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