Vol.410 なにゆえ韓国のカップラーメンなど…と思いつつ Part4 [韓国の食]
韓国でインスタントラーメンの製造販売が始まったのは1963年のことらしい。
カップラーメンについては1972年に三養食品が最初に販売したが市場に根付かず、1980年代になって農心が販売した製品辺りから一般に浸透した、ということである。
つまり、意外と歴史は浅い訳だが、韓国は麺といえば「グラグラ煮る」食文化の社会なので、熱湯でふやかす食べ方は当時そぐわなかったのかもしれないし、値段がたぶん高かったこともあるだろう。
ここ十年くらい韓国製インスタント食材全体の品質は高くなって来ていて、どんどん日本の物に近くなっているし、レシピも昔に比べれば洗練されてきているとは思うのだけど、インスタント・ラーメンに関してはあまり変わっていないのではないだろうか。
その分、腹持ちだけはいいから、コスパの面では日本製より優れているといえなくもないが、毎日食べるのは、やっぱり重すぎてキツイと思うのである。
「ぼってり、どっかり、たぷたぷ」、韓国のカップラーメンにはこの形容がよく似合うのであった。
カップラーメンについては1972年に三養食品が最初に販売したが市場に根付かず、1980年代になって農心が販売した製品辺りから一般に浸透した、ということである。
つまり、意外と歴史は浅い訳だが、韓国は麺といえば「グラグラ煮る」食文化の社会なので、熱湯でふやかす食べ方は当時そぐわなかったのかもしれないし、値段がたぶん高かったこともあるだろう。
ここ十年くらい韓国製インスタント食材全体の品質は高くなって来ていて、どんどん日本の物に近くなっているし、レシピも昔に比べれば洗練されてきているとは思うのだけど、インスタント・ラーメンに関してはあまり変わっていないのではないだろうか。
その分、腹持ちだけはいいから、コスパの面では日本製より優れているといえなくもないが、毎日食べるのは、やっぱり重すぎてキツイと思うのである。
「ぼってり、どっかり、たぷたぷ」、韓国のカップラーメンにはこの形容がよく似合うのであった。
틈쌔라면 컵(隙間ラーメンカップ)(わざわざ食べる価値度…興味があればご自由に)
すっかり定番化した製品だが、中身はよくある韓国製インスタントラーメンの系列に過ぎない。
うま味成分は強いが、やたらと辛く胃が痛む。
胃腸の弱い人は要注意。
ちなみにパッケージの人物はオ・ダルスではない。
(入手先)
GS25店頭か、GS SHOP通販にて入手可能。
GS25 틈새라면 왕컵(GS25 隙間ラーメン 王カップ)(わざわざ食べる価値度…お金がない時に)
標準カップの大盛り版だが、容器の形状と麺の量以外は基本的には同じようなもの。
ただし、かやくがいささか多くなり、麺の味も若干違うようにも感じるが、たぶん気のせいだろう。
唐辛子粉が相変わらず強烈で胃痛を起こすのは標準版と同じである。
パッケージの人物は、やっぱりオ・ダルスではない。
(入手先) GS25店頭か、GS SHOP通販にて入手可能。
ああ、しんど…GS25 삼선짬뽕컵 공화춘(GS25 三鮮ちゃんぽん 共和春)(わざわざ食べる価値度…興味がある人だけ)
お湯を注ぐと「隙間ラーメンと何が違うんだ!?」とツッコミ入れたくなるが、食べてみるとナニ気で差別化を図っている製品だったりする。
意外に辛くなく、うまみ成分も多く感じられるのが特徴。
麺も、ややレシピが異なるように思うが、やっぱり気のせい?
ブロック状のかやくが特徴だが、中身はショボイ。
スープがやけに赤いが、これがチャンポンの証か!?
(入手先)
GS25店頭か、GS SHOP通販にて入手可能。
Vol.404 パック寿司買って宿に帰ろう [韓国の食]
韓国でも日本の握り寿司はかなり前からポピュラーだ。
一部高級店は日本の職人が握っていたりもするが、「ホテルにある寿司屋よりも日本の回転寿司の方が美味い」という声もあるくらい。
ご存知のように韓国は近海物に恵まれており、朝鮮半島南側自体、昔から米どころでもあるから、美味しい握り寿司を作ろうと思えばいくらでも作れるはずなのだが、日本と韓国の寿司の間を大きく隔てていたのは、おそらくシャリに使う食酢の違いである。
韓国は昔から、ハインツなどに代表される強烈な化学臭のする酢が一般的で、これでは寿司飯が美味しいはずがない。
農協なんかで扱っている柿酢でも使えば、美味しい寿司が作れそうな気もするのだが、そういう変則的発想はまだまだ薄い。
また、原料となる米の乾燥具合、炊き方も、握り寿司用としてはイマサン、基本的に韓国で炊かれる銀シャリは握り寿司に向いていないのである。
しかし、妙に酸っぱくて、パサパサしていて、場合によっては解凍丸出しが多かった韓国製握り寿司でも、私は決して嫌いではなかった。
これもまた、韓国ならでは味だと思うからだが、皮肉なことに金大中政権以降、韓国の握り寿司は、とんかつと共に、劇的に質が向上してきている。
特にマート(日本のスーパー)で売られるパック寿司のレベルアップは著しいものがあって、酢飯の味だとかシャリの固さだとか、最近は日本のスーパーで売られている寿司を凌駕しているといってもいい。
ネタは日本ほど種類はないけれど、韓国産ヒラメやイカ、エビは元々高品質(でも寿司のエビは多分、輸入品)。
そこにシャリのレベルアップが起こったのだから、不味いわけがない。
サーモン(これまた輸入品だけど)もレベルが高く、最近はタコもよく見かけるようになった(낙지ではなくて、문어の方)。
やや割高な価格ではあるけれど、量も多く、タイムセールが適用されるのも魅力的だ。
家で食べるには十分過ぎるコストパフォーマンス。
という訳で、毎度韓国に逗留するたびに、大型マートの食料品売場で値引きされたパック寿司を買うことが、最近の韓国における楽しみの一つになっている。
その日の予定の締めを、わざわざ大型マートが近い場所に設定したりして、値引きされたものを狙ったりする。
ヒラメとイカが好きな人は、たまらないだろうし、酒飲みの方は、清酒か生マッコルリでも一緒に買えば、さらにお得だと思う(といいつつも、ネタのバリエーションが無い分、毎日食べると飽きますが)。
一部高級店は日本の職人が握っていたりもするが、「ホテルにある寿司屋よりも日本の回転寿司の方が美味い」という声もあるくらい。
ご存知のように韓国は近海物に恵まれており、朝鮮半島南側自体、昔から米どころでもあるから、美味しい握り寿司を作ろうと思えばいくらでも作れるはずなのだが、日本と韓国の寿司の間を大きく隔てていたのは、おそらくシャリに使う食酢の違いである。
韓国は昔から、ハインツなどに代表される強烈な化学臭のする酢が一般的で、これでは寿司飯が美味しいはずがない。
農協なんかで扱っている柿酢でも使えば、美味しい寿司が作れそうな気もするのだが、そういう変則的発想はまだまだ薄い。
また、原料となる米の乾燥具合、炊き方も、握り寿司用としてはイマサン、基本的に韓国で炊かれる銀シャリは握り寿司に向いていないのである。
しかし、妙に酸っぱくて、パサパサしていて、場合によっては解凍丸出しが多かった韓国製握り寿司でも、私は決して嫌いではなかった。
これもまた、韓国ならでは味だと思うからだが、皮肉なことに金大中政権以降、韓国の握り寿司は、とんかつと共に、劇的に質が向上してきている。
特にマート(日本のスーパー)で売られるパック寿司のレベルアップは著しいものがあって、酢飯の味だとかシャリの固さだとか、最近は日本のスーパーで売られている寿司を凌駕しているといってもいい。
ネタは日本ほど種類はないけれど、韓国産ヒラメやイカ、エビは元々高品質(でも寿司のエビは多分、輸入品)。
そこにシャリのレベルアップが起こったのだから、不味いわけがない。
サーモン(これまた輸入品だけど)もレベルが高く、最近はタコもよく見かけるようになった(낙지ではなくて、문어の方)。
やや割高な価格ではあるけれど、量も多く、タイムセールが適用されるのも魅力的だ。
家で食べるには十分過ぎるコストパフォーマンス。
という訳で、毎度韓国に逗留するたびに、大型マートの食料品売場で値引きされたパック寿司を買うことが、最近の韓国における楽しみの一つになっている。
その日の予定の締めを、わざわざ大型マートが近い場所に設定したりして、値引きされたものを狙ったりする。
ヒラメとイカが好きな人は、たまらないだろうし、酒飲みの方は、清酒か生マッコルリでも一緒に買えば、さらにお得だと思う(といいつつも、ネタのバリエーションが無い分、毎日食べると飽きますが)。
Vol.398 なにゆえ韓国のカップラーメンなど…と思いつつ Part4 [韓国の食]
韓国のカップラーメンは、とにかく胃にもたれる。
だから、立て続けに食べるのがシンドい。
その原因の一つとして、麺が「重い」ことにある。
日本の即席麺が、ノンフライなどの手法を使って、より生麺に近いものを目指してきたとすれば、韓国の即席麺は真逆の方向で発展して来たように思える。
今回紹介する製品は、独自ブランドを付加することで他の製品との差別化を図り、更に内容もワンランク上を目指したと思われる点において、韓国製カップラーメンにおけるニューウェーブといえそうなものだが、実際の美味しい、不味いと関係ないことは言うまでもない。
お金が無い時は、大衆食堂でテンジャンチゲでも食べましょう。
だから、立て続けに食べるのがシンドい。
その原因の一つとして、麺が「重い」ことにある。
日本の即席麺が、ノンフライなどの手法を使って、より生麺に近いものを目指してきたとすれば、韓国の即席麺は真逆の方向で発展して来たように思える。
今回紹介する製品は、独自ブランドを付加することで他の製品との差別化を図り、更に内容もワンランク上を目指したと思われる点において、韓国製カップラーメンにおけるニューウェーブといえそうなものだが、実際の美味しい、不味いと関係ないことは言うまでもない。
자창컵 공화춘(チャジャンカップ 共和春)(わざわざ食べる価値度…興味があればOK)
韓国大手コンビニチェーン「GS25」で展開している独自ブランド「共和春」シリーズの一つ。
私が記憶する限りでは5,6年前に登場した製品だ。
コンビニチェーンの独自ブランドとして展開する製品は、おそらくこのシリーズが初めてではないだろうか。
(味)
生チャジャン付、その中にジャガイモ片が入ってるという、贅沢な仕様で、韓国のカップ麺としては具が最も多い製品の一つ。
日本のカップ焼きそばと同じ原理で、湯切りした後の麺は多孔質でポワポワだ。
生チャジャンはそれなりの味だが、これだけご飯にかけたり、日本の生麺に単体でかけて食べるのはきついレベルの完成度(=不味い)、肉はほとんど入っていない。
表示カロリーが580calとなっており、かなり油分が含まれていると思われるが、それなりの満腹感はある。
(入手先)
GS25各店舗か、GSの通信販売で入手可能だが、わざわざ日本に持って来てまで食べるようなものではない。
どれも、わざわざ無理に食べるようなシロモノではない。놀부 부대찌개 라면(ノルブ プデチゲ ラーメン)(わざわざ食べる価値度…興味があればOK)
韓国ではお馴染みの놀부 レーベルの製品。
「プデチゲ」を再現しているところがミソで、今までありそうでなかったタイプの製品だ。
(味)
本物の 「プデチゲ」には程遠く、その実体は、やけに薄味の、標準的な韓国製インスタントラーメンに過ぎない。
具は、しょぼいソーセージ片が入っているだけである。
それを食べてやっと「プデチゲかな??」程度の味だ。
やっぱり「プデチゲ」は、SPAMが入っていないと格好がつかない。
「プデチゲ」は現代韓国を代表するジャンクフードであり、あの独特の塩っぱさや臭さ、不健康さ、ゴテゴテ感覚を再現しないと、看板に偽りあり、と言われても仕方ない。
(入手先)
一般的なコンビニで入手可能。
大型マートでも置いていると思う。
お金が無い時は、大衆食堂でテンジャンチゲでも食べましょう。
Vol.395 なにゆえ韓国のカップラーメンなど…と思いつつ Part3 [韓国の食]
インスタントラーメンやカップラーメンというもは、食べると大なり小なり胃がもたれるものだが、韓国製の場合は、それがひどい気がする。
謎の成分でも入っているのだろうか?
日本製に比べて脂分は少なく、化学調味料も少なめに感じるのだが、麺がとにかくボテッとしていて重い。
朝昼二回続けて食べると、次の日の昼くらいまで腹が空かないという、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるが、多くの製品には唐辛子粉が多く含まれているので、下痢をすることもある(反対にひどい便秘になることも…)。
今回、紹介する製品は、以前紹介した『강호동의 화끈하고 통큰 라면』と同じように、タレント人気に便乗した企画と思われる。
一種のコレクターズ・アイテムといえる製品。
謎の成分でも入っているのだろうか?
日本製に比べて脂分は少なく、化学調味料も少なめに感じるのだが、麺がとにかくボテッとしていて重い。
朝昼二回続けて食べると、次の日の昼くらいまで腹が空かないという、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるが、多くの製品には唐辛子粉が多く含まれているので、下痢をすることもある(反対にひどい便秘になることも…)。
今回、紹介する製品は、以前紹介した『강호동의 화끈하고 통큰 라면』と同じように、タレント人気に便乗した企画と思われる。
『최효종 시원한 백짬뽕』(わざわざ食べる価値度…なし)
製品名を意訳すると「チェ・ヒョジョンのさっぱり味白ちゃんぽん」。かやくがほとんど入っていない。
辛さは抑え目だが、あくまでも「やや抑え目」のレベルで、それほど涼やかなでもなく、ココ麺に似た味だ。
麺は太く、ふやけるまで4分間必要だが、結局はいつものスナック麺である。
スープは唇に残る辛さで、辛いものが苦手は人には、抵抗がある味。
「최효종」がどこの誰かは、WEB検索かけてもらえば山のように出てくるので、気になる人はご自分で調べて下さい。『최효종 열큰한 홍짬뽕』(わざわざ食べる価値度…なし)
製品名を意訳すると「チェ・ヒョジョンの激辛赤ちゃんぽん」。白版よりも、かやくを多く感じるが、やたらとイカがゴロゴロしている。
韓国製インスタント麺のスープとしては、うまみ成分を多く感じる方だが、化学調味料の味は比較的穏やか。
ただし、唐辛子粉の量が結構あり、食べた後、胃に来る。
辛味は意外と弱く、白版の方が辛く感じたくらいである。
一種のコレクターズ・アイテムといえる製品。
Vol.394 サムソン・ポックンパブの味 [韓国の食]
最近、韓国に来て一番困るのは食事だ。
韓国における食事環境に飽きて久しい今、お腹が減っても食欲がワカないという状況に陥っており、滞在中の忙しさと、物価上昇も拍車をかける。
仕方ないので、コンビニやマートでサンドウィッチやキムパブ、カップ麺と、悲惨な食生活を送るはめになるのだが(時々、寿司も買うけど)、最近、食べる楽しみの一端として、韓国式中国料理屋に行くようになった。
日本人の間では韓国における中国料理は決して評判がいい訳ではない。
甘く、コクがなく、ベタッとしていて、バリエーションが少なく、日本の方が遥かに美味しくと、確かに「なんでわざわざ韓国で…」な味であることは、その通りだが、逆に韓国の食文化を楽しむつもりであれば、そんなに悪くない。
江北には、古く個性的なお店が多いので、何気で穴場だったりもする。
一人で入りやすいことも、長所である。
私がよく食べるのが、日本で言えば海鮮チャーハンに該当する「サムソン(三鮮)・ポックンパブ」だ。
最初に紹介するのは、東大門にある古い中国料理屋。
ここは若干値段が高いものの、初めて食べる人にも許せる範疇かもしれない。
東大門という場所は意外に食事の場に乏しいところで、他を探すのが面倒くさいから行き始めたお店だ。
次に紹介するのは、忠務路にある、これまた古いお店(大韓劇場前の行列店ではありません)。
初めて韓国に行った人はちょっと引いてしまう佇まいの店構えかもしれないが、近所に勤める人たちにとっては、馴染み深い店らしい。
お店のボロさが、かつての日本の情景を思い出させ、哀愁が漂っているが、閑古鳥は鳴いていない。
ポックンパブは平皿に押し付けられた独特な盛り方だが、非常にあっさりした味で、干し海鼠を使っていたりする。
三番目のお店は、光化門駅の近くにあり、古い建物が個性的、場所柄、ここも意外と日本人客が多いのではないかと思う(今のところ、遭遇したことはありませんが)。
韓国で中国料理が食べたければ、まず、建物が平屋で古く、一階に居を構えているお店を勧める。
そして、場所が、江北のような古い街であることも重要だ。
こういったお店は、韓国では数少ない華僑が営業していることが多いので、「韓国伝統の中国料理」という、いささか矛盾した味を楽しむには一番いいと思う。
二階にあるお店や、配達用のバイクが軒先に沢山あるお店は、出前が主力なので落ち着かないし、華僑営業が少ないようにも思う(きちんと調べたわけではありませんが)。
高級店(まあ、江南系)は、調理人が中国人、食材も本格的なので、韓国で食べる意味が無い。
韓国に何回も来て、焼肉・キムチ・サムゲタンその他、ステレオな韓国料理にウンザリした方は、食の次なる楽しみを見出すのに、韓国式中国料理はちょうどいいのではないだろうか?
本当は永登浦辺りのニューチャイナタウン系も面白いのだが、あそこは韓国とはまた別の、偏向した反日教育を受けた連中も多いので(全く逆の人もいますが)、今時分、日本人だけで行くのは、ちょっと注意した方がいいかも(韓国語だけ使っていれば、大丈夫かな?…)。
韓国における食事環境に飽きて久しい今、お腹が減っても食欲がワカないという状況に陥っており、滞在中の忙しさと、物価上昇も拍車をかける。
仕方ないので、コンビニやマートでサンドウィッチやキムパブ、カップ麺と、悲惨な食生活を送るはめになるのだが(時々、寿司も買うけど)、最近、食べる楽しみの一端として、韓国式中国料理屋に行くようになった。
日本人の間では韓国における中国料理は決して評判がいい訳ではない。
甘く、コクがなく、ベタッとしていて、バリエーションが少なく、日本の方が遥かに美味しくと、確かに「なんでわざわざ韓国で…」な味であることは、その通りだが、逆に韓国の食文化を楽しむつもりであれば、そんなに悪くない。
江北には、古く個性的なお店が多いので、何気で穴場だったりもする。
一人で入りやすいことも、長所である。
私がよく食べるのが、日本で言えば海鮮チャーハンに該当する「サムソン(三鮮)・ポックンパブ」だ。
最初に紹介するのは、東大門にある古い中国料理屋。
ここは若干値段が高いものの、初めて食べる人にも許せる範疇かもしれない。
東大門という場所は意外に食事の場に乏しいところで、他を探すのが面倒くさいから行き始めたお店だ。
(東大門の某店/おそらく観光ガイドにも掲載されていると思う。)
次に紹介するのは、忠務路にある、これまた古いお店(大韓劇場前の行列店ではありません)。
初めて韓国に行った人はちょっと引いてしまう佇まいの店構えかもしれないが、近所に勤める人たちにとっては、馴染み深い店らしい。
お店のボロさが、かつての日本の情景を思い出させ、哀愁が漂っているが、閑古鳥は鳴いていない。
ポックンパブは平皿に押し付けられた独特な盛り方だが、非常にあっさりした味で、干し海鼠を使っていたりする。
(忠務路の某店/お店のある場所は少々分かりにくいが、百メートルも移動すれば、日本人が大挙して闊歩しているようなところにある)
三番目のお店は、光化門駅の近くにあり、古い建物が個性的、場所柄、ここも意外と日本人客が多いのではないかと思う(今のところ、遭遇したことはありませんが)。
(光化門の某店/味付けは地味だが、堅実な味、値段もお安め。)
韓国で中国料理が食べたければ、まず、建物が平屋で古く、一階に居を構えているお店を勧める。
そして、場所が、江北のような古い街であることも重要だ。
こういったお店は、韓国では数少ない華僑が営業していることが多いので、「韓国伝統の中国料理」という、いささか矛盾した味を楽しむには一番いいと思う。
二階にあるお店や、配達用のバイクが軒先に沢山あるお店は、出前が主力なので落ち着かないし、華僑営業が少ないようにも思う(きちんと調べたわけではありませんが)。
高級店(まあ、江南系)は、調理人が中国人、食材も本格的なので、韓国で食べる意味が無い。
韓国に何回も来て、焼肉・キムチ・サムゲタンその他、ステレオな韓国料理にウンザリした方は、食の次なる楽しみを見出すのに、韓国式中国料理はちょうどいいのではないだろうか?
本当は永登浦辺りのニューチャイナタウン系も面白いのだが、あそこは韓国とはまた別の、偏向した反日教育を受けた連中も多いので(全く逆の人もいますが)、今時分、日本人だけで行くのは、ちょっと注意した方がいいかも(韓国語だけ使っていれば、大丈夫かな?…)。
Vol.385 ミョルチ・ククス(멸치국수)の味 [韓国の食]
昨年、ソウル某所の古い裏通りに、小さな멸치국수専門店が開店した。
粉食屋などでお馴染みのコの字カウンターの店内は、十人も入れば満席だ。
メニューも少なく、あくまでも멸치국수を食べさせるコンセプトであることがはっきりと伝わってくる。
こういうお店は、意外と今のソウルでは少ないのだ。
経営者なのかどうかは分からないが、切り盛りしているスタッフは若い好青年だ。
日本で言えば、ラーメン屋や飲み屋で一旗揚げようとしているお店、みたいな感じである。
早速、ディフォルトメニューである멸치국수を注文する。
このお店は前金で自販機購入になっているが、発券と入金は日本と逆なので、ちょっと戸惑った(地下鉄の切符販売機と同じです)が、お店の人が親切に教えてくれた。
こういう感覚は、あまり韓国に行かなくなってしまうと、いつの間にか忘れてしまうものなのだろう。
後から入ってきた女性客が、「ここの비빔국수は辛いんですか?」と尋ねている。
韓国でも辛いのがダメな人がいるのは当然だが、こういう会話を聞いていると、やっぱり食への嗜好が変わって来ているんだな、とつくづく思う。
すぐ、注文したメニューが運ばれてくる。
韓国ではお馴染みの二重構造のアルミ製どんぶりに、スープも麺もなみなみと盛られていて、日本の二郎系ラーメンみたいだ。
熱々のスープをすすってみる。
それほど塩辛くなく、あっさりした味わいの中に、韓国製魚醤独特の旨みが凝縮されていて、大変美味しい。
臭みはほとんどないが、個人的にはもっと生臭くてもいいように思った。
麺のゆで方もほどよく、韓国にありがちな「ふにゃふにゃ麺」ではない。
やっぱり、ストレートの細麺は固茹でに限る。
薬味もシンプルそのもので、海苔とネギと白ゴマだけである。
後は好みで、卓上に置いてある薬醤を適宜入れればいい。
あー、美味しい。
至高のひと時。
欲をいえば、量が多すぎることくらいか。
今のソウル、お店の構えも味も素朴、だけど本質は的を射ていて、という食堂が、本当に減ってしまった。
流通が整備され、人々の嗜好が多様化したからかもしれないが、こういった昔の味を、若いスタッフが切り盛りするお店で出しているところが新しくもあり、貴重に思える。
知人のグルメ連中の間でも、このお店は非常に評判がいいのだけど、その理由の一つは、やっぱり「普通に美味しい」ということだろう。
そういうわけで、狎鴎亭の某ククス屋(こちらは牛肉ベースのスープ&平麺)に続いて、ソウルのMY定番ククス屋に決定。
心配なのは、いつまでお店を経営していられるか、ということではあるけれど、日本語メニューなんか出さないで(最近、日本語対応しました)、常連だけで細く長く続けて欲しいと願うのだった…
粉食屋などでお馴染みのコの字カウンターの店内は、十人も入れば満席だ。
メニューも少なく、あくまでも멸치국수を食べさせるコンセプトであることがはっきりと伝わってくる。
こういうお店は、意外と今のソウルでは少ないのだ。
経営者なのかどうかは分からないが、切り盛りしているスタッフは若い好青年だ。
日本で言えば、ラーメン屋や飲み屋で一旗揚げようとしているお店、みたいな感じである。
早速、ディフォルトメニューである멸치국수を注文する。
このお店は前金で自販機購入になっているが、発券と入金は日本と逆なので、ちょっと戸惑った(地下鉄の切符販売機と同じです)が、お店の人が親切に教えてくれた。
こういう感覚は、あまり韓国に行かなくなってしまうと、いつの間にか忘れてしまうものなのだろう。
メニューはこれだけです
あとは餃子の類など
後から入ってきた女性客が、「ここの비빔국수は辛いんですか?」と尋ねている。
韓国でも辛いのがダメな人がいるのは当然だが、こういう会話を聞いていると、やっぱり食への嗜好が変わって来ているんだな、とつくづく思う。
すぐ、注文したメニューが運ばれてくる。
韓国ではお馴染みの二重構造のアルミ製どんぶりに、スープも麺もなみなみと盛られていて、日本の二郎系ラーメンみたいだ。
熱々のスープをすすってみる。
それほど塩辛くなく、あっさりした味わいの中に、韓国製魚醤独特の旨みが凝縮されていて、大変美味しい。
臭みはほとんどないが、個人的にはもっと生臭くてもいいように思った。
麺のゆで方もほどよく、韓国にありがちな「ふにゃふにゃ麺」ではない。
やっぱり、ストレートの細麺は固茹でに限る。
薬味もシンプルそのもので、海苔とネギと白ゴマだけである。
後は好みで、卓上に置いてある薬醤を適宜入れればいい。
あー、美味しい。
至高のひと時。
欲をいえば、量が多すぎることくらいか。
今のソウル、お店の構えも味も素朴、だけど本質は的を射ていて、という食堂が、本当に減ってしまった。
流通が整備され、人々の嗜好が多様化したからかもしれないが、こういった昔の味を、若いスタッフが切り盛りするお店で出しているところが新しくもあり、貴重に思える。
知人のグルメ連中の間でも、このお店は非常に評判がいいのだけど、その理由の一つは、やっぱり「普通に美味しい」ということだろう。
そういうわけで、狎鴎亭の某ククス屋(こちらは牛肉ベースのスープ&平麺)に続いて、ソウルのMY定番ククス屋に決定。
心配なのは、いつまでお店を経営していられるか、ということではあるけれど、日本語メニューなんか出さないで(最近、日本語対応しました)、常連だけで細く長く続けて欲しいと願うのだった…
スープもペットボトルで別売しています
Vol.383 なにゆえ韓国のカップラーメンなど…と思いつつ Part2 [韓国の食]
私はもともと、日本でも即席麺やカップラーメンは食べないクチで、韓国では尚更なのだけど、考えてみれば韓国におけるカップラーメンの歴史は結構長く、毎年色々なものが発売されてはいる。
私が食べない理由の一つに、「韓国の即席ラーメンはどれも皆同じ」ということがあるのだが、ここ5,6年くらい、その事情に大きな変化が出始めている。
その一つの例が、あの「꼬꼬면」だ。
また、韓国の食事に飽きて久しく、韓国における食費の高騰が著しい、という事情もあるので、ちょっと、カップラーメンのようなジャンクフードを、韓国サブカルチャーの一端として、見直してもいいかな?と思っている。
今後、なるべく日本ではマイナーなものを選んで、不定期に紹介したいと思うが、個人的には、インスタント麺はあまり食べないほうがいいと考えていることに変わりない。
どうしても、という方は新大久保界隈やネット販売で手に入るかもしれないが、そんな価値もないと思う。
私が食べない理由の一つに、「韓国の即席ラーメンはどれも皆同じ」ということがあるのだが、ここ5,6年くらい、その事情に大きな変化が出始めている。
その一つの例が、あの「꼬꼬면」だ。
また、韓国の食事に飽きて久しく、韓国における食費の高騰が著しい、という事情もあるので、ちょっと、カップラーメンのようなジャンクフードを、韓国サブカルチャーの一端として、見直してもいいかな?と思っている。
今後、なるべく日本ではマイナーなものを選んで、不定期に紹介したいと思うが、個人的には、インスタント麺はあまり食べないほうがいいと考えていることに変わりない。
『강호동의 화끈하고 통큰 라면』(わざわざ食べる価値度…なし)意訳すると「カン・ホドンのホットで太っ腹なラーメン」という感じだろうか。
表題の「강호동」が何者かは、ネットで検索すればいくらでも出てくるので、脇に置いておいて、このラーメンがどんな味かといえば、よくある「韓国式カップラーメン」の味に過ぎない。
スープは赤いけど、辛さはなくて、「辛ラーメン」をややあっさり目にした感じだが、目隠しをされたら、大抵の人は、どちらかわからないだろう。
一応、差別化のためにカニカマが入っているが、別にカニの味はしない。
タレントの名前に乗っただけの、凡庸な製品。
普通のコンビニで購入可能。
両方とも、あまり日本では触れられることがない製品だが、わざわざ探す価値はない。『즉석곰탕』(わざわざ食べる価値度…微妙)直訳すると「即席コムタン」だが、ご飯が入っている訳ではない。
だが、コムタンに入れる素麺玉に準じたものが入っていて、食べるまで4分待つという、韓国のカップ麺では異色な方かもしれない。
決して珍しい商品ではないが、意外に見かけないので、一般の食料品店を探した方がいいかもしれない。
商品写真には、青ネギが山のように乗っているが、実際もそうで、ネギの味がちょっとキツイ。
あっさりした薄いスープに味気はないが、本物のコムタン同様、粗塩や刻んだキムチを入れて味を調整するようになっている商品と見た。
これをラーメンと見なすか、否かは異論もあるだろうけど、とりあえず、韓国らしいカップ麺である。
どうしても、という方は新大久保界隈やネット販売で手に入るかもしれないが、そんな価値もないと思う。
Vol.368 なにゆえ韓国のカップラーメンなど…と思いつつ [韓国の食]
ここ数年、韓国インスタントラーメン業界は一種の緩いイノベーションにあったような気がする。
韓国では、今も昔も多種多様の商品が発売されているが、結局は「신라면」と「삼양라면」があくまでも基本であり、新製品が発売されても、その両者から大きくそれることはなかったと思う。
だが、極めて保守的な韓国インスタントラーメン界にあって、ここ数年、微妙ながら、それまでの呪縛から離れて、大きく変わろうとしているようにも見える。
日本のラーメン屋が本格的に外食産業として定着し、日本に来てラーメンを食べ歩くマニアが増加する一方という時勢の中で、韓国内ユーザーのラーメンその物に対するイメージは、良い意味で揺らぎつつあるのかな、とも感じるのだった。
今回紹介する製品は、全部、カップ麺なので、袋物とはやや風味が異なるのだけど、韓国製カップ麺の世界もまた、多様性を増している。
そして、袋物よりも日本製インスタント麺の影響が強く感じられたりする。
某マートだけで売られている、有名調理人監修の製品などその最たるものだろう。
まず食べてみたのは、一部日本人の間でも話題らしい「꼬꼬면」だ。
日本語に訳すと「こっこ麺」、意訳するとまさに「チキンラーメン」なのだが、この製品の特徴は鶏をベースにしたことになっているスープよりも、麺にあった。
食感がかなり日本の製品に近く、ツルツル、モチモチしているのだ。
韓国製インスタントラーメンといえば、多孔質でガサガサしたものがあくまでも王道だったが、この「꼬꼬면」は、そこら辺が他の製品と一線を画しており、日本のラーメンを求める韓国人ユーザーの影響がちょっと感じられなくもない。
でも、日本製に比べればまだまだのレベル、「サッポロ一番塩ラーメン」の麺を変えて、韓国風にアレンジした感じだ。
次に食べたのは、派手な広告展開をしている「나가사끼짬뽐」である。
「짬뽐」自体は昔から韓国では定番の麺料理だが、日本のものと似ても似つかない。
「나가사끼~」と付いているのも、すっかり韓国人にとって定番となった九州人気を反映したものだが、食べてみると「長崎ちゃんぽん」どころか、基本は保守的な韓国式インスタント・ラーメンにしか過ぎない。
この製品の特徴も、「꼬꼬면」と同様、白湯ベースであることだが、日本人が食べると、麺が太めの、やっぱり「サッポロ一番塩ラーメン」モドキといった風情である。
三番目に食べたのは「신라면」でお馴染みの농심から発売された「무파마」は、
商品名が商品名なので、てっきり大根のフリーズドライでも入っているかと思いきや、大根と菜物とにんにくを中心とした野菜スープが売りということらしい。
この「신라면」、味は従来の韓国式インスタント・ラーメンそのもので、多くの日本人がこれを食べても「신라면」と区別できそうにない。
ただし「신라면」自体が既に完成の域に至っているとも言えるので、製造販売元の농심がこれと大きく異なるレシピの製品を出すことは、ちょっと難しいことかもしれない。
この「무파마」、スープについては、それなりにコクというか、複雑な旨みは感じた。
でも、スープで商品の差別化を狙うのならば、唐辛子粉配合をやめる試みがあった方が面白いのではないかと思う。
唐辛子で全てが引きずられてしまっているからだ。
ちなみに製品名は『무・파・마늘』を単に並べて省略しただけらしいが、『무파워』にひっかけているんじゃないのかな?
日本では韓国のインスタントラーメンといえば、【みんな「真っ赤」】というイメージがある。
だがそれは、嘘ではないが、すべてでもない。
最後に「신라면」と「삼양라면」へ帰結してしまうことも、日本のカップ麺に「カップヌード」を超えてはいけないという不文律があるように見えることと、似ていることかもしれない。
だが、日本のカップヌードルは生まれついての「カップ麺」であり、その枠内で日々、進化を続けて来た製品でもあることに比べ、韓国のカップ麺はあくまでも、袋物の派生に過ぎず、独立した存在には成り得ていないと思うし、ユーザーもそこまで求めていないのだろう。
だからというわけではないが、韓国カップ麺の世界で「カップヌードル」のような製品が登場し、国際的な定番になるのは、まだまだ難しいような気がするのだった(ちなみに「カップヌードル」は今でも韓国では一般的ではありません)。
韓国では、今も昔も多種多様の商品が発売されているが、結局は「신라면」と「삼양라면」があくまでも基本であり、新製品が発売されても、その両者から大きくそれることはなかったと思う。
だが、極めて保守的な韓国インスタントラーメン界にあって、ここ数年、微妙ながら、それまでの呪縛から離れて、大きく変わろうとしているようにも見える。
日本のラーメン屋が本格的に外食産業として定着し、日本に来てラーメンを食べ歩くマニアが増加する一方という時勢の中で、韓国内ユーザーのラーメンその物に対するイメージは、良い意味で揺らぎつつあるのかな、とも感じるのだった。
今回紹介する製品は、全部、カップ麺なので、袋物とはやや風味が異なるのだけど、韓国製カップ麺の世界もまた、多様性を増している。
そして、袋物よりも日本製インスタント麺の影響が強く感じられたりする。
某マートだけで売られている、有名調理人監修の製品などその最たるものだろう。
まず食べてみたのは、一部日本人の間でも話題らしい「꼬꼬면」だ。
「꼬꼬면」
日本語に訳すと「こっこ麺」、意訳するとまさに「チキンラーメン」なのだが、この製品の特徴は鶏をベースにしたことになっているスープよりも、麺にあった。
食感がかなり日本の製品に近く、ツルツル、モチモチしているのだ。
韓国製インスタントラーメンといえば、多孔質でガサガサしたものがあくまでも王道だったが、この「꼬꼬면」は、そこら辺が他の製品と一線を画しており、日本のラーメンを求める韓国人ユーザーの影響がちょっと感じられなくもない。
でも、日本製に比べればまだまだのレベル、「サッポロ一番塩ラーメン」の麺を変えて、韓国風にアレンジした感じだ。
次に食べたのは、派手な広告展開をしている「나가사끼짬뽐」である。
「나가사끼짬뽐」
「짬뽐」自体は昔から韓国では定番の麺料理だが、日本のものと似ても似つかない。
「나가사끼~」と付いているのも、すっかり韓国人にとって定番となった九州人気を反映したものだが、食べてみると「長崎ちゃんぽん」どころか、基本は保守的な韓国式インスタント・ラーメンにしか過ぎない。
この製品の特徴も、「꼬꼬면」と同様、白湯ベースであることだが、日本人が食べると、麺が太めの、やっぱり「サッポロ一番塩ラーメン」モドキといった風情である。
三番目に食べたのは「신라면」でお馴染みの농심から発売された「무파마」は、
商品名が商品名なので、てっきり大根のフリーズドライでも入っているかと思いきや、大根と菜物とにんにくを中心とした野菜スープが売りということらしい。
「무파마」
この「신라면」、味は従来の韓国式インスタント・ラーメンそのもので、多くの日本人がこれを食べても「신라면」と区別できそうにない。
ただし「신라면」自体が既に完成の域に至っているとも言えるので、製造販売元の농심がこれと大きく異なるレシピの製品を出すことは、ちょっと難しいことかもしれない。
この「무파마」、スープについては、それなりにコクというか、複雑な旨みは感じた。
でも、スープで商品の差別化を狙うのならば、唐辛子粉配合をやめる試みがあった方が面白いのではないかと思う。
唐辛子で全てが引きずられてしまっているからだ。
ちなみに製品名は『무・파・마늘』を単に並べて省略しただけらしいが、『무파워』にひっかけているんじゃないのかな?
日本では韓国のインスタントラーメンといえば、【みんな「真っ赤」】というイメージがある。
だがそれは、嘘ではないが、すべてでもない。
最後に「신라면」と「삼양라면」へ帰結してしまうことも、日本のカップ麺に「カップヌード」を超えてはいけないという不文律があるように見えることと、似ていることかもしれない。
だが、日本のカップヌードルは生まれついての「カップ麺」であり、その枠内で日々、進化を続けて来た製品でもあることに比べ、韓国のカップ麺はあくまでも、袋物の派生に過ぎず、独立した存在には成り得ていないと思うし、ユーザーもそこまで求めていないのだろう。
だからというわけではないが、韓国カップ麺の世界で「カップヌードル」のような製品が登場し、国際的な定番になるのは、まだまだ難しいような気がするのだった(ちなみに「カップヌードル」は今でも韓国では一般的ではありません)。
Vol.365 冷麺の味 Part2/咸興式冷麺編 [韓国の食]
2011年の初冬は、日本も韓国もなにやら歯切れの悪い寒さだったが、クリスマス辺りからやっと冬らしくなってきた。
冷麺の季節である。
韓国がいくら寒い、寒いといっても、山間部では無い限り、せいぜい下がって-10度前後。
ソウルでも時には-18度くらいになる年もあるが、日本の北海道の方がはるかに厳しいくらい、実際は大したことはない。
おかしな流言には惑わされないで欲しいと思う。
韓国で冷麺といえば、どうしてもコンニャク系の咸興式冷麺が主流。
そしてソウル市内で冷麺といえば、やはり、どうしても乙支路の五壮洞が有名だ。
地下鉄『乙支路4街』駅から結構離れていて、夜行くと不気味に静まり返った街をしばらく歩くことになる。
女性独りだと、ちょっと危ない印象を受けるかもしれないが、冷麺街は賑わっている。
そこの通りだけは冷麺屋がいくつも立ち並び、相当儲けているのか、「冷麺ビル」らしき建物もちらほら。
休日は家族連れで一杯だったりする。
競争が熾烈なだけあって、基本的に外れはないし、どの店も趣向を凝らして差別化を図っているから、連日食べ歩く、というもの楽しいかもしれない。
でも、今回紹介するお店は、ここではなく、地下鉄三号線『東国大前』駅にある咸興式冷麺の話である。
ここら辺で冷麺といえば、東大門方向にある平壌式冷麺のお店が有名だが、そこではない。
そこは地下鉄駅を出てすぐのところにあった。
『東国大前』はこじんまりとして嫌いじゃない街だが、キャンパスを脇に控えている割には、商業街としてはイマイチだったりする。
あまり食指が動く店もなく、急いで夕飯を摂ろうと仕方なく入ったのが、たまたま、その冷麺屋だった。
駅前一等地にあり、目立つのだけど、評判を聞いたことがなかったので、全く期待していなかったが、お店は広く綺麗で、家族連れも多く、【韓国で美味しい食堂】の条件をちゃんと満たしている。
咸興式冷麺だったのはわかっていたけど、ワタクシ的ディフォルトで水冷麺と水餃子を注文する。
巷では【咸興式冷麺=ビビン冷麺】という公式が押し付けられているようだが、これは迷惑な偏見、好きなものを注文すればいいわけで、私の場合、店の味を知るために、必ず水冷麺を食べるようにしている。
水餃子も北式料理屋では食べるべきメニューのひとつで、韓国には昔から水餃子が美味しい店がたくさんある(でも、大きなマンジュウは大味なのでNG)。
話は外れるけど、大林亭辺りの中国人街も、この水餃子が、かなり美味しかったりする。
この『東国大前』にある冷麺屋の魅力は、【ごく普通に美味しい】ということだろう。
つまり、ここに代わる味のお店は他にいくらでもあり、個性的な味を知りたければ、五壮洞に行くのがテッパンなんだろうけど、最近の韓国は、この【ごく普通に美味しい】というお店が激減してしまっている点において、価値を感じるお店なのだ。
かつて、隠れた食の都(というか日本じゃ知られていないだけだが)、光州の食事で感動したのは、この【ごく普通に美味しい】という事に他ならない。
その感覚こそ、韓国で食べ継がれてきた味そのものであり、伝統の味を感じさせるからである。
例の平壌式冷麺有名店も、かつてはそういうお店だったのではないだろうか?
というわけで、今でも『東国大前』で食事を摂るなら、このお店、という定番になっているんだけど、こういった【ごく普通に美味しい】という味を、他のお店もまた、変な国際化なんかしないで、引き継いで欲しいと願うのだった。
(通り向かいにある、チョッパルを独りで食べるわけにもゆかないし…)
冷麺の季節である。
韓国がいくら寒い、寒いといっても、山間部では無い限り、せいぜい下がって-10度前後。
ソウルでも時には-18度くらいになる年もあるが、日本の北海道の方がはるかに厳しいくらい、実際は大したことはない。
おかしな流言には惑わされないで欲しいと思う。
韓国で冷麺といえば、どうしてもコンニャク系の咸興式冷麺が主流。
そしてソウル市内で冷麺といえば、やはり、どうしても乙支路の五壮洞が有名だ。
地下鉄『乙支路4街』駅から結構離れていて、夜行くと不気味に静まり返った街をしばらく歩くことになる。
女性独りだと、ちょっと危ない印象を受けるかもしれないが、冷麺街は賑わっている。
そこの通りだけは冷麺屋がいくつも立ち並び、相当儲けているのか、「冷麺ビル」らしき建物もちらほら。
休日は家族連れで一杯だったりする。
競争が熾烈なだけあって、基本的に外れはないし、どの店も趣向を凝らして差別化を図っているから、連日食べ歩く、というもの楽しいかもしれない。
でも、今回紹介するお店は、ここではなく、地下鉄三号線『東国大前』駅にある咸興式冷麺の話である。
ここら辺で冷麺といえば、東大門方向にある平壌式冷麺のお店が有名だが、そこではない。
そこは地下鉄駅を出てすぐのところにあった。
『東国大前』はこじんまりとして嫌いじゃない街だが、キャンパスを脇に控えている割には、商業街としてはイマイチだったりする。
あまり食指が動く店もなく、急いで夕飯を摂ろうと仕方なく入ったのが、たまたま、その冷麺屋だった。
駅前一等地にあり、目立つのだけど、評判を聞いたことがなかったので、全く期待していなかったが、お店は広く綺麗で、家族連れも多く、【韓国で美味しい食堂】の条件をちゃんと満たしている。
咸興式冷麺だったのはわかっていたけど、ワタクシ的ディフォルトで水冷麺と水餃子を注文する。
巷では【咸興式冷麺=ビビン冷麺】という公式が押し付けられているようだが、これは迷惑な偏見、好きなものを注文すればいいわけで、私の場合、店の味を知るために、必ず水冷麺を食べるようにしている。
水餃子も北式料理屋では食べるべきメニューのひとつで、韓国には昔から水餃子が美味しい店がたくさんある(でも、大きなマンジュウは大味なのでNG)。
話は外れるけど、大林亭辺りの中国人街も、この水餃子が、かなり美味しかったりする。
この『東国大前』にある冷麺屋の魅力は、【ごく普通に美味しい】ということだろう。
つまり、ここに代わる味のお店は他にいくらでもあり、個性的な味を知りたければ、五壮洞に行くのがテッパンなんだろうけど、最近の韓国は、この【ごく普通に美味しい】というお店が激減してしまっている点において、価値を感じるお店なのだ。
かつて、隠れた食の都(というか日本じゃ知られていないだけだが)、光州の食事で感動したのは、この【ごく普通に美味しい】という事に他ならない。
その感覚こそ、韓国で食べ継がれてきた味そのものであり、伝統の味を感じさせるからである。
例の平壌式冷麺有名店も、かつてはそういうお店だったのではないだろうか?
というわけで、今でも『東国大前』で食事を摂るなら、このお店、という定番になっているんだけど、こういった【ごく普通に美味しい】という味を、他のお店もまた、変な国際化なんかしないで、引き継いで欲しいと願うのだった。
(通り向かいにある、チョッパルを独りで食べるわけにもゆかないし…)
ホントにフツーの冷麺です。
Vol.364 冷麺の味 Part2/平壌式冷麺編 [韓国の食]
「韓国、冬の食事は何がお勧めですか?」と聞かれたら、迷うことなく冷麺と答える。
-10度を下回る外気から家屋の中に入り、オンドルの上でキンキンに冷えた冷麺を食べる、という行為は昔から「オツなもの」とされてきたが、全くの同感だ。
「寒い時に寒いものを」「暑い時に暑いものを」という逆説的な飲食方法は、日本でもよく語られることだが、医学的な効能とは別に、「美味しいものはいつ食べても美味しい」ということである。
だからといって、どこの冷麺でもいいのか?という訳ではなくて、限られた美味しいお店でのお話だ。
冷麺は元来、北側の食べ物らしく、ソウルというか、昔から韓国で美味しいお店は非常に限られているが、それは今も変わらない。
ラーメンと同じで、安く上げようとすればいくらでも安く上がるが、美味しいものを提供しようとすると、どんどん高級化してしまうという食べ物であり、巷に転がっている冷麺は前者、私が食べるのは、当然後者であるのだが、どうも年々、冷麺というものは一般の食事から遊離し始めているようで、あまり食べなくなって来ているような気がする。
一昔前はW4500-から、せいぜいW6000-だったのが、最近はW9000-超えだ。
これじゃ日本のラーメンと同じような価格だが、高いお店にとって今の韓国では伝統の味を死守することが難しくなってきているということなのかもしれない。
冷麺は韓国でもひとりでふらりと入って食べることができる数少ない選択肢だし、量も丁度良くと、ワタクシ的にはラーメンや蕎麦みたいなものだが、良いお店は高級化が進んでいて、気軽さが半減しているのは残念である。
そのお店は清渓川を渡った、乙支路工具街の真ん中にある。
冷麺好きの間では非常に有名な店で、日本のグルメ本なんかでもお馴染みだが、冷麺屋が比較的集まっているここら辺界隈で異彩を放っている理由は、純然たる「平壌式冷麺」の専門店であるということだろう。
乙支路界隈は冷麺の名店が集中する場所だが、ほとんどが咸興式だ。
咸興式が芋中心のコンニャク的食感の麺を使うことに対して、平壌式は蕎麦や小麦粉の比率が高く、九州の棒ラーメンに似た食感であり、水冷麺の場合、とんこつラーメンの「ハリガネ」や「粉落とし」に近い味わいを楽しめる。
このパリパリして香ばしい味わいこそ、平壌式最大の魅力なのだけど、ソウルではあまり見かけない(もちろん平壌式といっても、冷やし中華みたいな麺を使う店その他、色々ある)。
お店の雰囲気も非常にいい。
商店街路地奥に位置し、内装は高度成長期の日本の風景を連想させ、まるでタイムスリップしたようなデジャブに陥るが、あくまでも、質素でシンプルだ。
定番の有名店であるにも関わらず、全く外国語のメニューがないのも素晴らしい。
あくまでも、ここの味が好きな人達が集うためのお店なのである。
場所も地下鉄の出入り口のすぐ前、大きな看板が出ているのでハングルがある程度読める人ならすぐわかるが、あまりに近いので見過ごしてしまうかもしれない。
メニュー数は少なく、プルコギもあるが、やっぱり定番は水冷麺と豚肉のスユクだろう。
クッパブと温麺も置いているが、季節によってはなかったりする。
でも、それらもメニューにあったら、食すことをお勧めしたい。
特に温麺は日本のラーメンを連想させ、ありそうでない独特の味なので、一回はお勧めしたい。
残念なことに、この乙支路界隈も再開発の魔の手が伸びつつある。
国家邁進を標榜すれば、庶民のことなどお構いなし、何事も突然急変する韓国社会のことだから、このお店も、今後大丈夫かどうか分からない。
移転することで建物が変わり、唯一無二ともいえるステキな雰囲気の店で食べられなくなってしまうとすれば、ソウルはまた一つ、「自慢の食文化」の象徴を失うようなものだ(北の食いもんですが…)。
韓国式に考えれば、立派で巨大な建物に、ピカピカの豪華な内装、外国人対応の英・日・中語サービスこそ、「一流の証」なのかもしれないが、冷麺のようなシンプルかつ味そのもので勝負する料理こそ、古びてはいても「場」が醸しだす雰囲気が大切であり、良い意味で外国に媚びない民族主義ゴリ押しがあってもいいと思う。
別に無理して外国語対応なんかにする必要はないのである。
海外に向けて、日本料理と対比させ、自分たちの優位性を強調しつつ、あまり一般的ではない豪華な高級メニューや、とても普遍性があるとは思えないキムチ類を積極的にアピールするのも韓国らしくて結構なのだが、古い店舗自体を一種の文化財として残す方法も、これからはアリなのではないだろうか?
-10度を下回る外気から家屋の中に入り、オンドルの上でキンキンに冷えた冷麺を食べる、という行為は昔から「オツなもの」とされてきたが、全くの同感だ。
「寒い時に寒いものを」「暑い時に暑いものを」という逆説的な飲食方法は、日本でもよく語られることだが、医学的な効能とは別に、「美味しいものはいつ食べても美味しい」ということである。
だからといって、どこの冷麺でもいいのか?という訳ではなくて、限られた美味しいお店でのお話だ。
冷麺は元来、北側の食べ物らしく、ソウルというか、昔から韓国で美味しいお店は非常に限られているが、それは今も変わらない。
ラーメンと同じで、安く上げようとすればいくらでも安く上がるが、美味しいものを提供しようとすると、どんどん高級化してしまうという食べ物であり、巷に転がっている冷麺は前者、私が食べるのは、当然後者であるのだが、どうも年々、冷麺というものは一般の食事から遊離し始めているようで、あまり食べなくなって来ているような気がする。
一昔前はW4500-から、せいぜいW6000-だったのが、最近はW9000-超えだ。
これじゃ日本のラーメンと同じような価格だが、高いお店にとって今の韓国では伝統の味を死守することが難しくなってきているということなのかもしれない。
冷麺は韓国でもひとりでふらりと入って食べることができる数少ない選択肢だし、量も丁度良くと、ワタクシ的にはラーメンや蕎麦みたいなものだが、良いお店は高級化が進んでいて、気軽さが半減しているのは残念である。
そのお店は清渓川を渡った、乙支路工具街の真ん中にある。
冷麺好きの間では非常に有名な店で、日本のグルメ本なんかでもお馴染みだが、冷麺屋が比較的集まっているここら辺界隈で異彩を放っている理由は、純然たる「平壌式冷麺」の専門店であるということだろう。
乙支路界隈は冷麺の名店が集中する場所だが、ほとんどが咸興式だ。
咸興式が芋中心のコンニャク的食感の麺を使うことに対して、平壌式は蕎麦や小麦粉の比率が高く、九州の棒ラーメンに似た食感であり、水冷麺の場合、とんこつラーメンの「ハリガネ」や「粉落とし」に近い味わいを楽しめる。
このパリパリして香ばしい味わいこそ、平壌式最大の魅力なのだけど、ソウルではあまり見かけない(もちろん平壌式といっても、冷やし中華みたいな麺を使う店その他、色々ある)。
お店の雰囲気も非常にいい。
商店街路地奥に位置し、内装は高度成長期の日本の風景を連想させ、まるでタイムスリップしたようなデジャブに陥るが、あくまでも、質素でシンプルだ。
定番の有名店であるにも関わらず、全く外国語のメニューがないのも素晴らしい。
あくまでも、ここの味が好きな人達が集うためのお店なのである。
場所も地下鉄の出入り口のすぐ前、大きな看板が出ているのでハングルがある程度読める人ならすぐわかるが、あまりに近いので見過ごしてしまうかもしれない。
メニュー数は少なく、プルコギもあるが、やっぱり定番は水冷麺と豚肉のスユクだろう。
クッパブと温麺も置いているが、季節によってはなかったりする。
でも、それらもメニューにあったら、食すことをお勧めしたい。
特に温麺は日本のラーメンを連想させ、ありそうでない独特の味なので、一回はお勧めしたい。
残念なことに、この乙支路界隈も再開発の魔の手が伸びつつある。
国家邁進を標榜すれば、庶民のことなどお構いなし、何事も突然急変する韓国社会のことだから、このお店も、今後大丈夫かどうか分からない。
移転することで建物が変わり、唯一無二ともいえるステキな雰囲気の店で食べられなくなってしまうとすれば、ソウルはまた一つ、「自慢の食文化」の象徴を失うようなものだ(北の食いもんですが…)。
韓国式に考えれば、立派で巨大な建物に、ピカピカの豪華な内装、外国人対応の英・日・中語サービスこそ、「一流の証」なのかもしれないが、冷麺のようなシンプルかつ味そのもので勝負する料理こそ、古びてはいても「場」が醸しだす雰囲気が大切であり、良い意味で外国に媚びない民族主義ゴリ押しがあってもいいと思う。
別に無理して外国語対応なんかにする必要はないのである。
海外に向けて、日本料理と対比させ、自分たちの優位性を強調しつつ、あまり一般的ではない豪華な高級メニューや、とても普遍性があるとは思えないキムチ類を積極的にアピールするのも韓国らしくて結構なのだが、古い店舗自体を一種の文化財として残す方法も、これからはアリなのではないだろうか?
プラスチックの注文カードがミソです。